キディル(KIDILL)の2026年秋冬コレクションが、2026年1月20日(火)、フランスのパリにて発表された。テーマは“HEAVEN”。
“矛盾”を秘めた静寂なパンク
パンクを中核とするキディルであるが、より重く過剰になっていくパンク・ファッションというものに改めて目を向けた時、デザイナー・末安弘明は自身の中のベーシックなパンクは残しつつ、穏やかで落ち着いた新たなパンクを生み出したいと考えた。それはある意味“精神の解放”であり、テーマに据えた“HEAVEN”へと穏やかに向かっていくような、静寂なコレクションを手掛けた。
対極にある要素を掛け合わせて
今季、キーワードとなってくるのは“矛盾”だ。コレクションリリースには偶然と必然、混沌と静寂、大胆と繊細、カワイイとハードコアといった言葉が並んでおり、各ルックには対極にある要素が交じり合っている。
たとえば、アルファ インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)とコラボレートしたMA-1。無骨で“男性らしい”黒一色のMA-1を、肩から袖まで柔らかなチュールで包み込んだ。ハードとソフト、男性性と女性性を共存させた象徴的なピースとなっている。
2025年春夏に続き、アンブロ(umbro)ともコラボレーション。スポーツウェアならではの動きやすく軽快なファブリックを用いたジャケットやパンツには、無数のアジャスターを組み込んだ。ラインは縦横無尽に服の上を走り、アジャスターが点在。着る人が自由にシルエットを変えることができる。
MA-1をはじめ、シャツやモッズコート、ブルゾンといったミリタリーテイストのアイテムには、30年以上東京のアンダーグラウンドを拠点に活動するイギリス人アーティスト、トレヴァー・ブラウンのアートワークをオン。存在感抜群のワッペン刺繍が、より混沌とした空気感を添える。
天使と悪魔、目玉が咲く薔薇など幻想的なディテール
末安自身の居心地のいい方向へと舵を切った今季のキディルは、“HEAVEN”へ導く夢見心地なディテールも随所に差し込まれている。アンブロのウィンドジャケットのフードは腰まで長く伸び、魔導師を思わせる。そして身体を隠すほど大きな天使と悪魔の羽、目玉が咲く薔薇、黒猫の耳や尻尾など、数々のファンタジー性がキディルらしいパンク要素と共鳴している。



