CFCL(シーエフシーエル)の2026年春夏コレクションを紹介。
「具体芸術」に学ぶ新たな衣服のあり方
3Dコンピューター・ニッティングを駆使した立体的な造形のニットウェアを手掛け、「現代生活のための衣服」をつくり続けているCFCL。今季ブランドが目指したのは、道具としての衣服のあり方を刷新し、透明感と丸みのある柔らかな印象に、女性らしさを重ねること。彫刻家のジャン・アルプが提唱した、写実画でも抽象画でもない、具体的で現実の物体を自由につくりだすことを目指す「具体芸術」に共鳴し、様々な角度から“透明感”と“柔らかさ”を表現した。
“ガラス作品”着想「ポッタリー」シリーズ
壺型のフォルムが特徴のブランドを代表する「ポッタリー」シリーズは、アクリル彫刻やガラス作品にヒントを得て、透明感あふれるデザインに。もともと陶器を着想源にしていた「ポッタリー」が、より軽やかで涼しげな印象を与える。たとえば、ヴェールに包まれたような涼やかさがポイントのドレスは、ガラス作家エミール・ガレの作品にインスパイア。陽の光を浴びてキラキラと輝くガラス作品をイメージして、ナイロンポリエステルの透明糸を使用した。
また、アーティスト森万里子の滑らかなアクリル彫刻は、ボンディング加工を施したふわふわと弾むようなロングドレスで表現している。
自由気ままなタッセル
自由で、それでいてしっかりと計算し尽くされたタッセルのディテールは、コレクション全体に華を添える。全体に穴を開けたトワルのニットドレスに、粘土で彫刻をつくるように直感的にタッセルを通すところからデザインを考えたという。最適なバランスを探り、不要な穴はすべて閉じ、タッセルを通して完成させた。様々なシルエットのドレスやパンツにあしらったタッセルはリズミカルに揺れ、煌めきを放っている。
涼やかなパステルカラーとポップなネオンカラー
カラーパレットは、ガラスの透明感を表すミントグリーンをはじめ、淡いピンクやグレーなど、パステル調の色彩がメイン。そこへ、爽やかなネオンイエローを差し込むことでポップな表情をプラス。ジャン・アルプの妻、トイパー・アルプのインテリアテキスタイルに着想した、今季唯一のグラフィックモチーフのドレスに取り入れており、太さ・長さの異なるストライプを大胆に重ねている。



