掲載日
2025年10月2日
木曜日、パリではまた新たなデビューがあった。ミゲル・カストロ・フレイタスによるミュグレーへの敬意あふれるクチュール解釈に加え、アメリカ出身のふたり—テキサスのダニエル・ローズベリーとカリフォルニアのリック・オウエンス—が、グラマーについてまったく異なるヴィジョンを示したのだ。
ミュグレー:ラ・レピュブリックでグラマーが匂い立つ
木曜日の大きなデビューはミュグレーのミゲル・カストロ・フレイタス。彼はラ・レピュブリック近くの地下駐車場へとゲストを招き入れた。場所は陰鬱でも、ショーはグラマーの香りに満ちていた。
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ミュグレー – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
ミゲルは見事な経歴を引っさげてミュグレーに加わり、そのキャリアで携わった名だたるメゾンやデザイナーの要素が随所に見られた—ジョン・ガリアーノを想起させるファンタジーあふれるカクテルルック、そしてラフ・シモンズ在籍時のディオールで培った厳格なテーラリングなど。
そして何よりも、これはミュグレーのクチュールにふさわしい解釈であり、プレタポルテのクリエイターとして出発したティエリーがオートクチュールの世界で花開いた90年代初頭を想起させるものだった。さらにその10年後、ミュグレーが革新的な、鳥類をテーマにしたコレクションを発表した時代へも通じる。
ミゲルの最も美しいルックはそこに呼応するもの—極楽鳥を思わせる2体のルック、魅惑的に構築された羽根のジャケットとスカートで、アトリエをしっかりと掌握していることを示していた。ムーラン・ルージュの真上に工房を構えるフランスの羽飾りの名門、メゾン・フェヴリエとのコラボレーションによるものだ。
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ミュグレー – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
セカンドスキンのレザーを巧みにドレープさせ、レザーの花で仕上げたカクテルドレスやガウンは堂々たるドラマ性を放っていた。胴体から浮くように据えられた成形ショルダーやネックラインの構築もしかり。ヒップを誇張したシリコーン製スーツも見事だった。
ときにベージュが多く、彼がかつてマックスマーラ グループで働いていたことを思い出させる場面も。とはいえ、きわどいランジェリーや透け感でスパイスを効かせ、複数の乳首が露わになるカーテン・ドレスのシリーズも登場した。
カストロ・フレイタスは3月にケイシー・カドワラダーの後任としてミュグレーに就任しており、より壮大な彼のスタイルは、前任期を特徴づけたSM的嗜好への執着を退けている。
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ミュグレー – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
ミュグレーのメゾンは現在、美容大手ロレアルの傘下にあり、香水系企業が運営する多くのメゾンと同様に、レッドカーペットやインフルエンサー、エディトリアルでの露出を重視し、実質的なプレタポルテ事業の構築は優先しないというのが経営方針だ。
その意味で、カストロ・フレイタスのコレクションはじつにふさわしい。ドラマ、磨き、華やぎがあった。フロントロウも上々で、ナオミ・ワッツ、エヴァ・ヘルツィゴヴァ、そしてレッドヘアに変身したパメラ・アンダーソンの姿があった。
リック・オウエンス:噴水の上のテンプル
リック・オウエンスのショーは、単なる洋服の展示というよりパフォーマンスアートに近い。曇り空の木曜日の午後に行われた最新のスペクタクルは、まさに叙事詩的な出来事となった。
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Rick Owens – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
彼の好む会場—パレ・ド・トーキョーの巨大な噴水—へ回帰。やせぎすでグラマラスなキャストが巨大な金属製の階段を下り、そのまま水の中へ。ドライアイスが漂い、数十台のスピーカーからはBasstrologeによる“Somebody to Love”のドラマチックなリミックスが轟く。恋への忠誠に捧げる頌歌だ。リックの故郷でもあるカリフォルニアのサイケデリック期が生んだ“アシッド・クイーン”、グレース・スリックの堂々たるヴォーカルが主役を務めた。
このショーは、現在ガリエラ美術館で開催中のオウエンスの壮麗な展覧会「Temple of Love(愛の神殿)」からわずか数メートルの場所で行われた。6月に回顧展の幕開けとして披露したメンズウェアのショー同様、今回のコレクションのタイトルも“Temple(テンプル)”。
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Rick Owens – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
「この展覧会は、私がハリウッド大通りで求め続け、やがてはあり得ないことにパリの美術館で展示するに至った“グラマーとスリージー”の追求の軌跡をたどるものです。私のしてきたことは常に、アメリカ的な無骨さというフィルター越しに見る、ヨーロッパの美学的洗練の濃密さへの偏愛だと捉えています」と、リックはプログラムノートで述べている。
非常に大胆なこのコレクションでは、突き抜けたドレーピング、超現実的に吊るされたドレス、パワーショルダーのテクニカル・オーガンザドレス、そして注目すべきファブリックに洗練が宿る。スパンコール刺繍を施したリサイクル・ナイロンチュールや、ロンドンのデザイナー、Straytukayによるベジタブルタンニンなめしのヘビーウェイトレザーなどだ。
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Rick Owens – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight
一方の無骨さは、スラッシュとフリンジを施したオーバーサイズのレザーパンツや、水の中を歩くのにも、グレース・スリックの名曲に合わせて踏み鳴らすのにも最適な、メゾンのシグネチャーであるPerspexヒールのジャックブーツに表れていた。
スキャパレリ:ダンス・イン・ザ・ダーク
ダニエル・ローズベリーが「Dancer in the Dark」と題した2026年春夏コレクションは、彼のアフターアワー向けの提案の中でも最もきわどい内容だった。
Schiaparelli Spring/Summer 2026 collection in Paris – FashionNetwork.com
ヨーロッパのランウェイには新たに洗練されたセクシーさが芽生えており、ローズベリーの最新の発想はまさに“いま”を体現している。
彼のテーラリングは厳格で、支配的で権威ある女性像を想起させる。タイトで端正なメスジャケットとペンシルスカートでミッドリフ(腹部)をのぞかせる、いまの潮流を捉えた提案だ。レザーのセカンドスキン調カクテルドレスには胸元のエンボスを施し、ほかには肌を大胆に見せるパンチング加工のルックも。
ダニエルのショーでは、いくつかのクラッシュサテンのルックがうまく機能せず、モデルがもつれるように見える場面もあったが、すぐに立て直し、創業者エルザもきっと愛したであろう美しい白のシアージャージーへと戻っていった。
Schiaparelli Spring/Summer 2026 collection in Paris – FashionNetwork.com
イヴ・サンローランがスキャパレリを「パリの空を照らす彗星、支配することを固く決意した存在」と評した言葉を引用し、ローズベリーは明らかに、顧客にも同じように輝いてほしいと願っている。
そして極めつきは、ケンダル・ジェンナーがアフターミッドナイトのセットを闊歩した、超シアーなポルカドットのシフォン・ジャンプスーツ。現在改修中のポンピドゥー・センター最上階に設えられた会場で、黒いカーペットがうねり、床置きの劇場照明がそれを照らし出す—全体にどこか悪魔めいた空気が漂い、それがまた良かった。
