「アイドル夏フェスの締めくくり」と呼ばれる「@JAM EXPO」が、神奈川県・横浜アリーナで2025年8月30~31日の2日間にわたって開催される。ライブエグザムが主催するアイドルフェスシリーズである@JAMは、10年に秋葉原で「ヲタJAM」として産声を上げ、25年で15年目。@JAMシリーズ最大となる夏フェスの@JAM EXPOは25年で11年目を迎える。

11年目を迎える「@JAM EXPO 2025」は、神奈川県・横浜アリーナで8月30~31日に開催。写真は昨年の様子。(画像提供:ライブエグザム、以下同)

11年目を迎える「@JAM EXPO 2025」は、神奈川県・横浜アリーナで8月30~31日に開催。写真は昨年の様子。(画像提供:ライブエグザム、以下同)

 神奈川県・横浜アリーナで2025年8月30~31日に開催される「@JAM EXPO 2025 supported by UP-T」(以下、@JAM EXPO)について、@JAMの生みの親であり、現在も@JAMシリーズ全体の総合プロデューサーを務めるライブエグザム/ソニー・ミュージック エンタテインメントの橋元恵一氏は、「いつの間にか@JAM EXPOも老舗フェスとなったが、今でもそのあり方がどうあるべきか模索しながらつくっている」と謙虚に言う。

 「TOKYO IDOL FESTIVALがさまざまなアイドルが集まる『満漢全席』的なフェスであるならば、@JAM EXPOはレコード会社が始めたフェス。ライブアイドルを中心に音楽をしっかり届けるフェスにしたい」(橋元氏)とその特徴を強調する。

 例年、8月最終週に開催されることが多かった@JAM EXPOだが、24年は10周年ということもあり9月に3日間で開催。25年は再び8月最終週に戻した。開催時期も含めて「改めて@JAM EXPOというブランディングを示せるフェスにしたい」と@JAMプロデューサーでキャスティングを担当する武藤秀之氏は意気込む。

 6つのステージがすべて屋内に設置されているので、「厳しい残暑でも快適に過ごせる」(武藤氏)フェスとなる。また、ステージ間の移動距離が短いので、限られた時間でより多くのアイドルにふれあうことができ、休む場所やスタッフの多さからも「フェス初心者や女性ファンに優しいアイドルフェス」(ライブエグザム企画本部の太田麗氏)となっている。

細かいが実は大きな施設周りの改良施策

 特に25年は近年増えている女性ファンやフェスデビュー組への取り組みを強化している。来場者向けアメニティーとして、近年の女性ファンの増加を受けて女性用パウダールームを1階に新たに設ける。

 さらに、小学生までだった入場無料の範囲を中学生にまで拡大する。小学生は保護者の同伴が必要だが、中学生はその必要がない。アイドルファンの裾野を広げる目的で新たに実施するという。屋外の縁日エリアなどの面積も倍増させ、アイドルとファンのふれあいが楽しめる工夫もしている。

 ステージ面でもいくつか細かい「改良」を重ねて、ファンがよりライブを楽しめるフェス環境を整えている。その中でも大きな変更となるのは、メインのストロベリーステージを24年までの「縦長」構成から「横長」構成に変えたことだ。従来は入場口から入ると右手にステージが設置されていたが、25年は14~17年に採用していた入場すると目の前にメインステージが広がるレイアウトとなる。花道も設け、アイドルと観客の距離をステージ全体で縮める効果を狙った。

 また、ステージ関連では、2階に設けたピーチステージとオレンジステージの向きを回転させ、観覧フロアを出来るだけ縦長にすることで各ステージの観覧可能客数を増やしている。「11年目らしい、細やかな改良でより快適に楽しんでもらう工夫を目指している@JAM EXPO 2025をぜひ見に来てほしい」と橋元氏は控えめながら自信を持って呼びかける。

 @JAM EXPO 2025は、24年の3日間開催から2日間開催に短縮された。このため、「1組でも多くのグループに出演してもらいたい」(橋元氏)がために、24年にあったコラボステージのような企画ステージをほぼなくした。スペシャルなステージとしては、10年に中野サンプラザ公演を最後に解散したものの25周年を期に限定復活中のメロン記念日のステージや、STU48の4期生メンバーオーディションのお披露目などが用意される。

