プロジェクトにも表れる

“Offo tokyoの音楽”のポリシー

――(笑)。そんな皆さんは2025年2月にメジャーデビューを果たしました。いろんな面で変化を感じていそうです。

Shota:バイトをしなくてよくなった、くらいですかね。

Hiira:だな。

Seiya:曲を制作してライブをやってという動きはデビュー前から変わらないですね。

Nemo:ありがたいことに、曲に関しては自由にやらせてもらっているので、作り方が変わったということもありません。

Shota:“メジャー感”的なこともデビュー前から意識していましたし、僕自身が好きな音楽がメジャーなものばかりなんですよね。「自分も聴きたくなるような音楽を作りたい」という思いも、あまり変わっていないですね。

――そんな皆さんがデビュー後リリースした「Your Song」「哀とアイスブルー」「Mermaid -Never Ending Summer-」はBillboard JAPANの“Heatseekers Songs”にチャートインしました。

Nemo:まさか自分たちがチャートに入るとは思っていなかったので、1週間くらい気がつきませんでした。SNSでリプが飛んできて、最初は「またまたぁ~」と思っていたんです。見てみると名前があったので、ビックリしました。たくさん聴いていただいて、シェアしていただいた結果ですよね。ありがたいですし、「ウケる!」と思っていました。

――これだけ広がった要因はどこにあるとご自身たちで分析されますか?

Nemo:僕らとしては、「綺麗すぎない」ところがいいのかなと思っています。Offo tokyoは、できる限りマスキングをしていないんです。というのも、整えていく作業の中で失われる濃度があると思っていて、僕らはその濃度をコントロールするための絶妙なバランスを探るべく、常にトライ&エラーをしています。とはいえ、誰もわからない難しいことをやるのではなく、「食べたことがあるようでないカレーを作る」みたいな感覚ですね。僕らの音楽を聴いて「懐かしいような、でも新しいような」という感覚が少しだけでも残ってくれたらいいなと思って作っています。そのためにも多少の苦みや失敗はあえて音源に入れています。

Shota:そうですね。曲を作るにしても、歌詞を書くにしても、「綺麗すぎるから崩してみよう」という作業を何度も繰り返していて。リアルな温度感になるように探り探りやっています。

Nemo:歌もそうだよね。「世界は今宵を待っている」は失敗しちゃった歌も入っているもんね。

Hiira:僕は歌っていると気持ちよくなっちゃうので、それを抑えつつやっていて。とはいえフックになる部分がほしいよねということで、ミステイクをあえて入れてみるというようなことをやっています。

Shota:Hiiraの声は綺麗めなので、逆に歌詞である程度変なことや汚いことを言っても上手くまとまるんです。

Seiya:たしかに、ツルッと聴くと違和感ないもんね。

――となると、Offo tokyoの音楽の魅力は「綺麗すぎない」部分になる、と。

Seiya:綺麗すぎると、1回聴くと満足されちゃうんですよね。僕らは綺麗すぎないから中毒性が出ているのかもしれません。

Shota:それと、曲を作る度「前回の曲を超えたい」と思って作っていて。そのせいなのかわからないですが、作風が微妙に変わっていくんです。五角形のグラフがあったとして、ロック、ジャズ、ラテン、ポップスなど偏りはあるかもしれないですが、“Offo tokyoの音楽”としてやることで一貫性を持ちながら驚きを絶やさずに届けられているのかなと感じています。


Photo:筒浦奨太

――“Offo tokyoの音楽”にするために、どんなことを混ぜ込むのでしょうか。

Shota:そもそもJ-POPというジャンル自体がゴタゴタしていますからね。その中で、僕らはなんとなくシティポップバンドのような言われ方をされていますが、自分たちではあまり自覚がなくて。好きなことを混ぜ込みつつ、セオリーも意識して作った結果“Offo tokyoの音楽”が生まれているのかもしれないです。

Nemo:トルコライスってトルコ料理じゃないですよね。それって日本人独特の文化なのかなと思っていて、J-POPにかなり近いのかなと。いろんな音楽のジャンルが日本という国でうねって進化して、J-POPが生まれたという。僕たちがやっている音楽もそれに近いので、Offo tokyoの音楽のジャンルは“J-POP”なんだと思います。その中で、東京から生まれる独特な形の音楽を確立したいと思っていて。バンド名に「tokyo」という単語を入れたのも、「東京から生まれた独特な形の音楽を世界に届ける」という意味を込めたからなんです。

