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声優アーティスト・山下大輝によるイベント「Daiki Yamashita 2026 DAIKING Festa Vol.4 “Sweet & Bitter”」が、2026年2月15日(日)、東京・ヒューリックホール東京で開催された。

2012年に声優デビューし、2014年に第8回声優アワード新人男優賞を受賞。以降『僕のヒーローアカデミア』『弱虫ペダル』『ポケットモンスター』など数々の人気作で主演を務めてきた山下。2021年には、かねてより抱き続けてきた音楽への熱い想いを実らせる形でアーティストデビューを果たし、昨年はユニット・山下大輝 × 畠中祐としての活動を精力的に展開。そして今年のバレンタイン前日、ソロとしては約1年半ぶりとなる新曲「アイたりナい」をデジタルリリースした。“Sweet & Bitter”な二面性を持ったこれまでにないカラーのラブソングは、今回のイベントコンセプトを象徴したものとなっている。

ソロとしての新章を告げる楽曲とともに迎えた「DAIKING Festa Vol.4」は、昼公演を“Sweet”、夜公演を“Bitter”という世界観で構成。両公演とも前半はバラエティコーナー、後半はアコースティックライブという二部構成で届けられた。バレンタインらしい企画やカバー曲を織り交ぜつつ、ゲストの寺島惇太、MCの浜田洋平、キーボーディスト・白井アキトとともに、ヒューリックホール東京の華やかな空間を甘い雰囲気で包み込んでみせたのだった。本稿では“Sweet”な昼公演の模様をレポートする。

バレンタインムード一色に染まったヒューリックホール東京。ハートマークのロゴが掲げられ、ファンから贈られたチョコレートやハートをあしらったフラワースタンドが並ぶ会場は、まさに“アイ”にあふれた空間へと姿を変えていた。元映画館ならではのクラシカルな佇まいも、この日の雰囲気を引き立てている。

「DAIKING Festa」は、テーマに沿った世界観づくりが徹底されるのも魅力のひとつ。今回は前述の通り、バレンタイン=“Sweet & Bitter”がコンセプト。ライブを“メインディッシュ”に据え、各トピックスを“メニュー”として構成。となると、いわばウェルカムドリンクにあたるオープニングムービーは、「アイたりナい」のレコーディング風景、イベントのリハーサル、今回のイベント用のビジュアルの撮影風景で構成。ちなみに今回は学生服での撮影。その意図は、のちのMCで語られることになる。

ムービーが終わると「今の映像めっちゃ照れるね。自分しか映ってないってまだまだ慣れないな」とスタイリッシュなロングシャツ姿で山下が登場。「ハッピーバレンタ!」と投げかけると、観客から間髪入れずに「イン!」と声が返る。息の合ったやり取りで、互いに頬を緩めた。あらためて「シェフの山下大輝です!」とハツラツと自己紹介。

「気づいたら1年半ぶりのイベント開催なんですけど、昨年は山下大輝 × 畠中祐としてユニット活動をしっかりさせてもらってきたこともあって、久しぶりという感じはしなくて」と率直な思いを口にする。「隣に相棒みたいなアイツがいないのは、ちょっと寂しいなと思いつつ」と本音もにじませながら、「満を持してのソロ活動ということで。改めて再出発といった感じで、今日はやらせてもらいます。自分ひとりだからこそできる世界観も含めて、楽しんでいってもらえたらと」と伝える。その言葉通り、この日の“メニュー”には、ソロだからこそ描ける表現が随所にちりばめられていた。

そして「もうひとりの相棒」であるMCの浜田洋平、ゲストとして長年の友人・寺島惇太が登壇。

浜田は今回のイベントの趣旨を説明しつつ、「“Sweet”といえば、大ちゃんがよくスイーツの画像を無言で送りつけてくるんです。非常に迷惑してます(笑)」とさりげなく暴露。

一方、山下と10年以上の付き合いになる寺島は、「大ちゃんは、僕が美味しいものを食べる姿を見て、僕の体積が増えていくと幸せそうな顔をしてくれるので、僕もそれを見て幸せだよ、という関係性です」とあまりに複雑な(?)関係性と愛情表現を説明し、客席から笑いが。

