レシス(LES SIX)は、2026-27年秋冬メンズコレクションを2026年2月16日(月)に木下大サーカス立川立飛 特設会場にて発表した。
少年時代の夢と、その後の自らの経験を投影
今季のレシスのショーは、サーカス場が舞台。序盤には2人のピエロが場内をひとしきり盛り上げた後、オートバイショーが繰り広げられた。巨大な球体の鉄かごの中を3台のバイクが高速走行し、重力を感じさせない軽快さとスピードをもってスリリングに駆け巡っていく。鉄かごに囲われた狭い空間の中を颯爽と自由自在に駆けるバイクの姿は、“閉塞と解放”の象徴であるようにも見える。
見世物になぞらえたコレクションに詰め込んだのは、デザイナーの川西遼平がファッションの世界を志した少年時代の夢と、実際にファッションの世界に身を置き、時に理想と現実の乖離に直面しながらもクリエーションを続けてきた20年間にわたる経験。ファンタジックな要素と、経験に裏打ちされた衣服の表現の両方をコレクションに投影している。
幻想的なコスチュームを独自の佇まいに
象徴的なのは、サーカス団の衣装を思わせるピース。ピエロや演者たちのコスチュームに見られる幻想的な要素を踏襲しながらも、レシスの得意とする加工や装飾、シルエットを組み合わせることで、独自の佇まいを描き出している。
ギャザーフリルの襟に大きなボタンが目を引くオーバーサイズのシャツはエイジング加工を施して退廃的な表情に仕上げた。また、白黒ダイヤ柄のブルゾンには瓶の蓋やプルタブをバッジに見立てて散りばめて遊び心をプラス。マットな素材と艶やかな素材をダイヤ柄パネルで切り替えたフーディーや、メタルファイバーのフリンジを大胆に配したカーディガン、前後の編地でトランプカードを表現したニットも目を引いた。
サーカスの照明のような光と色彩
サーカスの華やかな照明を思わせる、光や色彩の表現にも注目したい。ハードなダメージ加工を施したデニムジャケットやパンツは、赤、青、黄色、緑といった複数のカラーが淡く浮かび上がるようなタイダイを施し、ノスタルジックな表情に仕上げた。何種類もの糸の輪が幾重にも折り重なったストールも、様々な色彩がひしめき合うようにして連なっている。また、光沢を放つ硬質なニットや銀色のペイントを施したジーンズのキラキラとした輝きが目を惹きつけ、余韻を残していく。
均衡を揺さぶる歪みのディテール
非日常的な世界に足を踏み入れた時の、時空の歪みを思わせる“違和感”のあるディテールも散見された。伸縮して波打つコートの生地やセットアップに刻まれたシワ、朽ちたかのような断ち切りの裾は、長い時を経て風化したかのような風合いを演出している。また、まるで白いシャツを浸食していくかのように配された黒い生地のパーツや、大きくほつれたニットの後ろ裾、ジャケットにあしらわれた型紙を連想させるラインなど、完成形の均衡にあえて揺さぶりをかけるデザインも印象的だ。




