自撮りでRNA解析? CEATECで見えた未来の美容診断 | Ubergizmo JAPAN - Moe Zine

CEATEC 2025で注目を集めたのが、花王とアイスタイル(@cosme)を中心に発足した「RNA Co-creation Consortium」による、皮脂RNAを活用した新しいスキンヘルス指標だ。人の顔の皮脂にはRNAが含まれており、食事や睡眠、ストレス、UVなど日々の環境要因で変化する。この特徴を利用し、皮脂から抽出したRNAの遺伝子発現パターンを分析することで、肌内部の状態をリアルタイムに把握し、より的確なスキンケア選びにつなげる技術が開発されている。

Kaoは数年にわたり皮脂RNA研究を進め、数千に及ぶ遺伝子発現データをもとに、C1(バリア関連・角化)とC2(免疫反応関連)の2つの安定したクラスタを発見した。従来の「乾燥肌・脂性肌」といった一般的な分類とは別軸で、肌の“働き”を科学的に捉える指標として活用できる。

今回の展示では、実験室で行われてきた皮脂RNA解析を、スマホのセルフィーだけで推定できるAIモデルが披露された。皮脂RNAと顔写真の大規模データを組み合わせて学習したことで、撮影した自撮り写真からC1/C2の判定や肌年齢、質感、くすみ、シミ、トーンなどを可視化。さらに「Smooth Phase」「Glowing Phase」という2つの肌モードを提示し、その日に最適なスキンケアアクションを提案する。

@cosmeアプリのデモでは、C1/C2の判定だけでなく、免疫関連の“活動度”を示す「immune score」や、循環・水分などの状態を示す「circulation bias」も確認でき、生活習慣との関連をユーザーが理解しやすい設計になっていた。
最後には、RNAタイプに応じたコスメ提案も行われ、科学的データに基づくパーソナライズ美容が、消費者の体験価値と購入満足度を高める可能性を示した。

この取り組みは、バイオテクノロジー・AI・リテールをつなぐ新しい美容UXの誕生を示唆するものであり、スキンケアの意思決定に“科学的な裏付け”を持ち込む未来への第一歩と言える。

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