気心の知れた3人ならではのやり取りのなかで、トークパートがゆるりと幕を開けた。

最初のメニューは「⼭下⼤輝にこの際だから聞いてみよう!」。ファンからXで募集した質問に答えていくコーナーで、「今回のグッズが学生モチーフということで、学生時代の思い出を教えてください」といった質問が飛び出した。

すると山下は、まず今回がなぜ学生モチーフだったかを解説。「この間のイベントで“どんなグッズが欲しいですか?”というアンケートを取らせてもらった時に、“学生”っていうワードがけっこう多くて」と切り出し、ポップでキュート、クールで真面目というふたりの学生像が“Sweet & Bitter”というテーマに重なり合い、今回のビジュアルへと結実したと話す。さらに、パーカーや小物使いなどで着崩すことで、いわゆる“コスプレ”に見えないバランスにもこだわったそう。

自身の学生時代については、父がテニスコーチ、兄も現在テニスコーチという“体育会系一家”で育ったと明かす。

山下もその影響からテニスに打ち込み、学生時代には全国大会にも出場するほどの実力を持っていたことでも知られているが、その青春時代の自身の姿について「今じゃ考えられないくらい(日焼けで)黒かった。天然の、ガチのギャル男でした」と述懐。

当時人気だった雑誌を振り返りながら流行の“M字バング”に挑戦したというエピソードに「イケイケじゃん!」と浜田と寺島からすかさずツッコミが入り、ステージは和やかな笑いに包まれた。

続いての質問は、「バレンタインにもらって嬉しいチョコは?」というもの。

山下は「正直、なんでも嬉しい」と即答。強いて言うならと「最近はカカオ多めのちょっと苦めなビターなチョコが好きかも。罪悪感もないじゃない?」と語り、現在のお気に入りとして挙げたのが、カカオたっぷり、大人向けの味わいのジャイアントコーン。「最後までチョコぎっしりで、あれがめちゃくちゃ美味くて家に常備してる」と熱弁した。

そんなチョコ談義のあとの、次なるメニューは、山下と寺島の「バレンタインチョコ争奪利きチョコ対決!」。用意された5種類のチョコレートを試食し、価格が高いと思う順に並べて回答するというもので、より多く正解したほうが勝者となり、高級チョコレートが贈られる。

テーブルに並んだ5種類のチョコレートを前に、「見た目、全然違うよね?」「中にクリーム入ってる?」と早くも真剣モードのふたり。実際口に運び「美味しい!」と舌鼓を打ちつつも、だんだんと迷走気味に。味の記憶をリセットしようと、そろって水に手を伸ばす姿に笑いが起きた。最終的に高い順を予想してフリップに記入するも、ふたりの並びは微妙に食い違う結果に。結果は最高額のチョコレートを的中させた山下が勝者となったが、山下は1問正解、寺島はまさかの0問正解という“しょっぱい”決着。

浜田が「これが今日の“Bitter”な部分ですね」と締めると、会場からは笑いが漏れる。勝者の山下には高級チョコが贈られ、観客からの「ハッピーバレンタイン!」というコールを嬉しそうに受け止めたのだった。

直筆のバレンタインカードが当たるプレゼント抽選会をはさみ、「それでは、いよいよメインディッシュへいきましょうか」と浜田。ステージ転換を経て颯爽と現れたのは、先ほどまで軽快に笑いを振りまいていた“シェフ”ではなく、マイクを手にしたアーティスト・山下大輝だ。

今回のライブは、「3年以上の付き合い」となるキーボーディスト・白井アキトとの二人編成。これまでのDAIKING Festaとはまた違った、削ぎ落とされた構成である。イヤーモニターをつけていないようにも見える山下は、「盛り上がっていきましょう!」と、盟友・佐伯ユウスケのプロデュース曲「Hello」を爽やかに歌いだし、白井、そして観客と視線を交わしながら呼吸を合わせていく。ペンライトの波のなかで山下のハイトーンボイスとシンガロング、鍵盤の音色が響き渡った。歌い終えて「よし」と小さく一言。

