フジ・コンシューマ・プロダクツ,FCP,フジテレビ,ガチャピン・ムック

「ガチャピン・ムック」と、サンプルTシャツを着用したモデル

フジテレビジョンは、「ガチャピン・ムック」などの保有キャラクターのIP事業に本格的に注力し、同事業の拡大を目指すことを発表した。その取り組みのひとつとして2025年10月には、メディア&インフルエンサー向けのファッション展示会「フレンドシップ パーティー 2025」と商談会を開催し、新たにライセンスビジネスを展開する姿勢を示した。長年愛されてきたテレビ発のキャラクターたちが、ファッションという新たなカルチャーシーンで再定義されようとしている。

ファッションシーンへの進出は
“最初の一歩”

フジ・コンシューマ・プロダクツ,FCP,フジテレビ

鈴木淳 フジテレビジョン IP・アニメ事業局 IP事業部 副部長(兼 フジ・コンシューマ・プロダクツ チーフ・セールス・オフィサー)

「ファッション領域への進出は、フジテレビのキャラクターIPの価値を最大化する非常に大切な一歩だ。最終的なゴールはライフスタイルやビューティなど、多様なカテゴリーで柔軟に展開していくこと。50年以上の歴史を持つ『ガチャピン・ムック』を、100年先も愛され続けるキャラクターへと育てたい」と、鈴木淳 フジテレビジョン IP・アニメ事業局 IP事業部 副部長は語る。

フジテレビは24年10月、ライセンスビジネスに特化した新会社であるフジ・コンシューマ・プロダクツ(以下、FCP)を設立した。FCPは、「ガチャピン・ムック」に加え、同じく「ポンキッキーズ」に登場している「Pちゃん」「Go!Go!コニーちゃん」のほか、海外でも人気の高い英国発のアニメ「チャギントン」など、フジテレビが保有するキャラクターIPの商品ライセンス窓口や新規IPコンテンツの開発・調達などを行う。

同社は、さまざまなブランドとのコラボレーションを歓迎している。「『ガチャピン・ムック』のスローガンは“みんなともだち”。他キャラクターとの共演や新規オリジナルアートなども可能で、柔軟に対応することが可能だ。商品の付加価値を高める、ストーリー性のあるデザインをブランドと共創していきたい」と語る。セレクトショップや国内のSPAブランドはもちろん、海外発のブランドなどとの協業で、「ガチャピン・ムック」の魅力を世界へと発信していきたい構えだ。

イベント出演にも柔軟に対応できる「ガチャピン・ムック」は、特定のテーマパークに常駐していないため、身近な“体験価値”を提供できる点が魅力だ。「子どもだけでなく、親世代でも実際に会えば喜んでもらえるキャラクターであることも、大きな強みの一つだ」と胸を張る。

90年代のポップカルチャーをけん引した
「ガチャピン・ムック」とは?

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左から、ガチャピン、ムック、Pちゃん

「ガチャピン・ムック」は、1973年にフジテレビでスタートした教育番組「ひらけ!ポンキッキ(1993年「ポンキッキーズ」に改名)」で誕生した。恐竜の子ども「ガチャピン」と雪男の子ども「ムック」は、番組を観る子どもたちと一緒に学び、さまざまなことを体験するキャラクターとして登場。ガチャピンがスキューバダイビングやサーフィンなどに挑むチャレンジ企画が好評で、お茶の間の人気を集めた。

「ポンキッキーズ」は、単なる子ども番組の枠を超え、“カルチャーの実験場”として機能した。スチャダラパーのBose、安室奈美恵、小沢健二ら当時を代表するアーティストが出演し、音楽・ファッション・アートが交差する唯一無二のコンテンツを作り上げた。「そのDNAは、令和で活躍するアーティストたちにも受け継がれている」と鈴木副部長は話す。

番組の歩みと共に、「ガチャピン・ムック」も確かな歴史を刻んできた。50年以上にわたり活躍してきたからこそ、今なお普遍的な魅力を放つキャラクターといえる。さらに、実写で存在するキャラクターである点も大きな特徴だ。「漫画やアニメの2Dの世界から出てきたワケではなく、『ガチャピン・ムック』は“現実にいる”。そして50年間活躍してきた実績がある。この歩みには深みがある」。誕生から半世紀、ガチャピンとムックは変わらず多くの人々に笑顔を届け続けている。

イベントには約400人が来場
コラボ提案も続々決まる

「フレンドシップ パーティー 2025」の会場の様子。人気インフルエンサーらも来場した

会場にはフジテレビのキャラクターIPを落とし込んだサンプルTシャツ約50型を展示

来場者が気に入ったデザインにシールを貼るブースも設置。人気のデザインが一目で分かる仕組みとなっていた

10月9日には、FCP初のファッションの展示会「フレンドシップ パーティー 2025」を開催した。会場には約400人にもおよぶアパレル関係者やメディア、インフルエンサーなどの業界のキーパーソンが来場。「ガチャピン・ムック」や「Pちゃん」も登場し、SNS上では多くの投稿が見られた。「キャラクターとファッションの融合が生み出す新しい表現の可能性を感じた」「エモーショナルな気持ちになった」といった感想が多数寄せられ、盛況のうちに幕を閉じた。

会場には、「ガチャピン・ムック」「Pちゃん」「Go!Go!コニーちゃん」「チャギントン」などのキャラクターIPを落とし込んだサンプルTシャツ約50型を展示。「ガチャピン・ムック」のキーカラーであるグリーンとレッドのアイテム加え、ストリートにもなじむモノクロやビンテージ加工を施したデザインも多数披露した。「ターゲット世代やトレンドを意識し、安易に流されず戦略的にクールなアイテムを取り入れ、バリエーション豊富に魅せることを心掛けた」。

コラボを加速
26年春には渋谷パルコでイベントも

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

イベントで展示したTシャツのデザイン

展示後の商談会では「予想を大きく上回る来場者数」で、複数のブランドやセレクトショップからコラボ提案が寄せられた。特にTシャツ、スエット、スニーカーなどのカテゴリーでコラボの要望が多く、高い関心を集めたという。リアルな場を設け、本格的な展示会を実施したことでコラボアイテムがイメージしやすくなり、さまざまな協業につながった。

「リアルクローズに落とし込みやすいデザインを多く展示したことで、ラグジュアリーからストリートまで幅広いブランドに取り入れてもらえるはずだと考えた。これまでの『ガチャピン・ムック』のゆるっとしたイメージをいい意味で壊し、新しい魅力や可能性を発信することができた」と手応えを語る。

FCPはアーティストとのコラボレーションやファッションブランドとの協業に対し、今後も本格的にリソースを投下する方針だ。23年に始動した「ガチャピン・ムック アートプロジェクト」を更に活性化させ、多彩なアーティストによる「ガチャピン・ムック」の作品を展開していく。26年春には、渋谷パルコ4階の「パルコミュージアムトーキョー(PARCO MUSEUM TOKYO)」で展覧会を予定。日本記念日協会に認定された4月2日の「ガチャピン・ムック みんなともだちの日」には、さまざまなブランドとのコラボやイベントも計画している。

「フジテレビのキャラクターは、ファッションとの親和性が高いIPであり、日本が誇るカルチャーの資産だ。『ポンキッキーズ』で作り上げた先進的なカルチャーこそ、昨今の“カルチャー回帰”と響き合う。ファッションを通じて、その価値を国内外に再発信していきたい」。

「ガチャピン・ムック」「ポンキッキーズ」という国民的キャラクターの強固なブランド力と、「チャギントン」が持つ高い認知度を武器に、事業領域のさらなる拡大を目指す。

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