掲載日
2025年10月15日
イエール国際ファッション・写真・アクセサリー・フェスティバルは、盛大な祝賀ではなく、40周年を機に新たな出発を選んだ。フランス文化省から今年4月に運営面での批判を受けた、若手デザイナーのためのこの著名なファッション・コンペティションの象徴的創設者兼ディレクター、ジャン=ピエール・ブランの退任を受け、同イベントは規模を絞ったエディションで新たな一歩を踏み出す。
ヴィラ・ノアイユで10月16日から18日まで開催されるファッション・フェスティバル – © Olivier Amsellem
8月にヴィラ・ノアイユのアートセンターのディレクター・ジェネラルに就任し、デザイン・パレードなど通年のイベントも統括するヒューゴ・ルッキーノの主導のもと、フェスティバルは10月16日から18日まで、例年の4日間ではなく3日間で開催される。初日の木曜夜には、同館のパスカル・ミュサール会長とともに開幕を告げる。
今回は、控えめで移行期と位置づけられるエディションとなる見込みだ。今春、ヴィラ・ノアイユは累積負債380万ユーロを含む深刻な経営問題を指摘され、その後、大規模な再編に着手した。主要パートナーのひとつであるシャネルや、オープニングナイトのパーティーを引き続き主催するプルミエール・クラスを含む支援各社は変わらず協賛を続けているものの、同館はプログラムの縮小を余儀なくされ、とりわけ、これまでの各回を彩り、ファッションやラグジュアリー業界のプロフェッショナルにとって貴重な出会いや意見交換の機会となっていた並行イベントや祝祭的な催しの多くを減らすこととなった。
例年通り、街を見下ろす高台にテラスと空中庭園を備えた美しいモダニズム建築、ヴィラ・ノアイユが一般公開のイベントを主催する。主要な賞や表彰は概ね維持される一方で、10人の出場デザイナーの作品を披露するファッションショーは金曜夜の1回のみとなり、その模様はヴィラの前庭でのスクリーン上映を通じても観覧できる。一般向けのワークショップも複数用意される。
フランス・オートクチュール・モード連盟(FHCM)が主催する第24回Rencontres Internationales de la Modeの一環として企画された4つのカンファレンスも予定通り実施される。開催は10月17日(金)で、テーマは「ファッション展の現状は?」「ファッション経済を読み解く(登壇:ジャン=ピエール・ジラン[イエール市長]、パスカル・モラン[FHCMエグゼクティブ・プレジデント])」「ファッション起業の現状は?」「イエールから見たファッション—ファッション審査員との対話」となる。
プロの審査員
審査員に関しては、今年のイエール・フェスティバルは各パネルにプレジデント(委員長)を置かず、プロフェッショナルのみで構成する方針を選択した。俳優やジャーナリストなどの著名人は起用せず、その代わりに、ファッション・シーンを牽引する有力クリエイティブ・ディレクターやデザイナーがファッション部門とアクセサリー部門の審査を担い、写真部門は著名な写真家が審査する。
AMIパリのアレクサンドル・マテュッシ、ジャン=シャルル・ド・カステルバジャック、ラバンヌのデザイン責任者ジュリアン・ドッセナ、ヴィクター・ホルスティングとロルフ・スノレン、クリステル・コシェ、ルイ・ガブリエル・ヌーシ、ラコステのクリエイティブ・ディレクター、ペラギア・コロトゥロスらが、10人の若手ファッションデザイナーを審査する。
過去にはジュリアン・ドッセナやヴィクター&ロルフを輩出してきた同フェスティバルでは、各部門で国籍の異なる10人のファイナリストが競う。とりわけ、ファッション部門ではフランス人デザイナーのアドリアン・ミシェルが選出され、アクセサリー部門ではフランスから7人の若手ファイナリストが名を連ねる。審査結果は土曜午後の授賞式で発表される。
昨年は、イスラエル人デザイナーのドレブ・エルロンがファッション賞を受賞し、今年はファイナリストとともに新作コレクションを発表する。一方、アクセサリー部門の審査員グランプリは中国人デザイナー、チーヤン・ドゥアンに贈られた。