トランスジェンダーの主人公と少女の絆を描き、多くの人の心を動かした映画『ミッドナイトスワン』から5年。内田英治監督による“真夜中シリーズ”最新作、『ナイトフラワー』が11月28日に公開される。
借金取りから逃げて上京し、昼はパート、夜はスナックで働く二児の母親・夏希(北川景子さん)。風俗嬢として生活費を稼ぎながら、夢を追いかける女性格闘家・多摩恵(森田望智さん)。夏希は子どもたちとの生活を守るために違法ドラッグの売人になり、多摩恵はボディーガードとして夏希を守ることを決める。社会の片隅で必死に生きる2人が出会ったとき、運命の歯車が危うい方向に回り始めるーー。
国民的人気を誇るアイドルグループ・Snow Manのメンバーであり、俳優・声優としても活躍する佐久間大介さんが本作で演じるのは、多摩恵の幼なじみで、彼女に思いを寄せる風俗店勤務の男性・海。懸念しつつも多摩恵の強い頼みに応じてドラッグの元締めと繋ぐ役割をし、2人の暴走を止められないまま守ろうとする存在だ。佐久間さんと内田監督といえば、え?佐久間さんがストーカー?と驚きの声があがった『マッチング』(2024)も記憶に新しい。
内田監督との新たな作品に挑む佐久間さんインタビュー第1回では、海というキャラクターをどう解釈し、向き合ったのか。演者としての思いと自身の本音を聞いた。
「多摩恵を守りたい」と思いながら演じていた
『ナイトフラワー』は、母と子の物語であると同時に、「守りたいもの」がある者たちの物語でもある。愛する我が子を守りたい夏希、格闘技の世界という夢の場所と夏希親子を守りたい多摩恵、幼なじみの多摩恵を守りたい海――。佐久間さんは多摩恵に対する海の思いを、どのように解釈して演じたのか?
夏希(北川景子さん)と多摩恵(森田望智さん)は互いに大切なものを守るために手を組むことにする©2025「ナイトフラワー」製作委員会
©2025「ナイトフラワー」製作委員会
©2025「ナイトフラワー」製作委員会
「海は常に多摩恵ファーストで動くものの、結果的に彼女を危険な立場に追い込むことになってしまいます。『自分のせいで』という罪悪感を抱えた、苦しい立ち位置にいる子だなと思いながら演じました。とにかく『多摩恵を守りたい』ということを一番に考えていました」
撮影/大坪尚人
海は早い段階で多摩恵が夏希親子と親しくすることに不安を感じ、「関わるな」と苦言を呈していた。
「海は多摩恵に対して、ちゃんと怒る、叱るという態度に出ることも多かった。夏希親子と関わるなと言ったのも、『多摩恵に幸せになってほしい、変なところに首を突っ込まないでほしい』という気持ちの表れだったと思います」
