2025.12.26
1.坂道グループ特集
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『Spicy Sessions -THE LIVE-』第2部で見せた進化と覚悟
CS放送「TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画」で毎月放送中の音楽番組『Spicy Sessions』(スパイシーセッションズ)。ゴスペラーズの黒沢 薫と乃木坂46の中西アルノがMCを務める同番組は、“音楽ファースト”を掲げ、世代やジャンルを超えた本格的なセッションを届けてきた。
その番組初となるライブイベント「Spicy Sessions -THE LIVE-」が、2025年10月24日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。アリーナクラスに匹敵する応募が殺到したというこの公演の後半(第2部)の模様が、12月27日(土)に放送される。
この夜、ひときわ強い存在感を放っていたのが、中西アルノだった。

左から、黒沢 薫(ゴスペラーズ)、miyou(Little Glee Monster)、平原綾香、かれん(Little Glee Monster)、中西アルノ(乃木坂46)
セッションの只中で光った“柔らかな強さ”
第2部は、生バンドのセッションに導かれるように中西と黒沢が再登場するところから始まる。黒沢の問いかけに対し、「お客さんとバンドメンバーとの板挟みになっている感じ」と独特の言葉で応じる中西。その一言で、張りつめていた空気が一気に和らいだ。
Little Glee Monsterのかれん、miyouとのリバイバルセッションでは、中西は三浦大知の「ふれあうだけで〜Always with you〜」をかれんと共に披露。かれんが「今日のアルノちゃんのフェイクは前よりパワーアップしてそう」と期待を寄せた通り、しなやかさと芯の強さを兼ね備えた歌声で、確かな成長を印象づけた。

「ふれあうだけで 〜Always with you〜」(かれん、中西アルノ)
センター曲を“今の自分”で歌う

「思い出が止まらなくなる」(中西アルノ/コーラス:黒沢)
続く中西のソロ歌唱では、乃木坂46の「思い出が止まらなくなる」を披露。自身がセンターを務めた楽曲の中でも特に思い入れがあるというこの曲を、生バンドアレンジで届けた。
<星空に届きそうな>という歌詞に合わせ、そっと空へ手を伸ばす仕草。一音一音を確かめるように紡がれる歌声が、会場全体に静かに染み渡っていく。セッションで見せる柔軟さとは異なる、ソロならではの集中力。その姿からは、番組開始当初の「教えられた通りに歌う」フェーズを越え、自身の表現を探求するアーティストとしての現在地が感じられた。
「This Is Me」に込めた覚悟

中西アルノの選曲で「This Is Me」をセッション
終盤のハイライトとなったのは、中西の選曲による「This Is Me」(映画『グレイテスト・ショーマン』主題歌)のセッションだ。平原綾香、黒沢 薫、Little Glee Monsterの2人という“声量モンスター”たちに囲まれながらも、中西は埋もれることなく、むしろ楽曲の核を担うポジションを見事に射抜いた。
ステージ後のインタビューで中西は、「『Spicy Sessions』という番組を一番体現している曲だと思った」と選曲理由を語る。黒沢も「アルノさんが自分の良いところを分かって、ちゃんと居場所を作っていた」と、その音楽的判断力を高く評価した。
かつては力が入りすぎてしまうこともあったという中西。しかし、黒沢から自身の長所を言葉にして伝え続けてもらったことで、「無理をしなくなった」と振り返る。その変化こそが、この日の「This Is Me」の歌割りと表現に結実していた。
“集大成”であり、“通過点”

中西アルノ、黒沢 薫「APT.」
アンコールのラストを飾ったのは、黒沢と中西による「APT.」。ジャンプでフィニッシュを決めた中西の姿に、会場からは大歓声が沸き起こった。
「Spicy Sessions -THE LIVE-」は、番組の集大成であると同時に、次のステージへの通過点でもある。正解のないセッションの世界で、中西アルノは確かに“自分の声で立つ場所”を掴み始めている。その現在進行形の姿を目撃できる第2部は、番組ファンのみならず、彼女の表現者としての歩みを追う者にとっても必見の内容となりそうだ。

本番終了後の黒沢 薫と中西アルノ
■放送情報
『Spicy Sessions -THE LIVE- 第2部』
放送日時:2025年12月27日(土)23:30~24:50
放送チャンネル:CS放送 TBSチャンネル1
◎文:ACTRESS PRESS編集部