鮮やかなイエローのウィッグと、風に吹かれたようなヘアが印象的な“アンチ・ノーマル”なメンズショーを発表してから、わずか5日後。ジョナサン・アンダーソンは再びランウェイへと戻ってきた。2025年にディオールのクリエイティブ・ディレクターに就任して以来、初となるクチュールコレクション。その世界観を完成させたのは、まさに「満開」という言葉がふさわしいビューティールックだった。
「ジョナサンは、ビューティーにとてもモダンな感覚を求めていました」、バックステージでそう語るのは、ヘアを手がけたグイド・パラオ。彼はキャスティングディレクターのアシュリー・ブロコウと並び、コーヒーを飲みながら静かにショーの進行を見守っていた。周囲ではモデルたちがキュウリのティーサンドイッチやエスプレッソ、クレープをつまみ、ビューティーチームは最終調整の真っ最中だ。「ジョナサンと、ディオール メイクアップのクリエイティブ&イメージ ディレクターであるピーター・フィリップス、そして私の3人で、“メゾンの未来”をどう描くか、フューチャリズムの視点からたくさんのアイデアを検討したんです」。

ディオール(DIOR)2026年春夏オートクチュールコレクションより。
Photo: Matteo Valle/launchmetrics.com/spotlight
ピーターもまた、「今回のコレクションはとても実用的で、フレッシュ。そのムードに見合うビューティーである必要がありました」と語る。メイクはまず、ディオール フォーエヴァー スキン ラインで肌を補正。その上から、ローズ グロウ スティックの「ピンク ライラック」を重ねた。さらに、肌のアンダートーンに合わせたルミナイザーを、頬骨の高い位置とまぶたにさっとのせる。このひと手間こそが、肌を“生き生きと”見せる秘訣だという。「ユニコーンのハイライターのように主張させるのではなく、あくまで自然に。すると――“エ・ヴォワラ!” 顔に光が宿り、瞬時にグロウ感が生まれるんです」。
花、ヴェール、そして“ほのツヤ”が描く新しいロマンティシズム
ディオール(DIOR)2026年春夏オートクチュールコレクションより。
Photo: WWD/Getty Images
ディオール(DIOR)2026年春夏オートクチュールコレクションより。
Photo: WWD/Getty Images
今回のヘアには、いくつかの異なるバリエーションが用意されていた。そのインスピレーション源のひとつが、シクラメンの花。小ぶりながらも鮮やかな色彩を持つこの花は、かつてディオールのクリエイティブ・ディレクターを務めたジョン・ガリアーノから、ジョナサン・アンダーソンへ贈られたものだという。
