掲載日
2026年1月19日
日曜日は、ドメニコ・オレフィーチェとヴィクター・ハートの鮮烈なランウェイデビュー、カシミの胸を打つショー、そしてイタリアを代表するサントーニとトッズの見事なプレゼンテーションが相次いだ。
ドメニコ・オレフィーチェ:イタリアに新たなファッション・カルトが誕生
ドメニコ・オレフィーチェはナポリ出身で、いまはトスカーナを拠点にするデザイナー。今回、ミラノで初のランウェイショーに臨んだ。
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Domenico Orefice – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
デビュー前からすでにクールなカルト的人気を確立し、その服のダークな輝きにイタリアのファッショニスタが魅了されていた。
クラブ好きや夜更かし派をターゲットにした2026年秋コレクションは、アティチュードが横溢。ショーは、レギンスと海賊風のブーツに合わせた、超ハイなシャギーカラーのロックスター風ブルゾンで幕を開けた。続いて多数の大胆なジャケットが登場し、いずれもファンネルネック付き。ダークグリーンのフライトジャケットは、襟を大きく開くとまるでマントのように見えた。
女性向けには、パールのネックレスやタイを描いたトロンプルイユの白いコットンシャツや、シアリングのカマーバンドを添えたコットンピケのドレスシャツを提案。なかでも、どこかで掘り出されたかのような錆色のディストレスド・レザージャケットは圧巻で、態度そのものが雄弁だった。
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Domenico Orefice – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
これを見れば、ドーバー・ストリート・マーケットが昨年、ドメニコ・オレフィーチェに初回の大口オーダーを組んだのも当然だと納得できる。
会場は、ミラノ北部にある次世代イタリア・ファッションの拠点、カルラ・ソッツァーニ財団。彼女のパートナーであるクリス・ルースのリズミカルなアートが、オレフィーチェのエッジの効いたファッション・アートに完璧な背景を与えていた。まさしく、それはファッションという名のアートだ。
ヴィクター・ハート:デニム・ダンディたち
肌寒い日曜日、ヴィクター・ハートが公式日程で初めて披露するランウェイを観るため、選ばれた少人数が集まった。
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ヴィクター・ハート – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
ガーナ出身でパリを拠点にするデザイナー、ヴィクター・レジナルド・ボブ・アビー=ハートが立ち上げた新進のデニム主導ブランド。パリの同市のオート・フューチャー・ファッション・アカデミーの卒業生であるヴィクターは、デニムに関して実に明確な視点を持っている。
彼の大きなアイデアは、ジャカード織のデニムで仕立てた大胆なコートやクロークの開発。イタリア・ファッション界の統括団体カメラ・デッラ・モーダの会長、カルロ・カパサらが誇らしげにまとっていた。
南ミラノの再開発工場で、約200人規模で行われたこのショーは、外の入口にもさらに人だかりができるほどの熱気。場内はややアマチュア感もあり、ショー音楽が2度止まっては再開する一幕ののち、ようやく最初のモデルが登場した。
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ヴィクター・ハート – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
ヴィクターは見事なキャスティングで、泥はね風、筋状のムラ、斑点染めのようなあらゆるデニム加工を駆使し、ヒップでハイブリッドなワークウェアを提示。オーバーサイズのサファリジャケット、バルーンシルエットのカーペンターズパンツ、サイドスリット入りのワークコート、聖職者風のスータンまで幅広く揃えた。
これらは、顔に縦の黒いストライプを走らせたり、頬や首にシルバーを刷り込んだようなメイクを施したモデルたちが着用。頭上にはフェドーラや、ゴールドピンをあしらったエレクトリック・ブルーのウール製ビーニーを、サイモン・アデビシ風に小粋な角度で。ヴィクター自身も同じスタイルで登場し、温かな拍手に包まれて一礼した。
