掲載日
2025年12月17日
ERPソフトウェアの専門企業であるDeda Stealthの調査によると、ファッション&ラグジュアリー業界のCIOのロードマップで最優先されているのは、AIでも調達でもなく、コスト管理です。同社はまた、地政学的な不安定化や米国による新たな関税の脅威により、ビジネス環境が悪化している影響も指摘しています。
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本調査では、2026年に向けてCIO(最高情報責任者)が認識する最優先課題の序列を明らかにするため、約100社の経営幹部へのヒアリングを実施しました。予想どおり、回答した意思決定者の57.4%がコスト削減を最優先に挙げており、オムニチャネル戦略の改善(51.9%)やサステナビリティおよびトレーサビリティの取り組み(46.3%)をわずかに上回りました。
予算が厳格に管理される一方で、投資は具体的なパフォーマンス向上のてこに集中しています。データ&アナリティクス分野が最も注目を集め(63%)、人工知能(51.9%)やサイバーセキュリティ(48.1%)を上回りました。
しかし調査は、特にサプライチェーンにおいて、戦略的な期待と運用現場の実態との間に顕著なギャップがあることも浮き彫りにしています。完成品ロジスティクスの重要度は9/10と評価される一方で、CIOの満足度は6〜7/10にとどまっています。
なかでもサプライヤーとの協業が大きなボトルネックです。クリティカルと評価されながらも、満足度は4〜5/10と低く、上流からの情報のフィードバックが円滑でない実態が明らかになりました。
小売現場でも状況は同様です。店舗は「アイデンティティ表現の場」と位置づけられる一方、管理ツールの追随は苦戦しています。Eコマースで歴史的に課題とされてきた注文のオーケストレーションと返品管理は、高度に戦略的と評価され(重要度は8.5/10未満)、それにもかかわらず満足度は6/10未満にとどまっています。
AIはまだ実験段階
こうした課題に直面し、規制(デジタル製品パスポート、CSRDなど)の圧力が高まるなか、人工知能は有力な手立てとして浮上しているものの、導入はなお慎重です。調査対象企業のうち、AIを「大規模」に導入したと回答した企業はわずか3.7%。回答企業の約3分の1では依然として開発段階にあり、27.8%が今後2年以内の導入を見込んでいます。
Deda Stealth
この立ち上がりの遅れは、人材不足にも一因があるとみられます。企業の半数が、データアーキテクチャやクラウドエンジニアリングといった重要職種でのスキルが「中程度から大きく」不足していると報告しています。「これがブランドのデジタル化を加速させています。データ、AI、そしてサプライチェーン最適化は、パフォーマンスを維持するために不可欠なレバーになりつつあります」とDeda StealthのCEO、ルカ・トネッロは結論づけています。
