PROFILE: 嶋崎朝子/良品計画 上席執行役員 生活雑貨部 管掌嶋崎朝子/良品計画 上席執行役員 生活雑貨部 管掌

PROFILE: (しまざき・あさこ)1988年、西友入社。98年、良品計画入社。2004年、ヘルス&ビューティーカテゴリーマネージャーに就任。岩手の天然水を使用したスキンケアやアロマディフューザーなどのヒット製品を開発。「無印良品 池袋西武」店長、MUJI U.S.A.社長、食品部長を経て、22年11月から現職 PHOTO : KOHEY KANNO

直近2年で急速に拡大する「無印良品」のヘルス&ビューティー(H&B)事業は、2025年8月期の業績説明会で成長ドライバーとして挙げられ、グローバル展開加速に向けて重要な戦略カテゴリーに据えられている。だが、その根底にある考え方は極めてシンプルで、初めて化粧水を発売した1997年から現在まで一貫している。良品計画の生活雑貨部門を率いる嶋崎朝子・上席執行役員は、「化粧品だから特別なことをしているわけではない」と繰り返す。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月24日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋に加筆しています)

急成長の理由
1. 都市型出店から“生活のそば”へ
2. 社会の“情報化”とケア意識の変化

全カテゴリーで共通する
「無印良品」らしさとは

WWD:改めてブランドの理念と化粧品の位置付けは?

嶋崎朝子・良品計画 上席執行役員 生活雑貨部 管掌(以下、嶋崎):あまり面白くない答えかもしれませんが(笑)、化粧品だけ特別な理念があるわけではなく、全ては「無印良品」のミッションに基づいています。創業時から変わらないミッションは「商品とサービスで世の中の役に立つこと」。そのために、生活の基本となる製品を、本当に必要なかたちで提供するというのが、全カテゴリー共通の“バイブル”です。食品であれば「おいしくて健康にも寄与すること」、衣服であれば「着心地が良く体になじむこと」、生活雑貨であれば「使い勝手がよく長持ちすること」。そしてそれらが「できるだけ手に取りやすい価格であること」。化粧品も全く同じで、日々の生活の基本として必要なケアは何かを起点に考えています。

WWD:24年8月期を最終年度とする3カ年計画で掲げた「第二創業」以降の変化は。

嶋崎:大きかったのは、企業理念を改めて言語化し直したことですね。「『感じ良い暮らしと社会』の実現に貢献する」というゴールを明確にして、そのための具体的な姿を“日常生活の基本を担う”と定めた。ここで、「もっとお客さまの生活圏のそばに出店しよう」と出店戦略を転換しました。それまでは都市型のマーケットが中心でしたが、地方や郊外にも積極的に出店し始めた。そうすると、「『無印良品』は知っているけれど、何を売っているかはよく分からない」「東京の店でしょう?」という人たちにも、きちんと店の姿を伝える必要が出てきます。その中で、新しいCMやチラシといった手法も使い始めました。化粧品だけのためではなく、まずは「『無印良品』という店に行ってみよう」と思っていただく入り口としてコミュニケーションの仕方も変わってきました。

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