サンローラン(Saint Laurent)の2026年春コレクションを紹介。
ムッシュ イヴ・サンローランのスピリットを再解釈
ムッシュ イヴ・サンローランのスピリットを受け継ぎつつ、クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロの視点を通して再解釈したクリエーションを展開。イヴ・サンローランのスタイルを投影しながらも、モダンに表現したピースを揃える。
透明さと光で描くセンシュアルな装い
たとえば、レースやサテンを用いて“トランスパレンシー=透明さ”や光をデザインに取り入れたウェアは、「ランジェリーをデイウェアとして着ること」を提案したイヴ・サンローランの姿勢からインスピレーションを得ている。シアーなキャミソールドレスや、レースを大胆に切り替えたスリップドレスは、柔らかな色合いで軽快な佇まいに。風を含んで広がるシースルーのドレスや、裾にレースを配したサロペットタイプのワンピースなど、浮遊感のあるシルエットに仕上げたウェアが目を引く。
スリップドレスやランジェリーを直接的に表現したピースに加えて、デイウェアにランジェリーのコードを応用したピースも揃う。淡いレモンイエローのブラウスは身頃を横断するようにレースを切り替えて配し、肌を見せるディテールを加えることでセンシュアルなエッセンスをプラス。プリーツを効かせたボウタイブラウスや、ブラックのサテンドレスにも、ランジェリーを思わせる繊細な透け感のレースが用いられている。
フェミニンなシルエットとリボン
フェミニンな印象を生み出す曲線的なラインも特徴的。生地をたっぷりと使ってドレープを効かせたロングドレスやブラウス、丸みを帯びたフォルムのブルゾンなどのピースには、カーブしたラインや生地の流れが見て取れる。加えて、キャミソールドレスに配された細いリボンや、イブニングドレスにアクセントをもたらすコントラストカラーのリボン、そしてボウタイと、服地の流れの分岐点にあしらわれたリボンがフェミニンなムードをより一層際立たせている。
レトロスポーツウェアのエッセンス
トラックジャケットや、ヴィヴィッドなカラーブロックなど、スポーツウェアの要素もイヴ・サンローランのクリエーションからアイディアを得ている。1963年のオートクチュールコレクション以降、自身のコレクションにスポーツウェアを取り入れ、新たなエレガンスを提示したイヴ・サンローラン。そのアーカイブピースと呼応するようなレトロスポーツウェアがコレクションの随所に登場している。
袖に分量を持たせたアノラックパーカはスモーキーなトーンのカラーブロックで提案。オレンジの差し色を施したブルーのモデルや、ベージュにコーラルオレンジを組み合わせたあたたかな配色など、多彩なカラーバリエーションが披露されている。イエローとパープルのスイムウェア、ヴィヴィッドなマルチカラーのラインを配したタンクトップドレス、ランニングショーツを思わせるショートパンツといったピースもまた、アクティブなムードを描き出している。
フルーツの遊び心
装いに遊び心を加えるアイキャッチなモチーフとして、フルーツモチーフを採用している。ベアトップのドレスには、爽やかなグリーンカラーでチェリーのプリントをあしらった。また、大ぶりな果実が揺れ動くチェリーのピアスや、レモンが連なるチェーンストラップのヒールサンダル、ラズベリーをあしらったストラップサンダルなど、フレッシュなフルーツモチーフの装飾が軽やかな春の装いと共鳴している。





