“PSYCHIC FEVERにしかできない曲”をもっと聴きたい
――アメリカツアーでは登場前から会場が大熱狂で、「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」では大合唱となるほどの盛り上がりでした。彼らの海外での活躍はどのように見ていますか。
つやちゃん:映像を観て、コール&レスポンスがすごいなと思いました。K-POPのファン層とも違いますよね。以前、PSYCHIC FEVERがタイでお世話になっていたというラッパーのF.HEROさんを取材した時に、PSYCHIC FEVERの話になって。そこで「PSYCHIC FEVERとJP THE WAVYのコラボが成立すること自体がすごい」という話をされていました。T-POPはアーティストが少ないし、J-POPみたいにジャンルが細分化されていないので、異ジャンルとのコラボは起こり得るけど、日本はHIPHOPコミュニティとボーイズグループのシーンが分かれていてあまりコラボがない、と。その突破口になったらいいなとおっしゃっていました。おそらく、LAの公演に足を運んだ方々はオーセンティックなボーイズグループが好きな人たちなんじゃないかなと思います。
Yacheemi:アメリカツアー後の最新作は、さらに海外仕様に磨かれていますが、日本語がきちんと残っているのも素晴らしい。この強みも残したまま、海外に広まってくれるといいですよね。日本のアーティストであるPSYCHIC FEVERでしか摂れない栄養がある、という状態を保ったまま、もっと広がってほしいです。
つやちゃん:私は「Paradise」が一番好きな曲なんですけど、この曲はほかのボーイズグループでは作れないと思います。ディスコ調がここまでハマるのはPSYCHIC FEVERの強みではないかと。アメリカナイズの取り入れ方も巧みで、それでいて日本らしさも残っている。最近のボーイズグループは、サウンドもダンスも競技化しているようなところがあって、結果的に差異がなくなっているようにも感じるのですが、PSYCHIC FEVERならではの人間らしさ、艶っぽさは残しながら活躍してほしいです
Yacheemi:昨今は、イギリスなどから“アメリカ的グループ”が出てくる時代です。たとえばFLOがTLCやDestiny’s Child的な系譜をイギリスから再提示しているように、「What’s Happenin’」のミレニアム感は、逆にアメリカ人にも響くはず。“欲しかったのにいなかった存在”を感じ取ってほしいです

――一方、日本では「Gelato」や「Reflection」のような、余白がある楽曲やBPMが遅い楽曲の良さはなかなか伝わりにくいようにも感じています。
つやちゃん:引き算の楽曲をモノにできるところがPSYCHIC FEVERの良いところだと思うんですけどね。私は「Nice & Slow」という曲がすごくエモくて好きです。隠れた名曲だと思います。ボーイズグループで、こういったエモさを出せる人たちは実は少ないかもしれない。「Nice & Slow」的な“PSYCHIC FEVERにしかできない曲”をもっと聴きたいです。
Yacheemi:海外のR&Bライブだと、すごくスローな曲で全員が合唱する場面も珍しくありません。PSYCHIC FEVERなら、スローな曲でも大合唱が成立するはず。
つやちゃん:海外人気が日本には十分に伝わっていない気がします。日本人は“海外のお墨付き”に安心する傾向もあるので(笑)、現場の熱量をもっと共有したい。今日の対談でもそれを強く感じました。
Yacheemi:僕自身、馴染みがなかったのに一瞬で好きになりましたね。メンバーのキャラや個性をもっと知りたくなるグループ。J-POPでもK-POPでもアメリカでもない、はみ出す良さを伸ばして、日本でもさらに幅広い方々に聴いてほしいですね。
つやちゃん:HIPHOP好き、R&B好きには間違いなく刺さるグループなので、普段はあまりボーイズグループの曲は聴かないという方も、ぜひ彼らの楽曲に触れてみてほしいです。

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ダンサー / DJ / ライター / タコ神様 from 餓鬼レンジャー。
全貌を掴むのにちょっと時間がかかる、8本足の変態グルーヴくん。
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篠原諄也
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著者インタビューや書評の執筆・編集、著者イベントの企画などをしています。1990年、長崎生まれ。
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