限定復活中のメロン記念日も出演予定

限定復活中のメロン記念日も出演予定

STU48

STU48

 また、今期アイドルをテーマにしている人気アニメの『キミとアイドルプリキュア♪』が、@JAM EXPOとコラボしステージを披露する。アニメ、ロック、アイドルを融合させたイベントにトライしてきた橋元氏にとって、自然なかたちでその夢が実現するステージになりそうだ。

キミとアイドルプリキュア♪

キミとアイドルプリキュア♪

 もう1つ、タイムテーブル上で目立つのは、8月31日午前の「スタープラネットスペシャルステージ」だ。約3時間という長時間にわたる
同一事務所(スターダストプロモーション)が運営するスタープラネット所属のアイドルグループによる特別ステージとなる。

 出演は、AMEFURASSHI、いぎなり東北産、ukka、私立恵比寿中学、高城れに、ばってん少女隊、LumiUnionの7組。「@JAM EXPOで何か面白いことをやりたい」というスタープラネットからの提案を受けて、フェスinフェスのかたちで開催される。

私立恵比寿中学

私立恵比寿中学

細やかな気遣いと幅広い出演者に見る@JAMポリシー

 @JAM EXPOにおけるキャスティングの強みは、「地方も含めてすべての出演者のライブを@JAMスタッフがその目で確認していること」(橋元氏)と言う。制作陣自らが直接確認した上で出演者を選定しているので、キャスティングの信頼性には定評がある。「それぞれのステージをつくる理由をスタッフがちゃんと説明できる」ところが特徴であり、「これを6ステージすべてにおいて実行していることが自信につながっている」と橋元氏は語る。

 一方で、出演者に対する細やかな心遣いを欠かさないのも、@JAM EXPO制作における真骨頂の1つと言えそうだ。特にメインステージとなるストロベリーステージの出演者に対して橋元氏がいつも思いやるのは、翌年の出演がストロベリーステージではなく他のステージとなった際の出演者の気持ちだ。

 こうした判断は、出演を決めるスタッフサイドにとって難しく、勇気のいることだという。「そういうグループこそ、主催者として強く意識していたいと考えています。再度ストロベリーステージに返り咲くことを、僕たちがファンと一緒に応援していきたい」(橋元氏)と熱い気持ちを隠さない。

 タイムテーブルの制作に関しては、まずトップバッターとトリ(最終ステージ)を飾るグループを決め、次に全体の流れを見て各ステージの出演グループを決める方式を取る。できる限り多くのグループに出演してもらうために、基本的に2日間連続で出演するグループは極めて少ない。2日間出演するのは、かすみ草とステラの有岡ちひろ、虹のコンキスタドールの栗原舞優、マジカル・パンチラインの吉澤悠華の3人からなる期間限定ユニットname:CMHのほか数組だ。

name:CMH

name:CMH

 メインステージであるストロベリーステージのトリは、初日をAKB48、2日目をCANDY TUNEが務める。AKB48は「今年は結成20周年という記念的な年でもあり、そろそろ@JAMファミリーの一員と呼ばせていただけるかなと判断してヘッドライナーを依頼した」(武藤氏)と明かす。AKB48は、19年から毎年(新型コロナウイルス禍で中止となった20年は除く)、@JAM EXPOに出演し続けているが、トリを担うのは25年が初めてだ。

AKB48

AKB48

 一方のCANDY TUNEはAKB48とは対照的に、23年に結成されたばかりのKAWAII LAB.プロジェクト発のフレッシュなグループ。ストロベリーステージ初登場ながら、最終日のメインステージのトリを担うことになった。「ライブアイドルから巣立ち、短期間のうちに一気に飛躍した象徴としての意味が大きい」と、武藤氏とともにキャスティングを担当するプロデューサー野口翔平氏は話す。

