ヒット曲揃いの’90年代J-POPランキングで、週間最高順位が2位の名曲の数々を、時代背景とともに分析する『90年代JーPOP なぜあの名曲は「2位」だったのか』──本を読んで、会いたくなって。著者のミラッキさんにインタビュー。
「Automatic」「もう恋なんてしない」「ズルい女」……。約30年も前の歌なのに、タイトルを見ただけで耳の奥にメロディが流れ、気づけば自然とリズムをとっている。そんな誰もが知るヒット曲50作品を、著者であるミラッキさんのパーソナルな思い出と膨大なデータでひもといた、史料的価値の高い解説書。〈CDが最も売れた時代〉という’90年代は、優れた才能が溢れていた。それゆえ、
「残念ながら声や曲調が被っちゃって、ほぼ同じクオリティなのに表に出てこれなかった曲があるんです。“ジェネリックなJ‒POP”と呼んでいるんですが、それを発掘する研究発表のような定期イベントを、音楽クリエイターのヒャダインさんと一緒にやってまして。ただそれはまだ本にするタイミングではないと思ったので、’90年代のもう一つの研究である“実は最高順位が1位じゃないヒット曲”について書いてみたんです」
前代未聞の名曲論。2位といっても100万枚を売り上げたものもある。2位じゃダメというわけではないけれど、「え、この曲って1位をとれてなかったの?」という驚きで再評価するというのは初めての体験だ。もちろん意外性だけではない。では数十年もそらんじられている歌よりも売れた1位の曲は何なのか、最高2位の曲が多かった歌手は誰なのか、あの国民的グループが1位をとれなかったのはなぜなのか、などなど、新たな学びとCDバブル時代を振り返る楽しみも見出せる。
「どの曲にもいえることですが、’90年代だから、2位だった。1位を取るポテンシャルがないと、2位までも行けなかったというところがポイントなんです」
中学の時に再結成したYMOに夢中になりました
着眼点もさることながら、何より感嘆するのは、ミラッキさんの記憶力と知識量だ。
「僕自身は’90年代はまだ中高生で、中1の時に再生(再結成)したYMOに夢中になり、いわゆるテクノポップやルーツ的な音楽を塾の先生から教わったりしていました。そうやって厚みが増していく中、高校でサニーデイ・サービスに出会い、そのアコースティックなみずみずしい雰囲気にどっぷりハマったんです」
