MA-1がカジュアルアウターの定番になったきっかけとは
1912年に創業し、「ボート・アンド・トート」をはじめとした数々の名作を世に送り出してきたアメリカのアウトドアブランド、エル・エル・ビーン。当然、アウトドアアイテムがラインナップの中心ですが、今回ピックアップしたのは言わずとしれたフライトジャケットの代名詞的存在 MA-1をサンプリングしたアイテムです。

1990年代に製造された個体
MA-1は、1950年代にジェット機のパイロットのために開発され、1980年代に後継モデルとして開発された「CWU-45/P」にその座を譲るまで、30年もの間軍の支給品として使われ続けたアイテムです。その後、カジュアルウェアとして人気を集めるようになりましたが、そのきっかけのひとつが、1986年に公開されたトム・クルーズ(Tom Cruise)主演の映画「トップガン」でした。同作が人気に火を付けたG-1やMA-1などのフライトジャケットブームは日本にも波及し、MA-1は1980年代後半に生まれたストリートファッション「渋カジ」を代表するアイテムになりました。「トップガン」の影響力は今でも衰えておらず、2022年に36年ぶりの続編として「トップガン マーヴェリック」が公開されたときも、フライトジャケットの売上が大きく伸びたそうです。
ミリタリー初心者にも、相場は
カジュアルウェアとして市民権を得たことに伴い、ミリタリーウェア以外のメーカーもMA-1の製造・販売を手掛けるようになりました。このエル・エル・ビーンのMA-1も、その流れで作られたうちのひとつ。おそらくタウン用に開発されたアイテムだと思われますが、アウトドアメーカーらしく中わたはイタリアのサーモア(Thermore)社製の保温性に優れた高機能中わたを使用しています。

左腕のペン差しポケット(シガレットポケット)や、墜落時に裏返しに着用して救助時に上空から見つけてもらいやすくする「レスキューオレンジ(インターナショナルオレンジ)」と言われる裏地など、基本的にはオリジナルのMA-1のディテールを踏襲していますが、ポケットの仕様が簡略化されたり、ドットボタンにブランドロゴが刻まれていたりと、各所にちょっとしたアレンジが効いています。
僕がこのアイテムで気に入っているポイントが、シルエットの良さです。オリジナルのMA-1は、戦闘機内でパイロットが座ったまま着用するために着丈がかなり短く、その独特のシルエット故にカジュアルファッションに落とし込むのが難しいんです。しかし、このエル・エル・ビーンのMA-1はやや着丈が長いので非常に着やすく、ミリタリーウェアに慣れていない人の入門編としても最適だと思います。
タグをよく見ると「メンズレギュラー」と表記されています。レギュラーは丈を指しており、かなり長い「ロング」も存在します。また、ネイビーなどのカラーバリエーションもあるほか、ウィメンズモデルも存在するなど、当時エル・エル・ビーンがMA-1の展開に力を入れていたことが伺えます。

このエル・エル・ビーンのMA-1は、個人的にかなり気に入っているアイテムで、既にXLサイズを所有しているのですが、Lサイズも買い足そうかなと考えています。現在のヴィンテージ市場で注目度はそれほど高くなく、サイズと状態にもよりますが、相場は5〜8万円程度。とはいえ、少し前までは3万円くらいから買えていたので、気になる方は早めのチェックが吉です。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭

