掲載日

2025年9月28日

パリのファッション史上でも屈指のエキサイティングなファッションウィークが、9月29日(月)に幕を開けます。ニューヨーク、ロンドン、ミラノに続き、光の都は、ここ数カ月に主要メゾンを襲った“クリエイティブの津波”を受け、アーティスティック・ディレクションに大きな変化をもたらした規格外のラインアップで観客を魅了するはず。まもなく明かされる新章、公式カレンダーに名を連ねる新たな才能、そしてうれしい復帰組も相まって、2026年春夏のウィメンズ・プレタポルテに捧げられるこの一週間は、実に刺激的なものになりそうです。

セリーヌ、マイケル・ライダーによる7月のプレコレクションのルックセリーヌ、マイケル・ライダーによる7月のプレコレクションのルック – ©Launchmetrics/spotlight

9月29日(月)から10月7日(火)まで開催されるこのイベントでは、ショー74本(今年3月は72本)とプレゼンテーション37本、合計111のメゾンが参加します。スター級のメゾンでは、サンローランが月曜の口火を切り、火曜にルイ・ヴィトン、水曜にディオール、夜には創業80周年を祝うバルマン。続いて10月3日(土)にはメゾン・マルジェラ、エルメス、バレンシアガ、5日(日)にセリーヌとヴァレンティノ、6日(月)にシャネルが登場します。

この熱狂の一週間では、大きな初陣が9つも控えています。筆頭は、6月にメンズで初コレクションを披露したジョナサン・アンダーソンが、10月1日にクリスチャン・ディオールでウィメンズの初コレクションを発表すること。そして6日(月)には、マチュー・ブレイジーがシャネルでデビュー。ボッテガ・ヴェネタの元クリエイティブ・ディレクターである彼が、カンボン通りの伝説的メゾンのトップに就いてから10カ月。世界の視線が注がれ、その仕事はつぶさに検証されるに違いありません。今週の大本命と目されるだけに、期待はいやが上にも高まっています。

プログラムにはほかにも、10月2日(木)に、スポーツマックス、ドリス・ヴァン・ノッテン、ディオールなどを経たミゲル・カストロ・フレイタスがミュグレーでデビューし、その4時間後にはマーク・ハワード・トーマスがカルヴェンで初コレクションを発表します。2017年から2019年までヘルムート・ラングのアーティスティック・ディレクターを務めた英国人の彼は、2023年からこのパリのメゾンに在籍し、ボッテガ・ヴェネタへと去ったルイーズ・トロッターの後任で、その右腕を務めてきた人物です。

ロエベでも新章が始まります。プロエンザ・スクーラーの創設者であるラザロ・ヘルナンデスとジャック・マッコローが、10月3日(金)に初コレクションを披露。しかし、それだけではありません!翌4日には、ヴァレンティノから移籍したピエルパオロ・ピッチョーリがバレンシアガで第一歩を踏み出し、メゾン・マルジェラは、昨年7月のオートクチュールでブランドの方向性を示唆したグレン・マーテンスによる初のプレタポルテ・コレクションを発表します。

マルジェラで象徴的存在のジョン・ガリアーノの後任という難役を担うグレン・マーテンス同様、エディ・スリマンというもう一人の天才の後を継ぐのが、セリーヌのマイケル・ライダーです。7月のプレコレクションでその片鱗を見せた、この控えめなアメリカ人デザイナーは、まだ一般には広く知られていないものの、10月5日(日)に大舞台に臨みます。さらに数時間後、同日には、ジャン・ポール・ゴルチエの新たな指揮官として、茶目っ気あふれるオランダ人デザイナー、デュラン・ランティンクが登場。ジャン・ポール・ゴルチエ本人が「ファッション界の新たなアンファン・テリブル」と評した存在です。

マティエール・フェカレスが公式カレンダーに登場マティエール・フェカレスが公式カレンダーに登場 – ©Launchmetrics/spotlight

この濃密な一週間は、名門の復帰と新進レーベルの台頭が交錯し、計13の新顔の登場で彩られます。まずは、ここ数シーズンで頭角を現し、アントワープのアカデミーを修了したベルギーの若手クリエイター、ジュリー・ケジェルスのショーから。9月29日に幕を開け、同日の締めくくりはサンローランのショーと、市庁舎(オテル・ド・ヴィル)前でロレアル パリが一般公開で開催する大規模ショーです。

翌日の9月30日には、ハンナ・ローズ・ダルトンとスティーブン・ラジ・バスカランのレーベル「マティエール・フェカレス」のサブバージブなファッションが公式カレンダーに加わります。さらに10月7日には、今年のアンダム・グランプリ受賞者で、マルニのクリエイティブ・ディレクターに就任したばかりの同名のベルギー人デザイナー、メリル・ロッゲのブランドも登場します。

前述のカルヴェン、セリーヌ、ミュグレー、ロエベ、メゾン・マルジェラ、ジャン・ポール・ゴルチエが新クリエイティブ・ディレクターのもとで復帰するほか、10月3日には昨冬はショーを見送ったヴェトモンがカムバック。さらに10月6日には、前シーズンはニューヨークで発表したトム・ブラウンと、数シーズンぶりにパリのランウェイに戻るアニエス・ベーが登場します。一方、1月のクチュール・ウィーク前夜にピーター・コッピングの下で初コレクションを発表したランバンは、9月30日のウィメンズ・プログラムに再配置されます。

その一方で、昨シーズンに比べて11組の欠場も。昨年6月にメンズとともにウィメンズを発表したケンゾー、ニューヨークで発表したOff-White、ジャン・ポール・ゴルチエに招聘されたデュラン・ランティンク、そして新作をルックブックで発表するヴェロニク・ルロワなどです。さらに、Marine Serre、Ludovic de Saint-Sernin、Atlein、Rokh、Undercover、Christian Wijnantsは、今季はプレゼンテーション形式を選択。最後に、IFM(Institut français de la mode)の学生たちは、2月に再び合同ショーを行います。

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