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PROFILE: フランス、パリ生まれ。パリ大学で経済経営学、IMFでファッションを学び、アズディン・アライアの下で経験を積む。その後、両親が経営するシャツメーカー「ル・ガラージュ」でデザイナーを務める。1995年、2人の息子の名前を冠した「ポール&ジョー」を立ち上げ、メンズウエアを発表。翌年にウィメンズを披露。2002年にアルビオンと化粧品ブランド「ポール&ジョー ボーテ」を始動。ジプシーとヌネットと名付けた猫2匹と暮らしている

フランスのブランド「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」はこのほど、ファッションブランドとしてのデビュー30周年を記念してポップアップイベントを開催した。現在日本では販路がないファッションの2026年春夏コレクションを展示して改めて業界に訴求しつつ、一方でコスメやファッション雑貨など、さまざまなライセンスブランドは販売。会場にはカフェスペースも設けた。イベント期間中は、ブランドを立ち上げたソフィー・メシャリー(Sophie Mechaly)が来日。30年の歴史と共に、この間にファッション業界が失ってしまった魅力の価値を説いた。

WWD:そもそも「ポール&ジョー」は、日本からブレイクした。
ソフィー・メシャリー「ポール&ジョー」創業者(以下、ソフィー):1995年にメンズのブランドとしてスタートした。あの頃のメンズはとても控えめだったけれど、まずは先行して「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」、続いて「ディースクエアード(DSQUARED2)」などのブランドが波に乗り、新しいトレンドが芽生え始めたように思う。当時から「ポール&ジョー」は、フレンチシックでありながら、色や柄、プリントでハピネスやフレッシュネス、そしてクールネスを表現している。するとまず日本の男性が愛してくれるようになった。新しいブランドに夢中になってくれる時代だったんだと思う。色柄はもちろん、クールなのにイージーなスタイルを受け入れてくれた。そこからイギリス、アメリカへと広がり、フランスでも受け入れられるようになったのは、ずっと後だったの(笑)。

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

会場では、さまざまなライセンス商品を販売した

WWD:そこから日本ではビューティを筆頭にライフスタイルブランドへと広がっていった。
ソフィー:日本人の友人が、日本ではライセンスビジネスが盛んで、それぞれ真剣に取り組めば今で言うところのライフスタイルブランド、生活全般で楽しんでくれるブランドになれると教えてくれた。そこで(アルビオンとの)ビューティを筆頭に、下着や文房具、傘などのビジネスが広がっていったの。

ネスレ日本が手掛けるキャットフードブランドの「モンプチ」ともコラボレーション

ネスレ日本が手掛けるキャットフードブランドの「モンプチ」ともコラボレーション

この夏は、ネスレ日本が手掛けるキャットフードブランドの「モンプチ(MON PETIT)」ともコラボレーションしたわ。私の飼い猫のヌネットとジプシーのイラストを取り入れたレトロモダンなパッケージで、グルメな味のキャットフードも作ってもらった。さまざまなライセンスやコラボレーションで感じるのは、ブランドには際限がないと言うこと。アルビオンのようなトップ企業と取り組むことができれば、カワイイだけじゃなく、品質もしっかりしている商品が生まれるし、百貨店のコスメフロアではカウンターで世界観をしっかり表現してくれる。特にエモーションを重視する日本では「カワイイ!!」のように、それぞれのカテゴリーで自分もエキサイトできればライフスタイルブランドになれるんじゃないかしら?

26年春夏コレクションは、世界を巡る文化と美の旅。エデンの園の神話から、日本の禅を感じる庭園、そしてハワイの鮮やかなエキゾチズムなど、「ポール&ジョー」にインスピレーションを与えてきたものの軌跡をたどる。グリーンやイエロー、レッド、ブラウンを基調に、柔らかなピンクやブルーをアクセントとして加え、自然の豊かさを讃える

26年春夏コレクションは、世界を巡る文化と美の旅。エデンの園の神話から、日本の禅を感じる庭園、そしてハワイの鮮やかなエキゾチズムなど、「ポール&ジョー」にインスピレーションを与えてきたものの軌跡をたどる。グリーンやイエロー、レッド、ブラウンを基調に、柔らかなピンクやブルーをアクセントとして加え、自然の豊かさを讃える

26年春夏コレクションは、世界を巡る文化と美の旅。エデンの園の神話から、日本の禅を感じる庭園、そしてハワイの鮮やかなエキゾチズムなど、「ポール&ジョー」にインスピレーションを与えてきたものの軌跡をたどる。グリーンやイエロー、レッド、ブラウンを基調に、柔らかなピンクやブルーをアクセントとして加え、自然の豊かさを讃える

WWD:一方で今日本では販路がない洋服については、何を重視している?
ソフィー:生地のリサーチには特に時間を割いて、得意の色柄や若手アーティストとコラボレーションしたモチーフなどをリッチかつアーティスティックな手法で表現したいと思っている。イタリア産の生地をフランスで縫製することも多い。同じ職人と長らく仕事をしているから、生地から刺しゅうに至るまで、共通言語を話せている。ファッションは、料理みたいなもの。良い材料は大胆にミックスしても成り立つと思うから素材にはこだわりたいし、一方で肉にはじっくり火を通すことが大事なように時間をかけるべき時もある。特に縫製、ライニング、刺しゅうなどは、時間をかけなければ美しく仕上がらない。なのに業界全体では、時間をかけることを美徳としなくなってきた。結果、「大事に着たい」とか「手元に残しておきたい」と思えるものが減り、業界全体の勢いも失われつつあるような気がする。最近の、トップデザイナーによる椅子取りゲーム(のような玉突き人事)もおかしいと思う。迷走しているブランドもあるように思えるし、みんなバラバラになって、トレンドはヘンテコ。お金儲けには成功したかもしれないけれど、付き合わされている消費者には疲れている人も少なくないのではないかしら?
だからこそ私は、やりたくないことには時間をかけないように、コレクションは年に2回にとどめたい。付加価値と希少性は反比例する関係にあると思うので、作りすぎてはいけないと思う。いつもリラックスして、歴史的にも価値のある刺しゅうなどはじっくり時間をかけて洋服に取り入れたい。
業界全体、もう少しカームダウンする必要があるのではないか?と思う。忙しすぎるから、ファッション業界とアートがいつまでも融合しないことをもったいないと思っている。日本人も、忙しない日々で伝統工芸を忘れないでほしい。これからの私の役割は、若い世代に伝統を伝えることかもしれないわ。

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