イタリアのファッション業界に関与する中国系犯罪組織の裁判、妨害懸念で審理が停滞 - FashionNetwork 日本 - Moe Zine

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Reuters

掲載日

2025年12月11日

イタリアでの中国系犯罪組織に対する画期的な裁判は、書類の紛失から通訳の辞任に至るまで不手際が相次ぎ、欧州のファッション産業における犯罪者の支配を守るために裁判が妨害されているのではないかと、検察幹部は疑いを抱いています。

イタリア・トスカーナ州プラートで、捜査の一環として繊維企業を捜索するイタリア財務警察(Guardia di Finanza)=ロイター提供イタリア・トスカーナ州プラートで、捜査の一環として繊維企業を捜索するイタリア財務警察(Guardia di Finanza)=ロイター提供 – Guardia di Finanza Press Office/Handout via REUTERS

この事件は、2010年に2人の中国人男性がなたで殺害されたことを受けて開始されたもので、トスカーナ州プラートを拠点に、欧州の数十億ユーロ規模の衣料品産業の物流を支配しているとされる不正ネットワークを解体することを目的としていました。ところが、この裁判は、イタリアの司法制度が、国内マフィア対策で有効だった手段を用いずに国際的な組織犯罪に向き合う際に直面する障害を浮き彫りにする警鐘となっている、と検察当局は述べています。

ロイターは、イタリアの反マフィア捜査の最高幹部2人に加え、複数の繊維労働者、労組代表、弁護人に取材し、中国系組織犯罪の疑惑に対処する難しさの一端を探りました。「この件には、中国系コミュニティや中国当局からの干渉があるのではないかとの疑いを抱いています」と、イタリアの対マフィア戦で知られ、現在はプラートの主任検察官として中国系犯罪組織の追及を主導するルカ・テスカローリ氏は語りました。

ローマの中国大使館は、テスカローリ氏の発言に関するコメント要請に回答しませんでした。中国外務省は声明で、「原則として、中国政府は一貫して海外在住の中国国民に対し、現地の法律および規則を順守するよう求めている」と述べました。

最新の法廷通訳が9月末の公判に出廷しなかったため、確認したところ、彼女は中国に帰国しており、作成した記録(トランスクリプト)は「理解不能で使用できない」状態だったとテスカローリ氏は明かしました。この通訳が職務を放棄したのは2人目で、トスカーナ州内では後任を引き受ける中国語通訳が見つかっていません。テスカローリ氏は、誰かが裁判を頓挫させようとしている可能性について捜査を開始しました。

裁判が難航する中、検察当局が抑え込みを目指していた暴力はむしろ激化し、コートハンガー製造やファストファッション貨物の利権をめぐる抗争が、イタリア、フランス、スペインで爆破や放火に及ぶ一連の襲撃を引き起こしました。ロイターが各種公式発表を集計したところ、2024年4月以降、器物損壊を含む少なくとも16件の事件が発生しています。

プラートの検事らは、いわゆる「チャイナ・トラック」裁判で、判事に対し中国系ギャングを法的にマフィア集団と認定するよう求めています。これは、強力な権限や資産押収、より重い刑罰を可能にする指定です。しかしイタリアでは、この指定を得るのは難しく、とりわけ組織の根が国外にある場合は、シチリアのコーザ・ノストラのような国内勢力よりも内偵が困難になります。

フィレンツェ北西の丘陵地帯に位置するプラートは、欧州最大の繊維製造拠点とされ、7,000社超の繊維・衣料品企業が年間約23億ユーロ(26億8,000万ドル)相当の輸出を記録しています。地元当局によれば、そのうち4,400社以上が中国資本です。

住民のほぼ4分の1が外国人で、これはイタリア最多の比率ですが、新規流入者の多くが就労許可のない不法移民と見られるため、実際の比率はさらに高い可能性があります。プラートの通りには中国系が所有する縫製工房、倉庫、各種事業所が立ち並び、街を世界的なファストファッション生産の中心地へと変貌させる一方、犯罪ネットワークに関連する暴力の火種にもなっています。

チャイナ・トラックの捜査は2018年に終了し、検察は被疑者58人が「非常に大きな資金力を備え、海外からの支援と資源を有する犯罪組織」を形成していたと主張しました。あれから7年が経つものの、被告人も証人も一人として法廷に呼ばれていません。

一方、捜査当局に「ボスの中のボス」と形容された首謀者とされるチャン・ナイジョンは、公判前拘留からの釈放後の2018年に中国へ帰国し、イタリアに戻る見込みは薄いと検察はみています。彼のイタリア人弁護士、メリッサ・ステファナッチ氏は、事件のいかなる点についてもコメントを控えました。チャンと他の被告は無罪を主張しています。

