掲載日
2026年1月8日
1月初旬にミラノで旗艦店をオープンし、ポレーヌは世界四大ファッション都市での存在感を確かなものにしました。シャンゼリゼ大通りのロンド・ポワン(Rond-Point des Champs-Élysées)の旗艦店の開業に続き、2025年にはロンドンのリージェント・ストリートにも出店(さらに北京、ハンブルク、コペンハーゲンにも展開)。ミニマルなデザインのバッグで支持を集めるフランスのアクセシブル・ラグジュアリーブランドは、2026年の幕開けも同様のペースで走り出します。ニューヨークのソーホーには2年前から拠点を構える同ブランドは、ミラノの「クアドリラテロ・デッラ・モーダ」地区に、世界で11店舗目となるブティックをオープンしました。
ミラノのポレーヌ新店舗 – Polène
アレッサンドロ・マンゾーニ通り37番地に位置し、プレミアムブランドのブティックやデザインショップが立ち並ぶこの場所で、ポレーヌは5つの大きなショーウィンドウを構え、バッグの見せ方における演出力を存分に発揮しています。ポシェット「Neiti」は260ユーロから、主力モデルの「Mokki」は540ユーロ、「Cyme」は420ユーロで展開。各ブティック同様、自然素材を前面に打ち出しつつ、土地のコードを取り入れた世界観を提示します。
ミラノでは、ノーム・アーキテクツが手がけた店内の各スペースが、それぞれ異なる素材をテーマにしています。エントランスはミラノの石畳を想起させる石材、その先には職人の仕事を思わせる多様な表情のレザー、さらに温かみあるコントラストを生む木材が続き、最後の空間ではセラミックが主役となります。「動線のクライマックスにあたる最後の空間には、イタリア人アーティスト、クララ・グラツィオリーノの作品を展示しています。ブティックの入口からも見える位置に据えられ、来訪者の視線を捉えます。セラミックで表現された作品は、レザーのテクスチャーを想起させるもの。今回のコラボレーションは、ポレーヌが地域のサヴォワールフェールを称え、各プロジェクトを土地に根づかせるという意志を体現しています」。
ミラノ店のインテリア – Polène
10年前にデジタル発のブランドとしてスタートした同社は、店舗での独自体験の提供に注力しています。パリでは9月末、旗艦店内にキャビネ・ド・キュリオジテを設け、スペイン・カディス地方ウブリケの自社提携工房で製作されるプロダクトの主要工程を可視化しました。こうしたサヴォワールフェールの可視化の試みはミラノでも。「没入型のCraft at Workは、この探求をLeather Orchestraへと発展させます。小さな専用スペースで、来訪者はレザーパネルのアンサンブルの指揮者となり、素材と音が“オペラの街”と呼ばれるミラノに呼応するユニークなパフォーマンスを体験します」と、同社はリリースで説明しています。
大手ラグジュアリーブランド同様に、顧客との関係性を儀式化し、オファーの演出に細心の注意を払うこのフランスブランドは、コンセプトづくりにも強いこだわりを見せます。北京では、12月にオープンした太古里三里屯の旗艦店で、店内をレザーのレンガのみで構成する世界観を採用しました。「これらのレンガは、提携工房で回収した革の端材を当社独自のプロセスで圧縮して製造したものです」と同社はFashionNetwork.comに説明し、この店舗のために12トンのレンガを搬入したといいます。「このコンセプトの実現には、各チームが素材を受け取り活用できるよう、綿密な事前準備が必要でした。しかし最終的には、レザーの手触りと鉱物的な表情が同居する唯一無二の世界を提供することができました」。
12月にオープンした北京のPolèneショップのインテリア – Polène
細部への徹底した配慮と、店舗ごとに語られる物語性は、精緻なデザインと巧みにコントロールされた希少性のイメージと相まって、10年前にアントワーヌ、マチュー、エルザ・モタイ(セントジェームス創業者の孫)によって設立された同ブランドの成功を支えています。オンライン販売の伸長と実店舗展開の相乗効果により、ポレーヌは近年、年平均で2桁成長を続けています。複数の情報筋によれば、2025年には売上高が3億5000万ユーロに迫るとも見られる一方、長期志向の企業文化を掲げる同社は、拡大に伴う課題にも直面しています。
パリ中心部のルーヴル通りに新たな本社を構え、オペレーション部門を集約。従業員は現在1,200人に達しましたが、一方で商品の在庫不足への対応が課題です。アンダルシアでレザーバッグを生産するというこだわりは維持しつつ、他素材の活用やジュエリー、アクセサリーのカテゴリー拡充も進めていますが、レザーがブランドアイデンティティの中核であることに変わりはありません。生産力強化に向け、現地での自社工場建設プロジェクトも始動していますが、いくつかの遅延が生じており、稼働開始は2027年の見通しです。グローバルでの実店舗ネットワーク拡大に合わせ、現地チームの育成や販売におけるリチュアルを通じて、ブランドのアイデンティティを確立していく必要もあります。さらに、自己資金による成長を標榜する同社は、この取り組みのペースを緩める考えはありません。
2024年からは、LVMHおよびアルノー家に関連するファンド、Lキャタートンを株主に迎え、2026年に向け複数の出店計画を進めています。アジアでは、東京・GINZA SIXというラグジュアリー商業施設に出店予定で、地域のハブとして存在感を増すシンガポールにも注目。米国でもカリフォルニアやシカゴでの展開を視野に入れています。さらに中東では、ドバイのモール・オブ・ザ・エミレーツでの開業を予定。フランス発の成功を新たな地平へと広げていきます。