「ちょっと緊張してるけど、めっちゃ楽しい。いろいろな曲をバンバンやっていくので、一緒に盛り上がってください」と落ち着いた声色で観客をリードすると、白井のカウントで「キャンドル」へ。客席のペンライトは一斉に黄色に灯り、会場の空気がふっとやわらぐ。サウンドプロデューサーとしても知られる“くじら”による書き下ろしシティ・ポップナンバーは、今回のアレンジで、ジャジーでより洗練されたムードをまとった一曲となった。続くデビュー曲「Tail」(テレビアニメ『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』ED曲)は、ほどなくデビュー5周年を迎える今ということもあってか、いつも以上にエモーショナルな歌声に感じられた。

この公演ならではの“Sweet”な楽曲たちをプレゼントした中盤戦。「ピュアな気持ちがふんだんに入っている曲。皆さんも“Sweet”な気持ちになってもらえたらと、心を込めて歌います」と、椅子に腰を掛けながら「I’m in love」と「シークエル」を歌唱。ラブソング「I’m in love」では客席が自然と赤やピンクに染まり、温かな光が揺れる。〈この時間がずっと続けば良いのに〉という一節に実感が乗り、尊い願いとして響いていった。もう一方の「シークエル」は、山下の表現のひとつ“ファンタジー”の世界を色濃く映し出した一曲。途中で立ち上がり、ミュージカルさながらに全身で感情を描き出すパフォーマンスが印象的。動くたび、ジャケットの裾にあしらわれたプリーツがふわりと揺れ、その残像が甘い余韻のように残った。

ここで「みんなも知ってるんじゃないかな……?」といたずらっぽく客席を見渡しながら始まったのは、「バレンタイン・キッス」のカバー。““KAWAII POPアレンジ ver.”と名付けられたカバーでは、軽やかでポップなアレンジに乗せて、甘さを強調した歌声から、弾けるようなアイドルボイス、色気あふれる低音ボイス、コミカルなニュアンスまで、ブロックごとに声色を自在に切り替えていく。声優として培ってきた表現力が舞台でエンターテインメントに昇華させてみせた。

続く「キラキラ DREAMER」はTVアニメ『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-』で、山下が演じる佐伯希星をフィーチャーしたキャラクターソングで、爽快感のあるナンバーだ。

山下が歌い始めた瞬間、手元のペンライトをキャラクターカラーの「青」に変えるひとも見受けられた。次のMCでその様子についても触れ「瞬時に変えてくれたひとが見えて、きっと観てくれていたんだろうなって」と感慨深げ。

「キラキラしたアイドルのその底に隠れた努力もしっかり描いた作品で、アイドルものとしてはチャレンジングだったと思います。内容も曲も本当に素晴らしい作品です。ぜひ観ていただきたいです」と語った。

「バレンタイン・キッス」については、某コンテンツ名を挙げながら「本当にいろいろな方がカバーされてきましたが、それこそ声優だと諸先輩方が“登竜門”として通っている作品で歌われていて。僕もやっと通れたということで」となんだか嬉しそう。

ちなみに軽やかなKAWAII POPアレンジで届けられた昼公演に対し、夜公演ではビターな“大人アレンジ”で披露。『あんさんぶるスターズ!!』で山下が演じる朔間 凛月のキャラクターソング「真夜中のノクターン」へとつないでいる。

そしてここからは、山下にとって「挑戦」の時間。「いっちばん緊張してるかも」と思わず本音をこぼしながら披露したのは、山下大輝 × 畠中祐名義の「微炭酸アドレセンス」(TVアニメ『夢中さ、きみに。』ED曲)で、山下のハイトーンボイスと、畠中のセクシーなハスキーボイスという対照的な魅力で成立してきた楽曲を、この日はひとりで歌い分けてみせる。これもまた、新章への覚悟の表れと言えるのではないだろうか。

