声優事務所の81プロデュースと音声AIサービスを手がけるイレブンラボジャパンが12月15日(月)、業務提携を発表した。
今後81プロデュースは所属声優の声を随時イレブンラボに登録。イレブンラボは音声を多言語化するためのプラットフォームや技術の提供を実施。
声優の声を保護しつつ、多言語化によるグローバル展開へとつなげるべく、様々な提携や協業を進めていくという。
声優の声を保護しながら29カ国語に多言語生成 世界展開へ
イレブンラボは2022年設立。テキスト読み上げモデル「Eleven v3」など、AI音声技術を中心に研究開発とサービス提供を行っている。
「Eleven v3」紹介映像
また、VoiceCAPCHA/デジタル透かし/C2PA準拠といった「声を守る技術」にも注力。これらの技術と高精細な声のデジタル登録を活かし、声優の声の不正利用を防ぎながら、AIを用いた多言語化に繋げることができるという。
今後、イレブンラボでは登録された81プロデュース所属声優の声をもとに、許諾を得たアニメ/ナレーション/番組などのコンテンツを29カ国語の多言語に生成。元の声優の声を維持したまま、コンテンツのグローバル発信に貢献していく。
イレブンラボのJapan & Koreaゼネラルマネージャー・田村元さんは、提携に関して「今回の取り組みは、その文化的資産を尊重しながら、最先端のAI技術を通じて新しいビジネス機会へとつなげるものです」とコメントしている。
81プロデュースといえば、青山吉能さんや上田麗奈さん、江口拓也さん、斉藤壮馬さんらが所属する大手声優事務所。
代表取締役社長の南沢道義さんは、「声優とAIは共存しコンテンツが拡大・発展する時代へ進むと思います」「私達の大切に育んできた芝居、技術、プロデュースが生成AIと向き合うことに、様々なご意見のある中で私たちは踏み出してみます」と今回の提携を語っている。
声優と生成AI──無断学習による“声の悪用”が懸念される状況を巡って
声優業界にとって、生成AIは看過できない存在となっている。
近年、生成AI技術の発達に伴って、声優やアーティストの声をAIに無断学習させ、模倣した声で歌唱動画を制作・公開するユーザーが発生。エンタメとして流行しつつも、悪用が耐えないこともあり問題視されている。
直近では、2025年11月にAI音声生成プラットフォーム「12月15日」が、サービスを2026年2月4日(水)に終了することを発表。
そのきっかけは、日本俳優連合からの「所属実演家による実演との類似性」を指摘された上での削除要請だった。にじボイスは、法的な権利侵害は確認されないとしつつも、実演家や関係団体への不安・懸念を理由に提供キャラクターボイスを二度に渡って削除。最終的にサービス終了発表に至っている。
青二プロや梶裕貴も乗り出す、声優とAIの“オフィシャル”な連携
こうした情勢に対し、声優業界は生成AIとの適切な連携を模索しはじめている。
2024年10月には、青二プロダクションとAI音声プラットフォームサービスを提供するCoeFontがパートナーシップを締結。登録された声優の声を多言語変換し、演技を除く領域への提供を開始した。
また、2023年にNHKの報道番組「クローズアップ現代」に出演し、生成AIへの懸念を語った声優・梶裕貴さんも、2024年に自身の声をベースにしたAI歌声合成ソフト「梵そよぎ」を始動させている。
歌声合成ソフト「梵そよぎ」
81プロデュースとイレブンラボの業務提携も、こうした「声優とAIのオフィシャルな連携」の流れを受けたものと推測される。

フリーライター・編集者。1991年生まれ、東京都出身。早稲田大学 文化構想学部卒。
VRとVTuberがきっかけで執筆活動を開始し、Webエンジニアを経て、2022年に独立。XR/VTuber/ソーシャルVR(メタバース)/AIを中心に取材・執筆活動を行っている。
プライベートではVRChatに入り浸る。プレイ時間は4000時間程度。
