ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)の2026年春夏コレクションが発表された。
写真家ロバート・メイプルソープの世界観を落とし込んで
ジョン ローレンス サリバン2026年春夏コレクションの着想源となったのは、20世紀後半に活躍したアメリカ出身の写真家ロバート・メイプルソープの作品群。中でも、彼自身がナイフを手にして映った代表作の1つ《セルフポートレート(Self Portrait)》にインスパイアされたディテールに注目だ。
ナイフで切り裂いたようなデザイン
メンズでは、テーラードジャケットからデニムのセットアップ、MA-1に至るまで、洋服全体にナイフによって切り込みを入れたようなデザインを採用。デニムジャケットとパンツは、切り裂きによるダメージから糸のほつれが見られる。
なおジーンズは、ジッパーフライ部分でざっくりと切り離せるようになっている。切れ味抜群の刃物の存在感を感じさせるディテールの1つだ。異なる素材感の同シリーズを左右で組み合わせれば、表情チェンジも可能となる。
ナイフモチーフは、テーラードジャケットのラペル部分にもひっそりと採用。よくみると、ラペル部分がナイフの刃線を思わせるように鋭くカーブしていることがわかる。また、ジャケットの丈も断ち切り仕様にすることで、攻撃性と反抗的な姿勢をダイレクトに表現した。
ナイフで傷ついた心を癒す包帯モチーフ
抱き合うふたりの男性を包帯で包んだ官能的な作品《ホワイトガーゼ(White Gauze)》に着想を得たロングコートやジャケット、シアートップスも提案。ナイフで裂かれ、傷ついてしまった箇所を治癒するかのように、ぐるぐるに巻き付けた包帯姿を彷彿とさせる生地感にこだわった。胸元や袖先に垂れるフィンガーストラップは、デザイナーの柳川荒士がボクサーというバックグラウンドを持つことにちなみ、ボクサーが手に巻くバンテージを彷彿とさせる仕様に仕上げた。
女性の力強さを強調するコルセット風シルエット
ウィメンズにおいても、メイプルソープの作品を主軸にコレクションを展開。特に、女性ボディビルダーや筋肉質な女性をモデルに採用した作品群に着目しており、彼女らが着用したランジェリーモチーフが落とし込まれている。たとえば、テーラードやシャツ、デニムジャケット&パンツ、MA-1、セーターなどにはコルセットのシルエットを取り入れ、身体のラインを美しく強調した。
拘束具モチーフの機能的なストラップ
メンズとは視点を変えて、ウィメンズにおける“包帯”のモチーフは、抑圧や痛みといった表現を得意とするドイツの現代美術家レベッカ・ホルンの作品に度々みられる、拘束具やベルトのモチーフに置き換え。パンツやロングスカート、ビスチェなどに、下着のストラップパーツに見立ててあしらい、機能性をプラスした。
“女性の柔らかさ”を際立てる素材
ボディビルダーのリサ・リヨンを撮影した作品《Lisa Lyon》にみられる逞しい肉体美を強調する“女性の柔らかさ”は、カシミヤやシアー素材の柔らかな素材感で表現。全面にギャザーを入れたシアートップスや、肌触りの良いカシミヤセーターが揃う。