歌から逃げなかった1年
―歌において、「ハナユキ」ではどういった意識を持ってました?
今までとの一番の違いは、ボーカルの録りとエディットを神部(秀彰)さんに初めてやってもらったことだと思います。神部さんはボーカルエディットの超スペシャリストで、BE:FIRSTのボーカルエディットをしているのとかを見て「ポップスのボーカル作りが超上手だな」「その人の声のよさを際立たせるのがマジで上手いな」とずっと思っていて。自分の歌声がめっちゃいいなって思うのは、神部さんのおかげだと思います。それも込みで「あの時に聴いていた歌だ」ってなりました。神部さんはアイドルカルチャーに欠かせない存在で、もっとフィーチャーされるべき人だなって思いますね。
―2025年は、3月に行った自身最大規模の東京ガーデンシアター公演『Aile The Shota Oneman Live “REAL POP”』から、J-POPを追求した4曲の完成まで、Shotaさんにとって「歌と向き合った1年」、もしくは「歌から逃げなかった1年」とも言えると思います。改めて今、自身の「歌」についてはどういう考えを持っていますか?
ずっと飛び級させてもらっているなって感じていたからこそ、自分が自分の説得力に満足いかないと嫌で、そのための1年だったなって思いますね。歌に向き合った1年の最後に、自分の歌を好きになることができてよかったです。次のアルバムはほぼほぼオートチューンを使ってないんですよ。「IMA」みたいにオートチューンでニュアンスが出る曲もあると思うんですけど、今回で「俺、歌上手いじゃん」「ちゃんと歌える人だ」と思えるようになって、自分の声を通してファンになってもらいたいのもあって、結果的にオートチューンをかけずに歌う曲が増えました。オートチューンがかかっている曲も、録っている時は自分の声のままであとがけしているので、今までより歌心が出ているんじゃないかなと思いますね。あと、イヤモニも転がしもないようなイベントやクラブの音響でも、ビビらずに歌えるようになりました。ビビらずに声を出せる人に憧れていたんですよ。
―ビビっていた、というのは、何に対してビビってたんですか?
ピッチを気にしすぎているのもあると思うんですけど。ピッチ耳なんですよ。けっこう気にしいですからね。「1ミリ足りともミスりたくない」とか思うので、頭で考えて歌うシーンが多かったんです。りょんりょん先生(ボーカルトレーナー)も言うんですけど、感情が前にあって歌った方がピッチもよかったりするんですよ。そんなわけないんだけど、そんなわけある、みたいなことが起きる。自分の歌を信じて、それを受け取ってくれる人を信じて、声が枯れている日のライブも逆に「これ、レアじゃね?」って思えるようになったり、そう思ってもらえるくらいのパフォーマンスができるようになったり、色々と自信をつけた1年でした。
―最近のShotaさんのライブを見ていると、人前に立つ際に「守るべきところ」と「意外と必死に守らなくても大丈夫なところ」を見極められるようになって、Shotaさん自身が身軽な姿でステージに立っているように感じます。
より繊細に、かつ、より大胆になった気がしますね。「別にこのあとライブでもいいよ」みたいなスタンスというか。発声してなくても突然歌えるようになるのは、多分、気持ちの問題なんですよ。足を前に出すだけで声の出方が全然変わる、みたいな。色々経験したからこそ、繊細さは研ぎ澄まされて、大胆さはより大胆になった、という1年でした。……成長したなあ。
