
連続テレビ小説「ばけばけ」第28話。松野トキの目に留まった物乞いは…雨清水タエ(北川景子)だった(C)NHK
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女優の髙石あかり(22)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は5日、第28回が放送され、朝ドラ初出演となった女優の北川景子(39)演じる主人公・松野トキの“親戚”雨清水タエが物乞いに身をやつした姿が描かれた。制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサー(CP)は北川の覚悟や役作りを称賛。舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「バイプレイヤーズ」シリーズやNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」など会話劇に定評のある、ふじきみつ彦氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。
第28回は、レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)の女中探しを任された錦織友一(吉沢亮)は、松野トキ(髙石あかり)に依頼。トキは高額報酬の女中、つまり洋妾(ラシャメン)を疑い、断る。数日後、街中で思いもよらぬ人物の姿を目にし…という展開。
トキの目に留まったのは女の物乞い。それは何と、松江を離れたはずの雨清水タエ(北川景子)だった。雨清水傳(堤真一)が亡くなり、織物工場は閉鎖。トキは思わず、木の陰に隠れる。
男「施しを受けたら、頭下げて礼を言うのが物乞いじゃろうが」
タエ「何故」「何故、頭を下げねばなりませぬか」
タエは頭を下げず。施しは持って帰られた。
今作の登場人物のうち、モデルがいると明言しているのはトキ、ヘブン、錦織(八雲の親友となった島根の教育者・西田千太郎)の3人のみだが、タエについて橋爪CPは「セツさんの母・小泉チエさんを参考にさせていただいた部分もあります。小泉家も困窮し、チエさんが実際に物乞いをしていたという記録が残っています」と説明。史実ベースの展開となった。
主演映画「ナイトフラワー」(11月28日公開)で生活に窮してドラッグの売人になるシングルマザー役を演じるなど、役の幅を広げ続ける北川だが、今回の物乞い役はまた一つ、衝撃的なものと言える。
松江随一の名家に生まれ、凛とした気品と厳しさを兼ね備えるタエ。北川の反応について橋爪CPは「タエというキャラクターなら、自分が働くぐらいなら物乞いを選ぶのは自然な流れですよね、と。役である限り、ちゃんと物乞いになって、タエを生きたいと思います、とおっしゃっていました」と明かした。
「“きれいな物乞い”にはなりたくないということで、僕たちが『それはやり過ぎじゃないですか』というぐらい“汚しメイク”にこだわって、タエが長くお風呂に入っていないと見えるようにしたり。その徹底ぶりや役への入り込みは流石だなと、あらためて現場で実感しました」と女優魂を絶賛。着物はいったん水洗いし、敢えてヨレヨレに。「貧しいトキたちのものもそうですが、そうすることで古い着物に見えるんです」と工夫の一端を語った。
SNS上には「え?タエ様?」「衝撃的すぎて、言葉もない」などの声が続出。トキも変わり果てたタエの姿に衝撃を受けたが、果たして。北川のさらなる新境地が注目される。
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