
フランスを代表する女性誌『marie claire』の世界観を体現するブランド〈marie claire PARIS〉と、アカツキ商事によるスクールユニフォームプロジェクトが進行している。取り組みの2校目として、東京の星美学園小学校が2026年夏から新制服に一新。80年の歴史を持つ学園が、未来をまとう制服とともに新たな一歩を踏み出す。
新しいスタートにふさわしい制服を
東京都北区の丘に広がる星美学園小学校。2026年4月の校名変更とインターナショナルクラス新設を前に、同校は児童の制服を刷新する。夏の制服に採用されたのが、洗練されたフランス発の〈marie claire PARIS〉だ。
80年の歴史を持つ学園が〈marie claire PARIS〉を選んだ背景には、これからの時代を生きる子どもたちへのまなざしがある。星美学園小学校の星野和江校長に、新しい制服と学園の未来について伺った。
星美学園小学校 星野和江校長
「来年度から校名が『サレジアン国際学園小学校』に変わり、従来の教育を行う『星美クラス』に加えて、国際的な視野を育む『インターナショナルクラス』が新たに誕生いたします。新しいスタートを迎える子どもたちに、より快適で、動きやすく、デザイン性のある制服を着てもらいたいという思いが、制服を一新する最初のきっかけでした」
制服は複数社から選定された。〈marie claire PARIS〉を選んだ理由について校長はこう語る。
「〈marie claire PARIS〉のカタログを拝見したとき、『かわいい』という第一印象もありましたが、決め手は環境に配慮した上質なエコ素材、トレンドを感じられるデザイン、そしてジェンダーニュートラルなコンセプトを持っている点でした。それが本校のイメージに合っていると感じ、採用を決定いたしました」
コットン100%のホワイトのハットに、学園のロゴがあしらわれたポロシャツは2色、ボトムスはグレーとチェック柄の2種類でハーフパンツかキュロットから選べる。環境に配慮したエコ素材で、洗濯しても乾きやすい
2026年の夏から、いよいよ制服が一新。児童は性別にかかわらず、ポロシャツはネイビーとホワイトの2色、ボトムスもハーフパンツやキュロットなど複数から選べるようになる。
「これまで女児の夏服はワンピースだったため遊びづらく、学校に着くと体操着に着替える必要がありました。しかし新しい夏服なら、そのまま思いきり遊べますので、活動の幅がぐっと広がると感じています。普段は好きな色を選ぶ楽しさも味わってほしいと考えていますが、正式な場では白のポロシャツにするなど、TPOを学べるようにとも考えています」
新制服のボトムスに使われているチェック柄は、先生方へのアンケートや複数の試作を重ねたうえで決定された。
「チェックに使う色は、緑や赤などさまざまな候補があったので、教職員全員で意見を出し合い、最終的にどの子にも似合い、落ち着いた印象のあるネイビーをベースにブルーグリーンとピンクのアクセントを加え決定しました。学校行事がある際に校内で展示したら『かわいい』『涼しそう』『とても着やすそう』という声を児童や保護者から多くいただきました。試着会(採寸)にもたくさんの方が来てくださり、皆さまが期待してくださっていることを強く感じています」
ジェンダーニュートラルは教育理念そのもの

「本校はカトリックのミッションスクールで、“ひとりひとりが神様から大切にされている存在”という価値観を大切にしています。多様な考え方が尊重される時代だからこそ、子どもたちにも選択の自由をきちんと保障したいと考えています。〈marie claire PARIS〉がジェンダーニュートラルを推進している点は、本校の教育理念と非常に一致していると感じました」
制服という日常的なアイテムを通して、多様性への理解を自然と深めていく。今回のリニューアルには、そんな教育的な意図も込められている。
また、〈marie claire PARIS〉の制服素材は、環境に配慮したエコ素材が採用されているのも特長だ。
「教皇様が環境問題の大切さを繰り返し語られているように、本校でもSDGsを意識した生活を子どもたちとともに大切にしています。制服がその姿勢を象徴できることは、とても意味のあることだと感じています」
さらに〈marie claire PARIS〉は、学園の起源であるイタリアへの敬意から、ポロシャツの裾のタグをイタリア国旗のカラーに変更するなど、細部にわたり柔軟に対応した。そのていねいな姿勢は、星野校長をはじめ職員にも強く印象を残した。
心の教育を土台に、未来へ羽ばたく世界市民力の育成へ
1947年に創立し、2026年に80周年を迎える星美学園小学校。今回の制服リニューアルは、新しい校名への移行とあわせて行われる節目の取り組みでもある
2026年、創立80周年を迎える同校。教育の未来像は、より主体性と国際性へと広がりを見せる。
「先の見えない社会の中で、子どもたちには『自分から学ぶ力』や『自分で未来をつくる力』を育んでほしいと考えています。星美クラスもインターナショナルクラスも、英語教育を重視しながら、国際社会に貢献できる子どもたちを育てていきたいと思っています。また、キリスト教の価値観、人に温かく接する心の教育は、これからも大切にしていきます。『人にしてほしいことを、あなたも人にしなさい』、この教えを土台に、優しく、思いやりのある子どもを育て続けたいと考えています」
制服に寄せる想いについて、校長はこう話す。
「〈marie claire PARIS〉は世界的なブランドです。その制服を着ることで、子どもたちが自分の行動や周囲への配慮に、自然と意識を向けられるようになってほしいと願っています。制服は単なる衣服ではなく、これからの学びを支える存在でもあると感じています」
新しい制服、新しい校名。サレジアン国際学園小学校の新たな章は、子どもたちが未来へ羽ばたくためのたしかな一歩となるだろう。
text: Tomoko Komiyama photos: Norihiro Shigeta