ピリングス(pillings)の2026-27年秋冬コレクションが2026年2月12日(木)、有楽町の東京交通会館にて発表された。
夢と現実のあいだの風景
ピリングスの2026-27年秋冬コレクションは、“何気ない日常のドレスアップ”という考えを引き続き起点としながら、その視点を変化させた。テーマに掲げたのは「ランドスケープ(Landscapes)」。それは目に見える景色というよりも、朝方に見る夢のように、現実と記憶のあいだにぼんやりと浮かぶ感覚的な風景を想起させるものだ。デザイナー・村上亮太は、夢だったのか、あるいは現実の記憶だったのか判然としない曖昧な感覚に着目し、リアルとファンタジーのあいだにある領域を服へと落とし込んだ。
しわや歪みを宿すセットアップ
曖昧な領域を描く試みは、都市の日常を遠景から眺めるようなアプローチとして表れる。東京の街を俯瞰するような視点から捉えた日常は、スーツというかたちで示された。
淡いホワイトのセットアップは、いわゆる均整の取れたスーツ像とは異なり、背面にくっきりとシワを刻む。さらに、ポケットの袋布を内側から引き上げることで生地がくしゅっと寄り、スカートのラインに違和感を生み出している。
ありふれた装いの再構築
デニムを取り入れたルックでは、日常着の輪郭がより明確に打ち出された。ボーダーニットとジーンズの装いは一見ラフだが、首元に重ねられた生地が波打つように立ち上がり、襟ぐりのフォルムに揺らぎをもたらす。
さらに、フーディーはフードがわずかに傾いたように取り付けられ、不均衡なバランスをつくり出していた。見慣れたカジュアルウェアのなかに小さなずれを差し込むことで、日常のかたちを書き換えている。
裾が広がるシルエット
ショーを通して印象的だったのは、裾が大きく広がるシルエットのルックだ。ウエストから構築的に広がるスカートは歩くたび揺れ、どこか人形のような佇まいを生む。
ネイビーのニットワンピースは、上半身を身体に沿わせながら、腰位置から裾にかけてドレスのように大きく広がる。背面にはコルセットを思わせるレースアップを配し、装飾性を加えた。日常着としてのニットでありながらドレスを意識した構造が、今季の軸にある「何気ない日常のドレスアップ」を端的に示す。