――“Offo tokyoの音楽”を発信し続けている皆さんは、現在“イカサマ”プロジェクトを行なわれています。いい曲がたくさん生まれて1曲に絞れないという理由からスタートされたそうですが、“イカサマ”というプロジェクト名の由来を教えてください。

Nemo:みんなで曲を作ろうとなった時に、サブスクを見ながらワガハイが「こういう曲を作ってニャー!」と色々曲をリストアップしていたんですね。新旧問わずリファレンスを聴きながら曲を作っていたら、「まんま!」みたいなものが生まれてきて。たしかHiiraが「このままじゃ俺ら、イカサマバンドになっちゃうよ」と。「それだ!」となって“イカサマ”プロジェクトになりました。なので、1曲だけ切り出しても面白くないんです。THE BLUE HEARTSみたいな曲、東京スカパラダイスオーケストラみたいな曲、もろシティポップみたいな曲……といろいろあって、それが束になった時にOffo tokyoになるという。

――なるほど!

Nemo:たとえばTHE BLUE HEARTSみたいな曲だけを推すと、単に「やべぇヤツら」になってしまって僕らの意図していることとは遠くなってしまう。なので、プロジェクトにして「この順番で聴くと楽しめますよ」とコース料理のように出すことにしました。そもそもポップアートって、模写やサンプリング、オマージュなどから始まるじゃないですか。でもオリジナルにたどり着けていないところがもどかしくも美しく、儚いけど新しいというか。そこに面白さを見出して「“イカサマ”上等だ!」という気持ちでプロジェクトをスタートしました。

――そう聞くと、第4弾、第5弾もめちゃくちゃ楽しみになりますね。ちなみに、「308」はOffo tokyoのパブリックイメージに合うような曲なのかなと思っていました。

Nemo:あれは『EIGHT-JAM』で「丸サ進行(※椎名林檎「丸ノ内サディスティック」にみられるコード進行)は売れる」と言っていたので、「俺らも丸サ進行で曲を作ろうぜ!」と言って生まれた曲ですね。

Shota:その通りです。もともとあった曲があるのですが、その時はまったく違うコード進行でした。

Nemo:そう。テレビで言っていたから、丸サ進行に置き換えてみようと言ったらShotaがやってくれて。

Seiya:ノリノリで置き換えていました。

Shota:もともとはイパネマ進行(※アントニオ・カルロス・ジョビン「イパネマの娘」にみられるコード進行)だったんです。でも、これだとたぶん売れないな、と(笑)。

308 / Offo tokyo

――そんな経緯があったとは(笑)。“イカサマ”プロジェクトの前提を聞くと、「shiro」も有名なクリスマスソングが脳裏をよぎりますね。

Nemo:これも売れているクリスマスソングを上から順に聴いていって作りました。でも最初、タイトルが違ったんですよ。なんだったっけ?

Shota:「白いマフラー」。

Hiira:あぶねー!

Seiya:紙一重だったな~。

Shota:たしかindigo la Endさんの曲で、「白いマフラー」って曲があるんですよ。

Hiira:そうそう。でも、僕らがそのタイトルにするとなぜか一気にダサくなるという。

Shota:でもこの2曲は狙い通りでした。「308」は「売れる」と言われたものをやってみたら、ちゃんと評判が良くて。「こういうのが聴きたかった」という反応が多かったですね。やっぱりみんな丸サ進行が好きなんだなって。

shiro / Offo tokyo

――第3弾は1月7日リリースの「イカサマ」。プロジェクト名と同じタイトルですね。

Nemo:この曲を最初に作っていて、プロジェクトの軸になっているんです。連続でリリースすることになったので、レコード会社のスタッフさんと話してプロジェクト名を最初に作った「イカサマ」にしようということになりました。アー写も、年内は AIに顔を変えてもらった写真にしれっと変更していて。ChatGPTに「もっと鼻を高くして」とか、「もう少し外国人っぽくして」とか言いながら作りました。その後リリース予定の残りの2曲もめっちゃイカサマなので、楽しみにしていてください。

Shota:ジャンル感としても第3弾までの曲と被っていないですよね。

Nemo:そうだね。あれ、第5弾ってなんだっけ?

Hiira:イカサマバラードのやつですね。

Shota:誰が聴いても涙がちょちょぎれるような、イカサマバラードです。

一同:あはは!(笑)

――気になります……!

