近年、ナチュラル・オーガニック原料を取り巻く環境は転換期にある。合成香料本来のフレグランスとしての役割から逸脱し、「強さ」や「主張」だけを目的とした香りが氾濫した結果、香りによって不快感や体調不良を引き起こす、いわゆる「香害」が社会問題として認識されるようになった。
こうした状況の中、化粧品やフレグランス分野では、自己主張よりも周囲と調和し、自然に寄り添う香りを求める価値観の変化が、ナチュラル・オーガニック原料への需要拡大を後押ししている。
成分の安全性や環境配慮への意識の高まりとともに、「香りそのもののあり方」が問われるようになり、オーガニックコスメ(クリーンビューティ)は主流の選択肢へと移行しつつある。
合成原料で構成された調合香料は、コストや効率を優先するあまり、天然由来のアコードを軽視した設計がなされてきた側面がある。その結果、人の感覚や生活空間との調和を欠いた香りが広がり、「香害」を生む一因となった。
一方、植物由来の香りは、「水に香料を添加する」という発想とは本質的に異なり、植物が育つ過程で水とともに蓄えてきた芳香成分が、穏やかに立ち上がり、無理なく人や空間になじむ。
ネオネクリエーションの代表取締役社長・竹内昭夫氏は、これを「自然が水に託して連れてきた香り」と表現する。
「日本は自然が身近にある国であり、本来、香りは『作り出すもの』ではなく、自然の中で感じ取るものとして受け止められてきた。しかし現代の生活環境では、自然の匂いや日常の微細な香りを感じ取りにくくなっている。ナチュラル・オーガニックな香料は、そうした環境の中で、再び自然と向き合うためのきっかけになる存在だと考えている」(竹内社長)
仏オーガニック原料企業が
日本で本格供給を開始
こうした市場背景を受け、ネオネクリエーションは2026年1月より、フランスの原料企業、TERRA PROVENCE社と販売に関するパートナーシップを構築。日本国内における独占販売をネオネクリエーションが担い、本格的な供給を開始した。製品は全てCOSMOS認定を取得できる。
TERRA PROVENCEは、ラベンダーの名産地として知られるフランス南東部・ドローム・プロヴァンサル地方に拠点を構え、豊かな自然環境と伝統に根ざした原料づくりを行っている。全製品でオーガニック認証を取得し、「100%ピュア&ナチュラル」という厳格な品質基準を掲げ、世界各国の高品質志向の顧客から高い信頼を得てきた。
主力製品のエッセンシャルオイル(精油)は、ラベンダーやローズマリーなど多様な植物を原料とし、水蒸気蒸留法により植物本来の成分が凝縮され、アロマセラピーや化粧品など幅広く活用されている。
また、ローズやジャスミンなどの繊細な花の香りを持つアブソリュートは、溶剤抽出法による高濃度の芳香成分で、立体感と深みのある香りが高級香水や化粧品に用いられる。
さらに、蒸留過程で得られるフローラルウォーター(ハイドロソル)は、クリーンビューティーに新たな付加価値を与える原料として注目されている。そのほか、植物の種子や果実から圧搾される植物油も取り扱い、顧客製品に自然由来ならではの価値を提供している。
社内には抽出室、浸漬室、分析・研究開発ラボを完備し、徹底した品質管理体制を構築。近年はオーガニック・ハイドロソル専用の無菌ろ過クリーンルームを新設するなど、最新設備への投資も進めてきた。
同社は1991年、「未来世代のために地球環境を守る」という理念のもと設立された。現在はヴィクトワール・エラン氏が経営を引き継ぎ、技術力と生産体制の強化を推進する。2026年を本格的な商業展開の年と位置づけ、その第一歩として日本市場を選んだ。
香りを「主張するもの」から「寄り添うもの」へ。価値観の変化がもたらすこの選択は、今後の市場で確かな存在感を示していきそうだ。
