日向坂46 大野愛実&坂井新奈

 日向坂46の五期生のステージは、千秋楽公演での大野愛実による「好きという感情だけでどこまで進めるのか、私たちが証明してみせます」という宣言も話題になったが、その言葉どおり、五期生公演は“好き”のエネルギーを前面に押し出したステージだった。

 その中心にいた一人が、大野である。ステージでは、王道アイドルらしい笑顔とキラキラした目線で観客を惹きつけながら、各ブロックの要所では一段ギアを上げたダンスでライブ全体のテンションを引き上げていく。楽曲ごとに表情のニュアンスを細かく切り替え、いざセンターに立つと観る者の焦点を一気にさらっていく、その画力も強く印象に残った。

日向坂46 大野愛実『テザリングおんなのこ』

 五期生のステージを観ていて、もう1人どうしても目で追ってしまったのが坂井新奈だ。神奈川県出身で身長が160cmの坂井は、その可憐な佇まいと、“愛されポンコツ”のギャップで注目を集めているメンバー。それでいて、ステージに立つとそのイメージとは裏腹に、芯の強さ”がはっきりと見えてくる。アップテンポな楽曲では、軽やかに弾むステップと、キレのあるターンで見せ場をしっかり押さえ、しっとりした曲になると、指先や首の角度まで神経の行き届いたダンスで世界観を丁寧に支えていた。

日向坂46 坂井新奈『正直ものにーなちゃん』

 象徴的だったのが、四期生のユニット曲「What you like!」を大野、坂井、高井俐香の3人でパフォーマンスした場面だ。坂井は柔らかさの中に少し大人びた表情と所作を散りばめ、普段の彼女からはあまり漂うことのなかった艶のあるオーラを覗かせていた。大野の華やかさ、高井の落ち着いた佇まいと並んだ時に、その個性が自然と浮かび上がるのは、坂井自身の輪郭がはっきりしているからこそだろう。可憐さと表現力、その両方をあわせ持つ坂井の存在は、これからの五期生、そして日向坂46全体のバランスを語るうえで欠かせないピースになっていきそうだ。

【新参者】初の1日2公演!日向坂五期生の奮闘劇をお届けします【好きを超えろ】

 『新参者 二〇二五』は、3グループそれぞれの“はじまり”を確かめる場であると同時に、坂道グループ全体の“これから”を見通すステージでもあった。もちろん、彼女たちはまだ新参者で、完成されたアイドルではない。だからこそ、一公演ごと、一曲ごとに表情が変わり、日を追ってパフォーマンスが更新されていく過程そのものが、大きな魅力になっている。今回のステージで見せてくれた表情も、この先の活動の中で、何度でも塗り替えられていくだろう。

 東急歌舞伎町タワーで始まったこの一歩が、数年後にどんな景色へと繋がっていくのか。その答えを確かめるためにも、これからのライブやリリースのたびに、彼女たち一人ひとりの変化に耳と目を澄ませていきたい。

※1:https://www.nogizaka46.com/s/n46/diary/detail/104146

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川崎龍也

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