オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー “使いづらさ”さえ美しい、ブランド哲学が詰まった1本
ユイル・ドゥ・サヴォン イリス・ドゥ・マルト 190ml ¥72,60
初めて手に取った瞬間に驚くのが、その重厚感。陶器の置物のような佇まいで、「落としたら割れそう!」と一瞬ひやりとするほど。クラシカルで装飾的なボトルは、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)の世界観をそのままピュアに投影したような存在で、置いておくだけで空間に詩的なムードが宿ります。
キャップを捻り、中の液体を傾けて取り出すという、慣れ親しんだポンプ式とは真逆の構造も特徴的。量が出すぎてしまうことがあり、慎重さが必要ですが、その “あえての不便さ” が儀式めいた所作を生み出し、忙しい日常の中に小さな余白をつくってくれます。
今回選んだ「ユイル・ドゥ・サヴォン」は、繊細で心地よいオイルのように滑らかなテクスチャーと、満足のいく洗浄力を兼ね備えたニュートラルなリキッドソープ。資料にもあるように、濡れた肌に直接のばすと優しく乳化し、敏感肌を含むオールスキンタイプをしっとり洗い上げます。
そして、ボトルの中に閉じ込められているのは、ブランドの物語性をそのまま香りへと昇華した、はつらつとしたレモングラスとオレンジブロッサムが彩るアイリスのアコード。地中海の光と淡い余韻が交差するような明るさがあり、どこか薬草的で“効きそう”なビュリーらしい奥行きも感じられます。男女問わず好まれやすい香りで、世代を超えて贈りたくなるギフトとしての存在感も十分。
便利さ・効率を追求した日用品とは異なる佇まい。少し重く、少し不便で、少し手間がかかる――でもそのすべてが、美しさのための余白へと変わるところに、このブランドならではの哲学を感じます。洗面台に置いてあるだけで、日常がほんの少し優雅になる一本です。
