(CNN) トランプ米大統領の妻、メラニア夫人の謎めいた定番スタイルが復活した。顔を覆うほど大きなつばの帽子だ。今回の帽子はこれまで以上に目深で、視界をさえぎる影を落とし、夫人の表情をさらに分かりづらいものにしている。
メラニア夫人は17日、その場にふさわしいフォーマルないでたちでトランプ氏とともにウィンザー城を訪れ、ウィリアム皇太子夫妻の出迎えを受けた。ダークグレーのディオールに身を包んだ夫人は最初から傘のような濃いプラム色の帽子の下に隠れているように見えた。
城内を散策するカミラ王妃とメラニア夫人のコントラストは印象的だった。カミラ王妃の顔は、フィリップ・トレーシーの帽子の薄く上向きのつばから差し込む陽光に照らされているようだったのに対し、メラニア夫人の帽子のつばは下向きで光を通さず、その縁が堅苦しいシルエットを作り出し、ミリタリー風のスカートスーツの厳かな印象を引き立てていた。実用的な理由にもとづくものではない(英国の9月は一般的に日焼け対策を必要としない)帽子のメッセージは明確だった。「私を見ないで」

ウィンザー城内を歩くトランプ氏とチャールズ国王にメラニア夫人とカミラ王妃が続く。後ろにキャサリン妃とウィリアム皇太子/Jonathan Brady/AFP/Getty Images
メラニア夫人は帽子や大ぶりのサングラスなど、アクセサリーをよろいのように使うことが多い。1月の大統領就任式で落ち着いたネイビーのスーツに(意図的か無意識かはわからないが)夫が頬にキスをするのを阻むほどつばの広い帽子を組み合わせていたのは記憶に新しい。メディアの監視にさらされる好ましくない4年間を再び迎える初日に、夫人が取ったこの選択ははっきりとした意図があったように感じられた。
メラニア夫人はこの日も、夫が2期目に入ってから維持している控えめな姿勢を改めて示したかのようだった。
しかし、メラニア夫人にはファッションウォッチャーを困惑させる癖もある。日中の装いが世間の目をかわすものだったかと思えば、晩さん会でのドレスは注目をあおるようなものだったからだ。

メラニア夫人は国賓晩さん会で鮮やかな黄色のキャロライナ・ヘレラのドレスを身にまとった/Doug Mills/Getty Images
もちろん、このときのメラニア夫人は帽子を取っていた。国賓を迎えた晩さん会で着用が許されるのは、上位王族の王冠とティアラのみ。しかし夫人は、この日初めて顔を見せたどころか、タンポポのような鮮やかな黄色のキャロライナ・ヘレラのドレスを身にまとい、積極的に目立とうとしていた。
国賓晩さん会は英国の社交行事と並び格式高い。女性のドレスコードは明文化されておらず、解釈の余地は大きいが、それでもメラニア夫人のストラップレスドレスは異例だった。確かにドレスは長袖で、裾も床につく丈だったが、肩を完全に露出した出席者はごくわずか(継娘のティファニー・トランプ氏もそのひとり)だった。四角いバックルの派手なパステルピンクのベルトも人々を驚かせるものだった。
セレブのスタイリストを務めるマリアン・クウェイ氏がBBC放送で丁寧に表現したように、この衣装はつまり、「やや大胆」だった。メラニア夫人は過去のファーストレディーの多くと比べて、服装による意思疎通への関心が明らかに低い。夫人の服装選びは時にほとんどメッセージを示さないように見える。あからさまな象徴表現を避け、新進気鋭のデザイナーではなく、ディオールなど、確実な欧州の高級ブランドを取り入れているからだ。メッセージがあまりにも空気を読まないものに見えることもあり、人々はそこに深い理由はなかったと願うしかない。例えば、2018年にテキサス州の移民児童収容施設を訪問した際に着用していた「I REALLY DON’T CARE, DO U? (私は気にしない、あなたは?)」と刺しゅうされたコートは後に夫人の広報担当が「隠されたメッセージはなかった」と釈明した。

移動の際のスタイリングにはバーバリーのくるぶし丈のトレンチコートを選択。英国の伝統に敬意を表した/Saul Loeb/AFP/Getty Images
とはいえ、メラニア夫人は外交上の服装の基本を守っている。最低限のマナーとはいえ、訪問する国のデザイナーやブランドを支持するのはいつでも良い作法だ。夫人は17日、英国の伝統に敬意を表し、バーバリーのくるぶし丈のトレンチコートを選択。襟を立てたコートに、サンローランのオーバーサイズのサングラスを合わせ、大統領専用機に乗り込んだ。ロンドン・スタンステッド空港に降り立った時も同じスタイルで、足元でコートがめくれるたび、バーバリーのシグネチャーであるチェック柄が見えた。バーバリーは当然の選択だったかもしれないが、この心遣いは注目を集めたことだろう。
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原文タイトル:Look of the Week: At Windsor Castle, Melania Trump was utterly inscrutable — until she wasn’t(抄訳)