Nemo:誤解がないように言っておきたいのですが、何かを茶化しているわけではなく、僕らは心からこのプロジェクトを楽しんでやっていて。

Shota:そうですね。中途半端にやってもよくないので、研究してアカデミックにやっています。


Photo:筒浦奨太

――残り2曲も楽しみにしておきますね。そして、2025年8月には、インドネシア・ジャカルタで自身初の海外公演【Off to Jakarta】を開催されました。手応えはいかがでしたか?

Shota:正直に言うと、日本より盛り上がりました。なので、ちょっと勘違いして帰国しましたね。日本だと300人集めるのが大変なのですが、インドネシアではあまり宣伝をしていなかったのに400人集まってくれていて。インドネシアは日本の音楽が好きな人が多いみたいで、聴いてくれていたようです。

Seiya:またライブしに行きたいですね。20~30代の人の数を考えると日本よりインドネシアのほうが多くて。Spotifyのランキングでも、他の国よりもインドネシアで聴かれている率が高いんです。

Shota:あとびっくりしたのが、サックスもギターも音がめちゃくちゃいい。最初は音圧かなと思ったのですが、音圧が関係ないサックスも違っていて。湿度なのかもしれないですね。それか、浮かれていただけ?

Hiira:7:3で浮かれだな!

Seiya:日本に帰ってきてリハに入ったら、「あれ?」って。あの音は鳴らなくなってたもんね。

Shota:うん。すごくびっくりしました。

Seiya:キーボードは電圧で音が悪くなることはあるのですが、変圧器を使っていたので特に僕は変わらなかったです。

Nemo:となると声はどうなの?

Hiira:声は……わかんないですね。でも、すごかったです。「Hiiraさーん!」という声が大きくて、いつもよりもモテていたので、悪くないなって思っていました(笑)。真面目なところで言うと、可能性を感じましたね。日本語のまま歌っても、それを目の前の人たちが大合唱してくれるんです。今でもサクラだったのかなと思うくらい、嘘みたいな景色が広がっていました。音楽は言語の壁を越えるんだなと、改めて感じました。

――現在は国内ツアー【Offo tokyo Live Tour 2025-2026】の真っ最中ですが、こちらはいかがですか。

Shota:非常に「氣」がいいツアーですね。

Hiira:これ、ずっと言ってるんですよ。

Shota:移動の車内から氣がよくて。

Hiira:僕ら、ワンマンライブやツアーを気合い入れてやればやるほど、雨が降るんです。なので「雨バンド」と言われてしまう悲しい状況で。

Seiya:それが、今回は全部晴天。

Hiira:それを「今回は違うね。気持ちがいいね」と話したら、車内でずっと「氣がいい」と言っていて。うるさいな~と思っていました(笑)。

Seiya:氣がいいツアーなので、ライブに来てくれた方にもご利益がありそうです。

Hiira:神社も行ったし。

Seiya:そうなんです。僕は朝活でよく神社へ行くんですが、この子たちはついてきてくれないので(笑)、僕が先陣切って氣をよくしています。

Hiira:もういいよ、どんどんスピってこう!

――(笑)。年明けも続きますから、新年にピッタリのライブになりそうですね。見どころなどありますか?

Shota:全部! そして、氣をビンビンに感じられると思います!

Seiya:ちょっと真面目な話になっちゃいますけど、メジャーデビューからの集大成みたいなライブになっています。1年間やってきた楽曲や、向き合い方が集約されているのかなと思います。

Hiira:それと初めてOffo tokyoのライブに来る方でも絶対に楽しめます。Nemoがいますから。

Seiya:Nemoについていけば、絶対に楽しめます。

――楽しみにしています! では最後に、2026年の目標を教えてください。

Nemo:アルバムを出したいです。僕たちはコロナ禍から始まって、断片的な活動が多かったんですね。それがこうやってメジャーデビューをして、取材をしてもらったり、ラジオに出させてもらったり、ツアーを回ったりすることができました。次は「Offo tokyoってこういうもの」というのを形にしたものを出したいです。1枚目のアルバムは一生に一回しか出せないので、大きなインパクトを音楽ラバーの皆さんに与えて、小さくてもいいので「山がまたひとつ生まれたんだな」と思ってもらえる作品にしたいですね。


Photo:筒浦奨太

リリース情報

イカサマ

シングル「イカサマ」

Offo tokyo
2026/1/7 DIGITAL RELEASE

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