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PHOTOGRAPHS BY MITSUO OKAMOTO

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この秋、ファッション誌では「スタンダード」特集が続いています。かくいう弊誌も今月の特集は「NEW STANDARDS」。エッセンシャル、クラシック、エターナルと、近いけれど微妙に意味やニュアンスが異なる単語を行ったり来たりしましたが、しっくりくるのはスタンダードで、このタイトルに落ち着きました。

それにしてもなぜ今、スタンダードという言葉に注目が集まるのでしょうか? 数年前まで、ファッションは半期ごとに変わるトレンドによって移り変わるものでした。しかし新しいものを次々と追い求めることに疲れ果てたのか、トレンドの影響力は薄まり、トレンドに左右されないノームコア、そしてクワイエットラグジュアリーが“トレンド”となりました。そして、多くのブランドのデザイナーが代わり、ファッション界の世代交代が行われた2025年のトレンドを表すのが、「スタンダード」のように思えます。とはいえ、“今”のスタンダードが意味するのは、ただ単に定番アイテムやスタイルへの回帰ではありません。ディオールでのデビューショーでネクタイを復活させたジョナサン・アンダーソンが裏返しで結んでラベルを見せるスタイリングを提案したように、定番の取り入れ方やデザインそのものも進化しています。そして何よりも、定番をどうその人らしく着こなすか、がこのスタンダードブームの根底にはあります。アンダーソンもまた、「ブランドに『個のスタイル』を取り戻すことが狙いである」とGQのインタビューで答えています(『GQ JAPAN』11月号より)。

今月号では、ファッションからインテリア、そして食の分野まで、独自のスタイルを持つ方々に自身の「スタンダード」を紹介していただきました。表紙を飾るのは、ファッションスタイルはもちろん、その生き方も今の時代のスタイルセッターとして注目を集める賀来賢人さんです。カバーストーリーでは、ファッションからインテリアまで、賀来さんが考える「新しい定番」を提案してもらいました。賀来さんは自分にとって「定番」とは、ずっと身近にあるものだけれど、年齢によって離れたり、戻ったりして、時間とともに理解してゆくものと語っています。私もワードローブのトーンはほぼ変わらず、その中でアイテムが新規参入したり、あるいはお休みしたり復活したり。断捨離は進まず、気づけばセルフヴィンテージが増えていましたが、そうした中で、自分のスタイルが見え始めてきました。自分のスタンダードを考えることで、自分らしいスタイルを見つけてゆく。それが2025年のニュースタンダードなのかもしれません。

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