肌が喜ぶこと、気分が高まること、心をほぐしてくれること。それにくわえて、これからは“そのブランドがどんな未来を目指し行動しているか”にも目を向けてみたい。あたらしい美しさの基準は、自分の目で選び取る時代へ──。今回は、ヴェレダ、THREE、LUSHの取り組みにクローズアップ!
ヴェレダ
一日最大1万件の商品の“CO₂排出ゼロ出荷”を可能に
南ドイツに構える〈ヴェレダ〉の完全サステナビリティ型物流センター「クレイドル・キャンパス」は、年間約130万kWの太陽光発電モジュールと地熱発電システムによって、センター全体のオペレーションを化石燃料に頼らず、CO₂排出ゼロで稼働する。
敷地は東京ドーム約1.5個分。
建物の壁には約3000㎡分の廃棄土を再利用し、大量の荷物を立体的に保管するハイベイ倉庫には、鉄筋ではなく地元産の木材を使用することで、建設段階からCO₂排出量を大幅に削減、環境負荷を最小限におさえることに成功した。
ハイベイ倉庫には、トウヒやヨーロッパモミなどドイツの地で育った天然木材を約5800㎥使用。広大なビオトープやフラワーガーデンでは、果樹、バラの生垣やハーブなどを栽培し、多様な生態系の保全にもつなげている。原料の栽培から製品となるまでの工程すべてにおいて、厳しい基準をクリアした生産背景を持つヴェレダ。
7.2haの広大な敷地内で建物が占める割合は20%以下にとどめ、残る土地にはビオトープやフラワーガーデンが広がり、生物多様性を守り、育む環境が整えられている。環境への配慮を、パッケージや原材料だけでなく、配送まで含めたサプライチェーン全体に広げていく。
2024年秋に誕生したばかりのここは、「人と自然の調和の中で、責任ある成長を実現する」というブランドの理念、持続可能性をさらに進めたものづくりと流通の新しいあり方を示す期待のプロジェクトとして注目を集めている。
2030年までにEU加盟国はプラスチック包装の再生材利用率を70%以上にすることが義務づけられていることから、今後は、すでに取り組んでいる容器のサステナブル化を、さらに強化していくつもりだ。
世界50ヵ国以上で展開、47ヵ国へ一日あたり最大1万件の商品を出荷する人気コスメブランド。その物流センターが運用時に発生するCO₂の排出をゼロにする。それが未来にどれほど大きなインパクトをもたらすのか。その意義を深く考えさせる取り組みだ。
THREE
耕作放棄地を農園に。土地を守り、文化を紡ぐ
長く人の手が離れていた土地を自社農園としてよみがえらせ、化粧品の原料となるハーブなどを育てる。熊本県南阿蘇村、佐賀県唐津市の耕作放棄地や遊休地だった畑は、市町村や福祉施設と連携しながら約9haにまで拡大。化粧品業界では日本最大級規模へと成長させた。

ここで育った植物は、加工過程で出る未利用部位や余剰分もアップサイクル原料として活用。精油の抽出時に得られる芳香蒸留水は化粧品の成分として活かされている。また南阿蘇では、野焼きにより守られてきた草原が雨水を大地へと浸透させ、豊かな水源を育んできたが、野焼きの担い手不足により、この循環の継続が難しくなりつつある。
2025年には、佐賀県呼子町にある伝統的な街並みを活かした蒸留所を開設。
そこで〈THREE〉は、この地に息づく水の恵みを活かし、あえて多くの水を必要とする植物を育て、水を循環させるとともにその植物を精油づくりに役立てている。抽出後の残渣は家畜飼料として活用し、農業や畜産業の収益にもつなげている。こうした循環が人の定着を生み、草原管理や野焼きの文化を未来へとつなぎ、自然の営みが紡がれていく。
苗づくりから収穫、蒸留、研究まで一貫した〈THREE〉の精油づくりを体験できる場として、自社農園で収穫した植物から精油を抽出する様子を見学できるほか、さまざまなイベントを予定しているそう。
