ブランドプロデュース事業を行うマスカットグループは16日、化粧品企業のかならぼを子会社化すると発表した。10月31日付で普通株式の68%を取得し、2027年5月末をめどに残り株式も取得して完全子会社化する。1回目の取得価格は7億5800万円、2回目は3億5800万円〜4億5800万円想定で、総額は11億〜12億円を見込む。
かならぼは2015年に創業。自社生産設備は持たず海外OEM企業に生産を委託し、国内や中国向けに販売を行う。眉ティントが主力の「フジコ(FUJIKO)」やタレントの吉田朱里がプロデュースする「ビー アイドル(B IDOL)」、芸人のエルフ荒川がプロデュースする「ギャルズ コスメティックス(GALLZ COSMETICS)」の3ブランドを展開。従業員は23人にのぼる(25年4月時点)。24年9月期の売上高は30億円、営業利益は1億円。
マスカットグループは、ゴールドマン・サックス証券出身の大久保遼氏が16年に前身ライスカレー製作所として創業。SNSアカウント運用代行から始まり、現在はSNSマーケティングとデータ活用を軸にブランドプロデュースを成長戦略の柱とする。村松商店やMOVEを傘下に持ち、オーラル美容コミュニティブランド「ミーズ(MIIS)」などを展開する。24年に東証グロース市場へ上場し、25年7月に現社名に変更した。25年3月期の売上高は前年比25.8%増の29億円、営業利益は同横ばいの8800万円、純利益は同2.7%増の1億円。
同社は買収の狙いについて、「成長性の高いコスメ市場において実績のあるかならぼのニッチトップブランドを迎え入れることで、ブランドポートフォリオの質・量両面を拡充し、収益基盤の強化と新たな成長機会の獲得を目指す」としている。
かならぼの和田佳奈代表は、「かならぼは、リアルでの発信力・商品力に強みがある一方で、ECという分野にはまだまだ伸びしろがあると感じている。マスカットグループのデジタル領域のノウハウを掛け合わせることで、オンラインとオフラインの両軸でお客さまとつながれるブランドを目指す」とコメントを寄せた。