芦田愛菜『果てしなきスカーレット』@スタジオ地図 公式インスタグラムより

東京国立博物館のライトアップされたバルコニーに、白いドレス姿の芦田愛菜が姿を現した。細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』ジャパンプレミアでの登壇だ。目尻を引き締めたアイラインと淡いリップ。

これまでの清楚な印象とは異なる“大人の表情”が話題を呼んだ。「濃いめメイク」と賛否が分かれる一方で、彼女が語った「生きることは愛すること」という言葉に、女優としての確かな覚悟がにじんでいた。

 

 

純白のドレスとともに、変化を見せた芦田愛菜

11月5日夜、東京・上野の東京国立博物館。ライトアップされた表慶館のバルコニーに、白いドレス姿の芦田愛菜が現れた。柔らかな照明に照らされ、静かに手を振る姿はまるで“現代の王女”。観客席からは、どよめきと歓声が起こった。

細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』のジャパンプレミア。この日、主人公スカーレットの声を演じる芦田は、共演の岡田将生とともに登壇した。
目尻を長く引いたアイラインに、ピンクベージュのリップ。これまでのナチュラルな印象とは異なる大人の装いだった。

 

「濃いめメイク」に賛否、でも見えてくる“変化の意味”

イベント後、SNSは彼女の姿で持ちきりになった。
「本当に綺麗になった」「知的な雰囲気が素敵」と称賛する声がある一方で、「昔のナチュラルな愛菜ちゃんが好きだった」と戸惑う声も少なくない。

けれど、会場で彼女を目の当たりにした人々には、単なるイメチェン以上のものが伝わったはずだ。
カメラのフラッシュを受けながら微笑む横顔には、清楚な可愛らしさと、凛とした意志が同居していた。

「芦田さんは可憐で知的な印象が強いですが、童顔で小柄ということもあり、これまで役の幅が限られていた」と語るのは芸能記者だ。
「21歳を迎え、女優として新しい地平を切り拓こうとしている今、ビジュアル面の変化は“挑戦”の一つなんです」

 

子役イメージの壁を越えるために

芦田愛菜は、10歳にして日本中がその名前を知る存在になった。聡明で礼儀正しい少女。その印象があまりに強く、成長しても“まなちゃん”のまま見られることが多い。

だが、過去にも同じような壁を越えてきた俳優がいる。安達祐実だ。童顔ゆえに子役イメージを引きずり、一時は役の幅を狭められたが、彼女は大胆な役柄で道を切り拓いた。
芦田もまた、今は清楚さの向こうにある表現を模索しているように見える。

 

「生きることは愛すること」 役を超えて伝えたメッセージ

試写会でマイクを握った芦田は、スカーレットという役について静かに語った。

「スカーレットは“こう生きなければいけない”と自分を縛って生きていた女の子。
でも、死者の国での旅や聖(ひじり)との出会いを通じて、自分の人生を愛せるようになる。
意味を見つけるのではなく、生きるという行為そのものに意味がある。生きることは愛することなんじゃないかと感じました」

その言葉に、会場は静まり返り、やがて大きな拍手が起こった。
演じるという行為を超えて、彼女自身の信念を語るような言葉だった。

 

“声で変わる” 吉田鋼太郎も絶賛した演技力

共演の吉田鋼太郎は、彼女の演技をこう評している。
「言われなければ芦田愛菜だとわからない。魂を吹き込むような演技だった」

細田監督作品特有の緻密な世界観の中で、芦田の声は柔らかくも芯のある存在感を放つ。声優としての進化は、彼女が子役から完全に脱皮したことを証明している。

 

大人の表情と内なる信念、その二つが交わるとき

今回の「濃いめメイク」論争も、彼女にとっては必要なプロセスなのかもしれない。
見た目の変化は、内面的な変化の表れだ。
ドレスの裾を揺らしながら、照明の中で笑顔を見せた芦田愛菜。その姿には、演じることへの確かな覚悟が滲んでいた。

子役から女優へ。可愛らしさと知性の間で揺れながら、彼女は今、静かに新しい扉を開いている。
その一歩は、きっと彼女が語ったように。“愛すること”から始まっている。

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