
マリ・クレール編集長、田居克人が月に1回、読者にお届けするメッセージ。機能性だけでなく、街中でも着られることをを意識した公式ウェアは、開会式をさらに華やいだものに。
イタリア国内数カ所で開催された今回の「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」メイン会場となったミラノは、世界の4大コレクションの一つ「ミラノ・ファッションウィーク」や世界的なデザインの見本市「ミラノサローネ」が開催される町としても有名です。そんなこともあり、開会式での各国選手団の公式ウェアに、自然と興味がいってしまいました。
イタリアはジョルジオ・アルマーニ、アメリカはラルフ・ローレン
一番注目したのは開催地であるミラノで、ファッション界の帝王といわれ、昨年亡くなったジョルジオ・アルマーニが担当したイタリア代表の公式ウェアでした。
イタリア代表の公式ウェアは「エンポリオ アルマーニ」のスポーツライン「EA7エンポリオ アルマーニ」が担当しました。緑、白、赤のイタリアの国旗の3色をトリミングなどに使用し、また背面には「ITALIA」の文字、腕には国旗を配し、上品さの中にスポーティさが感じられるウェアでした。
ジョルジオ・アルマーニは開会式の演出や衣装のデザインにも深くかかわっていて、開会式の時に、イタリア国旗を象徴する3色を使った「ジョルジオ アルマーニ」のパンツスーツを着て、60人のモデルがグループに分かれて行進する姿は、まるでコレクションショーのフィナーレを見ているようで壮観でした。ミラノの「アルマーニ」の店やホテルではオリンピック期間中、ポップアップショップや特別メニューの提供など、オリンピック開催を祝して様々な取り組みをしたようです。
開会式では「ジョルジオ アルマーニ」のパンツスーツを着た60人のモデルが行進
©SGP
アメリカ代表の公式ウェアは10大会連続で「ラルフ ローレン」が担当しました。開会式にはウールのダッフルコート、「ラルフローレン」が得意とする星条旗とUSAの文字が編み込まれたタートルネックのセーター、ダッフルコートと同色、同素材と思われるパンツを組み合わせ、「ラルフ ローレン」らしい装いで、そのまま街を歩いても何の違和感もないウェアでした。
アメリカ選手団の公式ウェアは「ラルフ ローレン」によるもの
©picture alliance/Getty Images
フランスの公式ウェアを担当したのは「ルコックスポルティフ」。日本でもゴルフウェアやスキーウェアで有名なフランスのスポーツブランドですが、今回は競技のためのウェアなどすべてを担当。ブランドの象徴である雄鶏のマークがフランス国旗の色とともに随所で見ることができました。
ドイツの公式ウェアは「アディダス」、カナダの公式ウェアは「ルルレモン」と、その国を代表するスポーツブランドやファッションブランドが担当するのがほとんどの中で、スウェーデンの公式ウェアを担当したのは4大会連続になる日本の「ユニクロ」でした。日本でもなじみの深い「LifeWear コレクション」を選手村や移動の時のためのウェアとして用意したそうです。色も、国旗の青と黄色を基調に使い、街中で着ても素敵だなと思わせるウェアでした。
久しぶりにオリンピックのウェアを手掛けたブランドもあります。ブラジルの代表の開会式、閉会式用のウェアを担当したのは、ラグジュアリーなダウンジャケットのビッグブランド「モンクレール」でした。「モンクレール」はそのブランドのマークからもわかるように、ラグジュアリーブランドとしては珍しく、創業時から登山装備を手掛けていたブランドで、ラグジュアリーで機能性を重視したウェアも、その強いアイデンティティを感じさせるデザインが印象的でした。
「モンクレール」が手掛けたブラジル選手団の公式ウェア
©MONCLER
話題はモンゴルの民族衣装を意識したウェア
唯一その国の民族衣装を連想させたのはモンゴル選手団の開会式のウェアでした。冬季オリンピックとなるとやはり寒さ対策や機能性に目がいってしまいがちですが、伝統衣装「デール」からインスピレーションを得たモンゴルのブランド「ミシェル&アマゾンカ」によるウェアは、モンゴル産カシミアをふんだんに使い、防寒のための高い襟や動きやすいスリットの入ったスカートなど、洗練されたシルエットと高い機能性を持ち、とてもユニークで印象に残りました。
日本ですが、パリ2024オリンピックから引き続き今回も担当したのは、スポーツウェアブランドの「アシックス」。パリ2024オリンピックと同様の赤(「TEAM JAPAN RED」と「サンライズレッド」)のグラデーションがメインカラーで、ボトムは濃紺のパンツ。日本の伝統的な「流水文様」をベースに仕上げ、サステナビリティに配慮した素材を採用しています。
今回はファッションの街、ミラノでの開催ということもあり、多くの国は特にウェアの色に気を使っていた感じがします。白やパステルカラーが多用され、トレンドを意識しているのが見てとれました。選手たちも素晴らしいウェアを着用すれば気持ちも高まり、個人の記録にも大きく影響するということなのでしょう。スポーツする美をウェアとともに感じさせてくれる17日間でした。
さて今回で私の「Welcome to marie claire」は最後になります。4月1日からは新たな編集長が就任し、また新しい『marie claire』の世界を皆様にお届けすることになります。 これまで支えてくださった読者の皆様、広告主の皆様、そして編集部スタッフ、デザインチームに心より感謝を申し上げます。これからは『marie claire』の「Executive Advisor, Global Affairs」という新しい立場で『marie claire』を支えていきますので、よろしくお願いいたします。
2026年3月26日