アキラナカ(AKIRANAKA)の2026年春夏コレクションを紹介。テーマは「静寂の造形」。
イサム・ノグチの彫刻にみる日本の美意識
デザイナーの中章がこのコレクションで目指したのは、保存や継承、和装への回帰、和洋折衷とも異なる日本の美学の“発展”。旅先で出会った彫刻家、イサム・ノグチの研ぎ澄まされた作品や思想に日本の美意識を形づくる核を見出し、洋服へと落とし込んだ。その試みの中で、形そのものが秘める静けさや、存在と不在の間に生まれる美を追求している。
“空(くう)”を刺繍したワンピース
象徴的なのは、大きなループで“空白そのもの”を表現したイサム・ノグチの彫刻《エナジー・ヴォイド》に着想を得たワンピースやロングスカート。なにもない場所である“空(くう)”を存在として捉え、空気を刺繍するように長方形のカットワークを施した。アームホールを大きく開けたベストも、ぽっかりと開いた空間そのものを意識させるかのような造形だ。
ネガティブなストライプ
シャツやパンツに配したグラフィックは、カラフルに塗ったペイントの上にホワイトやブラックを重ねることで生まれた、いわばネガティブなストライプ。引き算的にパターンを作ることで、目に見えない「空」を浮かび上がらせている。
土偶をモチーフにしたプリミティヴなシルエット
イサム・ノグチが生涯を通して好んだというプリミティブな造形から着想したデニムジャケットは、土偶に通じる丸みを帯びたフォルムがポイント。肩から袖へと続く柔らかな膨らみと、ウエストを強調するステッチが、独特のシルエットを描いている。胸ポケットの位置を下げて重心を落としたシャツも、どこか土偶の重厚感を思わせる佇まいだ。
生命のゆらぎを思わせる有機的なライン
また、生命のゆらぎを表すような有機的なフォルムも散見される。ショートスリーブジャケットは、フロントに施した波状のカッティングがアイキャッチ。襟とボタンを排したミニマルな表情が、大胆な造形に静けさをもたらしている。ワイドパンツやキャミソールには、立体的なドレープをあしらうことで、動きをプラスした。
不規則さが生み出す美
ノーカラーシャツに配した不規則なフロントボタン、ブラウスのアシンメトリーな襟、ノースリーブワンピースの不完全なウエストギャザーなど、あえて整えすぎないディテールが生み出す独特のリズムも魅力。ユニークだが主張しすぎないその佇まいは、全体に情緒をもたらし、日本的な感性を際立てている。