CANDY TUNE

CANDY TUNE

各プロデューサーが推す注目のタイムテーブル

 @JAM EXPO 2025で制作サイドが「注目すべき」とするタイムテーブルのゾーンや出演者をそれぞれのスタッフに挙げてもらった。まず武藤氏は、1日目キウイステージの最終ゾーン、Rain Tree、ドラマチックレコード、THE ORCHESTRA TOKYOの流れと、オレンジステージの同じく終盤、ジエメイから衛星とカラテアの流れを選んだ。「これらトリに向かう流れがステージ全体の流れを決める」(武藤氏)と説明する。

 結成されたのはRain Treeが24年、ドマレコが22年、オケトーが21年とバラバラだが、フェスだからこそ見られる組み合わせだと強調する。

上からRain Tree、ドラマチックレコード、THE ORCHESTRA TOKYO

上からRain Tree、ドラマチックレコード、THE ORCHESTRA TOKYO

上からジエメイ、衛星とカラテア

上からジエメイ、衛星とカラテア

 同じく野口翔平氏は、2日目のオレンジステージでかすみ草とステラとアンスリュームに挟まれて、初出演ながらトリ前を務めるびっくえんじぇるに注目していると言う。びっくえんじぇるは8人組の「総重量763kg」をうたう「肥満落下系堕天使アイドル」。18年に結成され、24年に新メンバー6人を加えた8人体制で活動する、勢いのあるグループだ。YouTubeなどのSNSを活用しながら、ファンの数を急速に増やしている。

上からかすみ草とステラ、びっくえんじぇる、アンスリューム

上からかすみ草とステラ、びっくえんじぇる、アンスリューム

 また太田氏は、2日目のトリ2組に注目している。キウイステージのAVAM(アベアム)とブルーベリーステージのRoot mimiがそれだ。それぞれ23年と25年結成の若いグループながら、トリという大任を務める。AVAMはSNSなどで活発に活動しており、「KAWAII LAB.所属のグループにも劣らぬ勢いがある」(太田氏)と見ている。その一方でパイナップルステージでは、19年に結成したグループのARCANA PROJECTがトリを務めるなど、「新しいグループも昔からあるグループも等しく大切にされている@JAM EXPOの懐の深さ」(太田氏)を感じられるという。

上からAVAM、Root mimi、ARCANA PROJECT

上からAVAM、Root mimi、ARCANA PROJECT

 総合プロデューサーの橋元氏は、1日目のストロベリーステージでトリのAKB48のあとに開催される「@JAM MEETS EXPOスペシャル」を注目ステージとして挙げた。DJダイノジがDJプレイをしながら、初日、2日目にかかわらず@JAM EXPOに出演したアイドルが参加できる「初日打ち上げイベント」である。メインステージを目指すグループが誰でもストロベリーステージに立つことができる、アイドルにとっても特別感ある企画だ。

 「明日のトップアイドルを目指すグループのための場所でもあり、その景色が好き」と橋元氏は言う。なお、この時間帯のみ、アリーナ内の売店にてアルコール類が提供される「オトナな」企画となっている。

今年の注目アイドル

●武藤秀之氏(プロデューサー)
Finger Runs
「メンバーそれぞれの個性の系統が異なりとても面白い。ライブが始まるときのステージの“入り”が好きで注目しています」

Finger Runs

Finger Runs

●野口翔平氏(プロデューサー)
メロン記念日
「デビュー25周年にして期間限定復活なので、この日にしか見ることができない人が多いと思います。ヲタジャムが生まれた年に解散したので、@JAMとは一度も交わることのなかったグループをメインステージに迎えるのはとても面白い試み」

●太田麗氏(広報担当)
name:CMH(@JAM EXPO 2025期間限定ユニット)
「『うちの子可愛い』精神かもしれませんが、これがラストステージになるので、この夏を必死に頑張って駆け抜けてくれた3人のステージをぜひ見てほしい」

●橋元恵一氏(総合プロデューサー)
@onefive
「アイドルというカテゴリーにははまらないかもしれませんが、誰が見ても飽きることのない歌唱力と表現力の高さが見どころ。初めて見た人たちも絶対に引き込まれるライブができるグループなので、ぜひ@JAM EXPOで見てほしいイチ推しグループです」

@onefive

@onefive

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細やかな気遣いと幅広い出演者に見る@JAMポリシー
各プロデューサーが推す注目のタイムテーブル

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