この事件は、当時プラート警察の機動捜査隊(フライング・スクワッド)隊長だったフランチェスコ・ナンヌッチ氏がロイターに語ったところによれば、欧州での縄張りをめぐり、浙江省出身者で構成されたグループと福建省出身者で構成されたグループという2つの対立ギャングの抗争から浮上しました。

プラートでは、警察の強い関心と複数の捜査にもかかわらず、過去2年でギャングによる暴力がエスカレートしました。2024年7月には、プラート在住の中国人実業家が、元兵士を含む6人組に複数回刺されました。彼らは「ハンガー分野で独占的地位にあるグループの事業利益を暴力で守る」ために中国から飛来したと、検察は声明で述べています。6人全員が逮捕され、殺人未遂で懲役7年6カ月の判決を受けました。

今年4月には、チャンの側近とされ、チャイナ・トラック事件でも起訴されていた張大勇氏が、ローマで交際相手の女性とともに射殺されました。これらの殺人事件について、いまだ逮捕者は出ていません。

テスカローリ氏によると、中国語で「新しい」を意味する「Xin」という接頭辞を冠した新興企業が既存勢力の切り崩しを図り、ハンガーを1本約6セントで販売している一方、従来の市場価格は約27セントだったといいます。「数量が膨大なため、1本あたり数セントのマージンでも莫大な利益が保証されるのです」と同氏は述べました。

繊維地区の中国系企業は長らく、捜査当局が「プラート・システム」と呼ぶ、汚職や不正慣行に彩られた枠組みの中で操業してきました。ここでは労働・安全基準の違反、税務・通関詐欺などが横行しているとされます。繊維分野の労働者の権利を擁護する労組Sudd Cobas(スッド・コバス)のアルトゥーロ・ガンバッシ氏によれば、こうした企業は一夜にして看板を替え、当局とのいたちごっこで納税を逃れ、労働者に適正な契約を結ばせることを回避しています。

「私たちが労働争議を起こしたすべての企業で、その前の2年間に商号が変わっていました」と同氏はロイターに語りました。警察によれば、関税を逃れるために生地が中国から密輸される一方、利益は不正な送金ルートを通じて海外に戻され、ローマのフィウミチーノ空港からは毎週最大400万ユーロが持ち出されていると、検察と警察は述べています。

競争力維持には、主に中国とパキスタンからの安価で24時間体制の労働力に依存しており、法的な雇用契約を求める労働者は報復に直面します。11月17日には、15人超の中国人がプラートでの労組デモを襲撃。デモを監視していた私服警官も攻撃され、2人の警官が病院での治療を要したと、警察は発表しました。

イタリアの検察当局は、マフィア対策のために導入された特別立法の後押しもあり、コーザ・ノストラなど主要な国内マフィア組織の解体に成功してきました。正式なマフィア指定は、より重い刑罰を可能にし、沈黙や脅迫が横行する中でも、行為から組織構成員であることを推認できるという大きな利点があります。

テスカローリ氏は中国系ギャングをマフィア集団として裁判所に認定させようとしていますが、イタリアの国家反マフィア検察官であるバルバラ・サルジェンティ氏は、その実現に懐疑的です。中国系マフィアの存在を立証するには、内部情報源か、中国の司法・警察当局の支援を得て組織の実態をマッピングする必要があるからです。

サルジェンティ氏によれば、中国との協力は「非常に難しい」のが現状で、これまでイタリア国内で国家証人となった中国人は麻薬関連の1人のみだといいます。同氏はまた、中国の警察・司法当局がここ数カ月、イタリアの司法省と連絡を取り、イタリア側と協力するために要員を派遣する用意があると伝えてきたものの、その後の進展はないと述べました。

「捜査は、そうですね、非常に複雑です」と同氏は語りました。中国外務省は、北京政府が「越境犯罪と共同で闘うため、イタリアとの法執行協力を強化する用意がある」と表明しました。中国の公安省と司法省は、本件に関するロイターのコメント要請に即時の回答はしませんでした。

マフィア指定や中国側の協力が得られない中、チャイナ・トラック裁判でのテスカローリ氏の立件は、イタリアの手続に基づく脆弱な足場と、通訳が出廷する意思に大きく依存しています。トスカーナ州の通訳らが相次いで職務を離れたため、11月17日には新たに2人の通訳が任命されました。いずれもトスカーナ州外、北部の港湾都市ジェノバ在住の中国籍の通訳です。

もっとも、裁判所関係者はまだ勝利宣言はしていません。新たな通訳らは、事件の重要な証拠となる電話盗聴の記録に含まれる方言を十分に理解できる保証はないと述べています。次回の審問は5月15日に予定されています。

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