
声優や俳優の「声」を保護・活用するための公式音声データベース「J-VOX-PRO(仮称)」を立ち上げると、協同組合 日本俳優連合(日俳連)、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の3者が発表した。3者はこの推進に関する覚書を締結し、声の不正利用対策と音声AIビジネス展開を一体的に支援する。
「J-VOX-PRO(仮称)」は、日俳連が運営主体となり、CTCが運用や技術面を支援する、プロの声に特化した公式音声データベース。実演家の意思表示に基づき、数千人規模の高品質な音声データを保管し、安心して利用できる公的基盤を目指すという。
背景には、生成AIにより実演家の声が無許可で模倣や公開される事例の増加がある。これによる人格的/経済的権利の侵害や、業界の健全な発展が妨げられる事態を受け、日俳連は2023年から対策を進めており、今回のDB立ち上げはその基盤整備の一環となる。
データベースは法人利用を前提とし、利用企業は、所定の料金を支払い、許諾の範囲でデータを利用できる。実演家本人のAI利用に関する意思表示のデジタル化、および企業とのマッチング機能を提供する。また、電子透かしや声紋技術による不正利用の防止、不正発見時のサポート体制も整備する。

今後は行政とも連携してルール形成を進め、教育や医療、観光分野などでの活用を目指す。現在は国内向けに展開するが、将来的な海外展開も視野に入れる。日俳連は権利保護と収益機会拡大、伊藤忠商事は新規事業創出と海外展開、CTCはサービス開発をそれぞれ担う方針だ。