そこから続いたのは1stアルバム『from here』に収録されている、BLUE ENCOUNT・田邊駿一が提供したロックバラード「暁」。何度聴いても胸の奥に静かに沁み込んでくる名曲だ。この日はとりわけ感動的で、客席のあちこちで涙を拭う姿が見られるなか、歌う山下自身もまた、こみ上げるものを必死に押さえているように見える。

〈まだ見たい未来(けしき)がたくさんあるよ〉と伝える場面では、手を目へと差し出し、ゆっくりと自身の胸に添えていく。その仕草は、いま目の前にいるファンだけでなく、これから先に広がる景色までも抱き寄せようとするようであった。

歌い終えると「いやあ、しみじみするな」とぽそり。「アーティストを始めてから、まだそんなに長い時間が経っていない気もするんですけど、もう何年もやらせてもらっていて、いろんな景色を見させてもらったなって思うと、どうしても思い出してちょっと込み上げてきちゃって。まだまだ、みんなといろんな景色を見ていきたいなと思いました。最後のほう、ちょっと涙が出そうになったけど、我慢しました」と正直に明かした。

ラストの曲を目前に白井がステージをあとに。この日、何度も白井への信頼と賛辞を口にしていた山下は、白井の背中を見送りながら、あらためてそのセッションの楽しさを振り返る。そして「察しのいい方は分かると思うんですが、さすがにアコースティックバージョンはまだ早すぎるだろうということで、(オケで)歌わせていただきたいなと。自分がどうなってしまうのか。歌い終わったあとの山下に託したいと思います」と、緊張気味にはじまっていったのは、もちろん新曲「アイたりナい」。

ポップで軽快なメロディの乗せた甘い歌声から一転、サビで重厚かつダークなサウンドへと切り替わり、山下のシャウトが響き渡る。“Sweet & Bitter”を行き来する、感情剥き出しのラブソングだ。浜田が評した「平成と令和を合体させたような良い楽曲」という言葉はまさにぴったりで、新しさの中に、ふと懐かしさが顔をのぞかせていた。さらにサプライズとして、スクリーンでミュージックビデオが公開に。MVは、SyoyoとえむめろによるイラストMVで、思春期や恋愛の只中にある、名付けきれない感情を繊細な色彩で描き出した。

ステージを終えると肩の力が抜けたように息をつき「ライブで歌うと情緒がおかしくなる」と笑った山下。新曲含む全10曲という贅沢なメインディッシュに対し、観客に「楽しんでいただけましたでしょうか?」と問いかければもちろん大歓声だ。

バックステージから戻ってきた寺島は「キーボードと歌声のシンプルな構成だからこそ、より大ちゃんの歌声がいつも以上に聴こえてきて、こんなに素敵な歌い方をするんだと思った」と絶賛し、浜田、白井もそれぞれ山下を称えた。全員での記念撮影を経て「1年半ぶりのライブ開催でしたが、またこういう機会があったら、全力で皆さんにいろいろな想いを届けたいと思っています。ありがとうございました」とメッセージ。山下とファンの信頼関係を改めて感じる、温かな拍手が響き渡った。

ところで、山下の音楽活動には、章立てのようにテーマがある。第一章は“エール”。「みんなで一緒に乗り越えていこう」という思いは、コロナ禍という背景とも結びついていた。やがて声出しが解禁され、会場に再び歓声が戻ってきたタイミングで、その章はひとつの区切りを迎え、第二章の“ファンタジー”へ。山下が大切にしてきた“物語を紡ぐ”という姿勢が、より鮮やかに打ち出されたフェーズだった。

この日、新章の方向性が明確に言語化されたわけではないが、ソロアーティストとしての山下大輝と、声優として多くの役を生きてきた山下大輝。そのふたつの顔が、これまで以上に自然に溶け合い始めていることは、確かに感じられた。これから先、その声を通して、より生々しい感情を伝えていくようになるのかもしれない。普段から曲を“キャラクター”として捉える山下だからこそ、新しいページでどんな表情の曲に会えるのか、今から楽しみで仕方がない。

Daiki Yamashita 2026 DAIKING Festa Vol.4 “Sweet & Bitter” イベントグッズ事後通販

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