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“みなさんにご報告です。  
FRaUwebで掲載していた連載が、  
4月27日に、書籍『ALSと笑顔で生きる。 ~声を失った声優の「工夫ファクトリー」~』というタイトルで発売されることになりました。  
いま一生懸命本を作っていますので、みなさん楽しみにしていてください。  
よろしくお願いいたします。“

2月27日にこのような動画を公開し、ウインクしてみせた声優の津久井教生さん。

1992年4月に誕生したキャラクター「ニャンちゅう」の声を30年以上つとめ、「ちびまるこちゃん」「ストレージ」など多くのアニメで声優をつとめてきた津久井さんがALS(筋萎縮性側索硬化症)の告知を受けたのは2019年9月のこと。

それから最初はタイピングで、手が動かなくなってからは割り箸を口にくわえ、2023年7月まで連載「ALSと生きる」を続けていました。

その連載をベースに、大幅に加筆修正をし、『ALSと笑顔で生きる。~声を失った声優の「工夫ファクトリー」』というタイトルで書籍として4月27日に発売されることとなったのです。

その情報解禁で、自身が視線入力により書いた原稿をAIの津久井教生さんの声で再現したのがこの動画なのでした。

そう、今では「視線入力」で原稿を執筆しているのです。

書籍には、視線入力で執筆した章が加わり、「はじめに」と「おわりに」も書き下ろしました。

そこで書籍の発売を記念して、津久井さんが連載の続きとして視線入力にて執筆した書き下ろしの原稿をお届けします。

ALS罹患を公表したのは2019年10月

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります。もう少し詳しい書き方を探すと「筋肉が動かなくなってしまい最終的に自力で呼吸が出来なくなる」という説明がなされています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」と言われていることで知られています。

2019年9月に告知されたALS罹患を同年10月に公表して6年半になりました、相変わらず病状は進行しています。要介護5・重度障害区分6になり、ALSという難病の決断ポイントであるとも言われる気管切開の手術をして、3年以上経過しました。同時に胃ろうも装着しています。体に出来ることは概ねやったことになります。治療法のないALSは対症療法で対応していくのです。落ち着きそうでいて、微妙に進むALSの進行や私の日常生活を通して介護生活を感じていただければと思います。

まだ手が動いていた時の津久井さん。ニャンちゅうとともにピアノを弾いたほぼ最後の写真になりました 写真提供/津久井教生

画像ギャラリーを見る(全5枚)61回目の連載から時間が経ちましたが、しっかりと生きています。

61回目の連載の原稿を送ったあと(編集部注・2022年12月)に体調を崩してしまいました。自分の思いに反して、どんどん呼吸する力が低下していったのです。特に痰がたまりやすくなり、それを除去する力も落ちていきました。その度に呼吸困難になる状態になっていったのです。そして状態は改善されずに進行して、12月5日に緊急搬送されて意識不明になり、生死の境目を漂いました。

割り箸を口にくわえて一文字ずつ打ち込んでいた時の最後の原稿

そして結果から言うと、生死の境目から意識を取り戻し、気管切開の手術を受ける決断をしたのでした。それで、今こうして再び視線入力で筆をとっています。そうなのです、2022年12月に受けた気管切開手術は無事に成功して、呼吸器をパートナーにする生活が始まったのです。おかげさまであれだけ苦しかった呼吸も随分と楽になりました。気管切開手術から、3年以上経ちました。私、津久井教生はしっかりとALSと生きています。

気管切開の手術を受けてから退院まで2ヵ月弱の期間を要しました。これでも入院期間は短い方なのです。本来であれば経過報告をすぐにでも原稿にしたかったのですが、やはり基本的な体力がかなり奪われていたようなのです。なぜならば、単純に呼吸困難だと思っていた体調は同時に肺炎も併発していたのでした。レントゲンによると右の肺が真っ白になっていたそうです。道理で苦しいわけです。

ALSの進行で呼吸困難になっていって、徐々に体力が落ちていっている上に痰の量が増えて気道を塞いでくる状態になっていました。さらにその上に肺炎を起こしていたのですから危篤状態にもなるはずです。そしてその状態で呼吸が止まりかけ、手術を受けるまで気道確保で気管挿管で持ちこたえていたのです。通常よりも体にダメージが残って当然な、気管切開手術の時の私の状態だったのです。

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