掲載日
2025年11月17日
誰を、どう採用するのか? 業界はどうすれば若者を惹きつけられるのか? 彼らは本当に言われるほど怠け者なのか? こうした問いがいま、ファッション業界の頭を悩ませている。これらのテーマは、フランス・プレタポルテ・フェミニン連盟が主催し、11月6日にパリ10区ラ・カゼルヌで開催されたAssises académiques de la mode(アカデミック・フォーラム)で取り上げられた。
これは、必然的に業界の中核的な課題だ。Union française des Industries de la mode et de l’habillement(UFIMH、フランス・モード衣料産業連合)の理事であるピエール=ジャック・ブリヴェ氏が冒頭で述べたように、現在フランスではファッション部門の雇用が失われつつある。
どうすれば労働市場の新規参入者を惹きつけ、採用し、定着させられるのか? – Fédération Française du Prêt-à-porter Féminin
ラウンドテーブルを通じて採用担当者やアカデミアのリーダーと解決策を共有するべく、さまざまなバックグラウンドの登壇者が知見を持ち寄った。陸軍、ファッション、建設といった各分野から、若者を導き、採用し、定着させる必要性が口々に語られた。
若者をきちんと扱うことを…当たり前に
フランス陸軍の青少年リクルート部隊を率いるアルノー・グジョン将軍によれば、第一の鍵は現場に足を運び、メッセージを自ら体現すること――とりわけ、若者にふさわしい言葉で語りかけることにある。「マーケターは彼らを『思考のない単なる消費者』と見なし、雇用主は『怠け者』と見なす」と同将軍は断じる。「私には、早い段階で理想を打ち砕かれた世代に見える。彼らには目的を持てる仕事が必要だ」。さらに同氏は、Z世代が「非常に醒めた目」を持ち、退屈し、与えられているほぼ唯一の選択肢である消費主義にうんざりしていると指摘する。
将軍によれば、陸軍は国内で最も強固な雇用主ブランドを持つが、それでもなお、どんな手段を使ってでも外に出て若者と直接会う必要がある。全国に張り巡らせた拠点網により、年間36万5000人の若者に直接接点を持てている。
次の課題は、関心を示した若者を適切に導くことだ。関心層の約9割は特殊部隊への配属を望む一方で、陸軍が必要としているのは、建設から戦闘、広報・コミュニケーションからエンジニアリングまで幅広い技能を持つプロフェッショナルである。
新規人材を惹きつけるには、企業や機関は自らの独自性を前面に打ち出すべきだと、グジョン氏は言う。それが難しいなら、募集職務に見合った報酬を提示し、柔軟性を示す必要がある。とりわけ、いまの若年就業者には、いったん離職してから戻ってくる、いわゆる「ブーメラン」の動きが自然に見られるからだ。
CAPEB(Confédération de l’artisanat et des petites entreprises du bâtiment、建設業手工業・中小企業連盟)の技能・訓練担当ディレクターであるフローレンス・ダイスラー氏によれば、若者は報酬が良く、意義があり、身近なコミュニティに貢献できる仕事を求めている。また、自分たちに真摯に向き合ってくれる雇用主を必要としているという。「雇用主が若者に先入観を持たなければ、職人と若者のコンビは“勝ち”です」と同氏は強調し、「その逆もまた然りです」と付け加える。
重要なのは、すべての生徒や学生と関わること
何よりも、若者は自分の関心分野に無数の職業が存在することを知る必要がある。そうでなければ、行き当たりばったりの進路指導は良い結果につながりにくい、とダイスラー氏は指摘する。だからこそ、学童や学生に働きかける必要があるのだ。そう語るのは、組織内の世代間の結束を促進する団体Youth Foreverの創設者兼CEO、ジャスミン・マネ氏。Assises académiques de la modeの場で同氏は、すでに進路選択を迫られている中等教育段階(高校など)の生徒たちは、一般に身近な人々の職業しか知らないと指摘した。
したがって、進路指導機関の役割は不可欠だ。こうした取り組みによって、若者はこれまで知らなかった道を視野に入れられるようになる。この知識こそが、特定の職業分野における多様性の著しい欠如を招く社会的決定論に対抗する第一歩である。だからこそジャスミン・マネ氏は、社会的不平等が若者の雇用機会をなお重く制限している今、年に一度でもよいから生徒や学生と関わってほしいと業界のプロフェッショナルに呼びかけている。
「若者の数だけ若者の種類がある」
誰もが同じリソースや人脈にアクセスできるわけではないという認識は、同質的なプロフィールばかりが積み上がる採用危機を解きほぐす鍵になる。そうしたプロフィールはしばしば“Z世代像”として一括りにされがちだ。ジャスミン・マネ氏はこのラベリングに批判的で、「『Z世代』や『若者』という言葉は、しばしば都市部の若い大卒者を指しますが、若者はそれだけではありません。若者の数だけ若者のあり方があるのです」と語る。浮かび上がるのは、ファッション業界で採用がこれほど難航するのは、訓練や仕事へのアクセスが人口の一部にしか開かれていないことが一因だという見方である。
不平等を是正することは、ファッション業界の採用危機の解決に寄与する – Fédération Française du Prêt-à-porter Féminin
この見解は、地方出身の若い大学生と企業を結びつけるAtout Jeunes Universités協会のエグゼクティブ・ディレクター、アンヌ・シュッツァー氏も共有している。「若者が利用可能なネットワークへのアクセスは平等ではありません」と同氏は強調する。「そしてバックグラウンドによって、若者の志向も同じではありません」。同氏は、PVHグループのタレントアクイジション、ダイバーシティ&インクルージョンのシニアマネージャーであるフローラ・ニオレ氏と同様、履歴書不要の採用の推進者だ。「狙いは、自分に似た候補者の履歴書だけで満足しないことです」と説明する。
不断のコミットメントと優先順位の移り変わりの間で
不平等と闘うこの取り組みは、企業にも利益をもたらす。より多くの若者が自分に合ったポジションにたどり着けるようになり、これは人材定着の根本要因になると、ジョナックの人事ディレクター、カミーユ・ドゥヴァイリー氏は語る。「小売の仕事は、より良い仕事を待つまでの腰掛けではなく、キャリアとして選ばれるべきです。新しい世代のコミットメントが上の世代に劣るとは思いません」。同氏にとって、透明性の追求とごまかしのない(no-bullshit)アプローチが決定的なテコとなる。これにはグジョン氏も同意し、「若者は、私たちが何者なのかを明確に理解する必要がある。要は失望のマネジメントです」と述べる。
あらゆる世代でコミットメントは変わらない一方、若者の間では優先事項が明確にシフトしている。ジャン=ジョレス財団の共同ディレクター、ジェレミー・ペルティエ氏は、大多数の若者にとって仕事のために身を犠牲にすることは選択肢ではなく、私生活を軸にキャリアを形づくり、その逆ではないと説明する。また、若者は一般に早く責任ある地位に就くことを望むが、自然に積み上げるキャリアパスの重要性は変わらないとも強調する。
PVHグループのフローラ・ニオレは履歴書不要の採用を支持 – Fédération Française du Prêt-à-porter Féminin
ジェレミー・ペルティエ氏によると、新しい働き手の最も重要な要請のひとつは、敬意と正当な評価が欠けているという実感を背景にした、労働条件の改善の確約である。この懸念は今や、近年主流だった環境問題や、差別撤廃といった社会課題よりも優先されている。
