【写真】シワの数が減少した「49歳女性」の例

食物繊維は水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられます。

水溶性食物繊維は、食後の急激な血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を低下させたりといった作用が、不溶性食物繊維は、便の量を増やしたり腸を刺激したりする便秘予防や、発がんリスクの軽減などの作用が、それぞれ期待できます。

そして、腸内細菌を改善する作用については、両方ともが期待できるとされています。(インテグレート代表取締役CEO/藤田康人)

「少なくとも1日25g」が理想だが…

世界保健機関(WHO)は、成人に対して「食物繊維を1日あたり少なくとも25g摂取すること」を推奨しています。

こうした研究結果や背景をもとに、今回改定された食事摂取基準でも、食物繊維の理想的な摂取量を「少なくとも1日25g」と設定し、これまでより1g増やしました。

ただ、日本人の食物繊維の摂取量は理想よりかなり少ないのが現状で、2018~2019年の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、18歳以上の成人の摂取量の中央値は、1日13.3gでした。

そこで今回の基準では、実現可能な量として、成人男性では年齢ごとに20~22g以上、女性は17~18g以上を「目標量」に設定しています。

食物繊維が「発酵」する!?

食物繊維の中には「発酵するタイプ」が存在し、この「発酵性食物繊維」は腸内細菌のエサになります。

多くの人は「発酵」と聞くと、しょうゆ、みそ、ヨーグルトやチーズ、キムチなどの発酵食品を思い浮かべるのではないでしょうか。発酵性食物繊維は、こうした体の外で作られる「発酵食品」とは全く別物です。

発酵性食物繊維は、腸内に届いてから腸内細菌のエサとなって分解されることで、短鎖脂肪酸などの有益な物質が作り出されるもとになります。これはいわば、自分の腸内で体内発酵を起こしているということなのです。

腸に関する研究が進む中で、腸内細菌が生み出す「腸内代謝物」がヒトの身体にもたらすさまざまな効果が明らかになってきています。この「腸内代謝物」を作り出す要となるのが発酵性食物繊維なのです。

すべての食物繊維が腸内細菌のエサになって、発酵(代謝)するわけではありません。これまで食物繊維は、水溶性か不溶性かで分類されていましたが、これからは腸内細菌によって発酵しやすいかどうか(発酵性・難発酵性)での分類もスタンダードになります。

食物繊維の中でも「発酵性食物繊維」を選んで摂取することが、腸内環境の改善や「腸内代謝物」を作り出すことにおいて重要だということです。

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