誰かに恋愛感情を抱き、想いが実れば交際する。一般人であればなんの問題もない、ごく自然なことが、アイドルという職業に就く者にとっては、なぜ「罪」になってしまうのか。深田晃司監督による『恋愛裁判』(公開中)は、時にファンの疑似恋愛の対象にもなりうるアイドル界において、長らく暗黙の了解とされてきた“恋愛禁止ルール”に鋭く切り込んだ意欲作だ。
恋愛禁止条項違反で所属事務所から訴えられてしまったアイドル
主人公は売りだし中の新星アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める山岡真衣(齊藤京子)。中学時代の同級生で大道芸人の間山敬(倉悠貴)と偶然再会し、いつしか恋に落ちた彼女は、アイドルとして背負う恋愛禁止ルールと、抑えきれない自分の感情との間で葛藤する。ある事件をきっかけに、ついに敬のもとへと駆け寄った真衣だったが、その8か月後、「恋愛禁止条項違反」で所属事務所から訴えられてしまう…。
中学時代の同級生、間山敬と再会し、いつしか恋に落ちる真衣[c]2025「恋愛裁判」製作委員会
『淵に立つ』(16)で第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞を受賞し、『LOVE LIFE』(22)で第79回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど、海外映画祭でも高い評価を受けてきた深田監督。元アイドルの女性が異性との交際を契約違反とされ、賠償を命じられた実際の裁判に着想を得た監督が、約10年にわたる構想を費やし、自ら企画・脚本(共同)も手掛けた本作も、第78回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門への正式出品を果たした。
「恋愛禁止ルール」を破ったという理由で所属事務所から訴えられる真衣[c]2025「恋愛裁判」製作委員会
徹底したリアリティを追求するために、ハッピー☆ファンファーレのメンバーは、オーディションを通して、現役アイドルや元アイドルを中心に構成されていることも注目ポイント。まるでドキュメンタリーのようにリアルなアイドルの世界を表現するグループメンバーのキャラクター、演じるキャストたちを紹介したい。
公式サイトが存在し、楽曲のサブスク配信も行っているハッピー☆ファンファーレ
ハッピー☆ファンファーレは「あなたと一緒にハッピーな世界を、音楽でつくる!」をコンセプトにした5人組女性アイドルグループ。メンバーは三浦美波、大谷梨紗、山岡真衣、清水菜々香、辻元姫奈。ファンネームはラッパ隊。現在人気急上昇中の“ハピファン”の目標は、いつか日本武道館でライブを開催すること。握手会には毎回、大勢のファンが詰めかけている。
「agehasprings」の音楽プロデューサー、玉井健二が制作したオリジナル楽曲「秒速ラヴァー」と「君色ナミダ」は、Spotifyなど各種オーディオストリーミングサービスで配信中。メンバープロフィールやディスコグラフィ、「秒速ラヴァー」のMV short Clipなどが掲載された公式サイトのほか、本物と見間違えるほど作り込まれた公式インスタグラムも存在する。メンバーカラーのペンライトやマフラータオル、トートバッグ、マグカップといったグッズの数々、インスタライブやクリスマス特別企画の動画などもアップされているのが楽しい。
