J-POPにダンスを組み合わせてストーリーを紡ぎ出し、人気を集めるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の20th Breakdown「FINAL JACKET」が東京、愛知、大阪にて上演される。この記念すべき20回目の公演を前に、昨年の「クリス、いってきマス!!!」に出演したダンサーのSuGuRuが梅棒に電撃加入! 今回の公演でも重要な役割を担うことに。人々を統べる力を持つ伝説のジャケットを巡り、男たちが戦いを繰り広げるという本作。主人公のアウトローな用心棒・マグナスを演じる櫻井竜彦と、とある武道家・王八宝(ワン・バーバオ)を演じるSuGuRuに話を聞いた。
【全ての画像】櫻井竜彦、SuGuRuインタビューの模様
――今回のプロットを読まれての印象をお聞かせください。物語の内容も、ビジュアルもこれまでの梅棒の公演と比べて……。
櫻井 思い切り男臭いですよね(笑)。梅棒の作品はわりとカラフルな世界観でファンタジー色が強いんですけど、今回は黒とか茶色とかカーキ色のイメージで「20回目にこれをやるのか……」と驚きを感じつつ、いままでとはちょっと違うものができそうで楽しみです。
SuGuRu 去年、初めて梅棒にゲストとして参加させていただいた『クリス、いってきマス!!!』がクリスマスをテーマにした思い切りキラキラした作品で、カラーも赤とか緑だったんですけど、今回は真逆という感じでギャップが凄まじいです。ひとことで言うと「泥」(笑)。男子校の体育祭の棒倒しみたいな(笑)。読み始めてすぐ「泥臭っ!」って言葉が出てきそうな感じだったんですけど、それでもしっかりと梅棒らしさみたいなものを感じて、楽しんでいただける作品になっていると思います。
櫻井 そういう意味では今回、男性の方にもぜひ見に来ていただきたいなと思っています。梅棒の公演に足を運んでくださる方は女性が多いですが、「梅棒って名前は聞いたことあるけど見たことはない」という男性の方にぜひ見てほしいです。もちろん、これまでも梅棒の公演を見に来てくださった方たちにとっても、少し違ったテイスト、見たことないようなメンバーたちの表情を楽しんでもらえる作品になっていると思います。
――SuGuRuさんは昨年末の「クリス、いってきマス!!!」への出演を経ての梅棒への加入となりましたが、そこに至るまでの経緯や理由についてお聞かせください。
SuGuRu 「クリス、いってきマス!!!」では東京、大阪、愛知の計28ステージに出演しましたが、初日から大千穐楽まで、なんなら稽古初日から毎日、朝起きて「っしゃー! 来ました、今日が!」というモードで、一度たりとも「今日も頑張らなきゃ」というマインドになったことがなかったんです。常に目の前の1ステージに全力で挑めるという環境が、自分にとって天職だと思えたんです。もともと8年前の7th ATTACK『ピカイチ!』で梅棒の公演を観て「やってみたい」という思いを抱いていましたが、実際にやってみたら「うん、これはもう入るしかないんじゃない?」って思えて、(梅棒代表の伊藤)今人さんに「僕が入る余地はありますか?」と相談して、そこからはとんとん拍子に決まりました。本当に自分にとっては天国みたいな場所ですね。
櫻井 みんなで話し合いながら、じっくりと稽古をしながらつくっていく過程を見て「めんどくさそうだな」とか思わなかった?
SuGuRu いやいや全然! メチャクチャ楽しそうだなって。「十人十色」という言葉がぴったりなんですけど、いろんな意見が出てきて、「これ、どんなふうに混ざっていくのかな?」と思っていたら、意外とみんな引かずにぶつかり合う感じで(笑)。頭を悩ませつつ、でも「良いものを出そう」という気持ちが伝わってきて、すごく楽しいです。
櫻井 僕は前回の公演には出ていなかったので、先日のファンクラブイベントで初めてSuGuRuと一緒になったんですけど、普段、人と仲良くなるのに時間がかかるタイプなのに、なぜかSuGuRuとは既にメッチャ仲良いよね(笑)? これまで歩んできた経歴やダンスのタイプは違うけど、好きなものが同じで波長が合うというか。
SuGuRu ふたりとも血液型がAB型で、メンバーの中でAB型は他に梅さん(梅澤裕介)だけなんですよね。(周囲の笑いに)いやいや、何ですか、その笑いは? 何もおかしくないですけど(笑)。
櫻井 年齢的にはちょうどひと回り違って(12歳差)、「若っ!」と思いつつ(笑)、すごく刺激をもらっています。今回も僕と遠山(晶司)とSuGuRuの3人で振付をしている曲があるんですけど。
SuGuRu これまで僕は、どちらかというと感性やノリで振りをつくってきた部分が多くて、それ以外のことがあまりにもできなくて家族から「ポンコツやな」と言われるんですけど(笑)、今回、初めて人と一緒につくる中で「こんな見せ方ができるんだ?」「こんな表現の仕方もあるんだ!」と勉強させてもらっています。
櫻井 今回、僕らとつくっているもの以外にもいくつか振付を担当しているし、たくさん依頼が来てるよね? 「ここのサビつくって」とか。SuGuRu自身がうまいのはもちろんですけど、耳がすごく良いからなのか、細かい“音”が見えるような振付になっていて、それがすごくかっこいいんですよ。
SuGuRu 音が「聴こえる」ということは、その音にきちんと対応した動きを見せることができれば、見る人に「気持ちいい!」と感じてもらえると思うんです。SNSの時代に、人々がパッと見た短い動画にかっこよさや快感を抱くのと同じで、ダンスでも一瞬の動きで気持ちよさを感じられる振付を意識しています
櫻井 ストリートダンス出身ということでいうと、メンバーの(塩野)拓矢もそうなんですが、拓矢ともまた違った感じで、これまでも梅棒を見てきてくれた人にも「ぜひここは見て!」と言える新しい風を感じます。
SuGuRu 新しい風、というか嵐……?いや、作品の泥臭さも混じって砂嵐みたいになっていると思いますが(笑)、期待を裏切らない作品になっているので、ぜひ見に来てほしいです。
取材・文/黒豆直樹
撮影/石阪大輔
<公演情報>
梅棒 20th Breakdown 『FINAL JACKET』
【東京公演】
日程:2025年11月8日(土)~24日(月・祝)
会場:サンシャイン劇場
【愛知公演】
日程:2025年11月29日(土)~30日(日)
会場:ウインクあいち
【大阪公演】
日程:2025年12月5日(金)~7日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