カシミ:思い出としてのモード
日曜日の朝は、湾岸のインスピレーションと西洋のデザインを融合するブランド、カシミの最新コレクションで幕を開けた。
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Qasimi – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
しばしば建築的なムードを喚起しつつ、ずらしたループやスパイラル、せり出すファブリックが、流動性と運動性に満ちた服を形作る。ミラノ中南部のトルトーナ通りにある元工場で行われた2026年秋冬のこのショーでは、モデルが進むたびに多くのルックがひらひらと揺れた。
コレクションの鍵はアシンメトリーなレイヤリング。ラペルの長さはまちまちで、片肩からはスカーフが伸び、袖は時に独自の生命を宿すかのように見えた。
一歩間違えば散漫になりかねないが、デザイナーのフーア・アル・カシミの手にかかれば、遠い追憶を呼び覚ますタイムカプセルのような服へと昇華。レバノンのアーティスト、ダラ・ナセルによる、うねる天然染色のタペストリーの下での演出がそれを支えた。
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Qasimi – 2026 – 2027年秋冬 – メンズウェア – イタリア – ミラノ – ©Launchmetrics/spotlight
このコレクションは、「衣服の中にいかに記憶が息づいているかを省察するものです。一着一着が器となって、過去の断片、修繕の行為、そして私たちが手放さずに守り続けるものを静かに運ぶのです」とフーアは説明する。
創業者ハリド・ビン・スルターン・アル・カシミが39歳という若さで早逝したという、このブランド固有の歴史への胸に迫る言及でもある。だが彼の穏やかな遺志は、この日のミラノのショーにおいても気品をもって息づいていた。
サントーニ:パティーヌにラギッドを添えて
サントーニは、独特のヴェラトゥーラのパティーヌで知られる、きわめて品格ある靴を作り続けてきた。今シーズンは、その美点にラギッドなシックをひとさじ加えた。
たとえば、新作マウンテンブーツ「カール・アイス」。上部はマウンテンフックとチャンキーなシューレースで仕上げ、下部は注目のチェルヴィーノ・ソールを搭載。オレンジのフレームを反転させることで、スムース面からスチールのピン付き仕様へと切り替えられる。アイスバーンでの使用に最適だ。
ローファーの要素とブーツのアッパーを幸福に融合させた非常にスマートな「カルロ・ブーツ」にも、同じ技法を採用。
サントーニの徹底したエクセレンスは、やはり胸を打つ。職人が何十時間もかけてレザーを成形し、アッパーのサイドにステッチのない新しいレースアップを実現。フットウェアでは前代未聞だ。さらにソールの外周には、別の職人が極小の真鍮釘を手打ちで並べた。まさに“履くオブジェ”。
さらにこのメゾンは、今季最高のブーツを祝う洒落たカクテルバーまで用意。輝くブラウンの特注クロコダイルのレースアップ・ジェントルマン・ハイカー・ブーツだ。1足オーダーしても、15,000ドルからお釣りはあまり期待しない方がいい。
トッズ:来たる冬季五輪はウィンター・ゴンミーノの独壇場に
この季節にこれ以上ふさわしいブーツはない──そう思わせるのが、トッズのチャンキーなブーティ「ウィンター・ゴンミーノ」。
トッズの2026年秋冬コレクション – Courtesy
ミラノで最も有名なモダニズム邸宅、ヴィラ・ネッキでの瀟洒なプレゼンテーションでは、エントランスに、スエード、アンティークレザー、さらにはカシミアで、4人の職人が1足ずつ手作業で仕立てる様子が設えられていた。
「ウィンター・ゴンミーノを作るうえで必要な、細部への徹底した配慮と、私たちが用いるレザーの卓越性を強調したかったのです」と、トッズのパトロンでありCEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレは語った。
北イタリアでは来月の大会に向けて日ごとに熱気が高まるなか、ウィンター・ゴンミーノは、山で過ごす寒い冬の日の理想的な相棒になりそうだ。
トッズの2026年秋冬コレクション – Courtesy
プレタポルテでは、ヒマラヤの上質なウールを想起させる、柔らかな希少レザー「トッズのパシュミー」にフォーカス。最新のコーチジャケットや、パッチポケット付きのブレザー“カステッロ・ジャケット”に見事に用いられた。
アプレスキーにも悪くないルックだ。
