横浜発AIアイドル誕生  横浜市歌で目指すKアリーナ〈横浜市鶴見区〉

シンガーモードの「湊くるみ」

今年1月、横浜に新たなご当地アイドルが誕生した。AI技術を備えたバーチャルアイドル「湊くるみ」だ。

地域に住む人と街の連帯感を高めることを目指す湊くるみには2つのモードがある。言語学習機能を兼ね備えた対話型AIの「ふわふわモード」では、横浜の歴史や観光情報を対話から学んで蓄積し、他の人に伝えることができる。

もう一つの「シンガーモード」では、ヤマハ(株)の歌声合成技術を使い、横浜市歌などを歌う。ゲームのコントローラーを使って「もっと明るく」「落ち着いた感じで」といった指示を送ると、歌声をリアルタイムで変化させることができる。

その存在を多くの人に知ってもらうため、横浜ランドマークタワーの展望フロアで現在開催中の「夏休み宿題フェスティバル」のブースに登場。好きな楽曲を選び、歌い方や声質、雰囲気を変えるなどして自分で作品を演出する、湊くるみのプロデュース体験ができる。8月31日(日)まで。

エンタメと観光軸に

仕掛け人であるDATTARUJIN(株)=西区みなとみらい=の代表取締役・山本晃さん(41)は、エンターテインメント業界の経験を経て、2022年に「エンタメと観光」を軸に横浜を盛り上げたいと創業した。

自動運転バスの車内を立体音響で楽しませるプロジェクトなどを手掛けてきた経験や、横浜に音楽施設が増えていることに着目し、横浜発のアーティストを育てたいと考えるようになった。

プロジェクトの核となったのが、横浜市歌だ。市民が誇りを持って歌い継ぐ市歌の存在を知り、「これ以上のシンボルはない。宝物に出会ったと思った」と振り返る。湊くるみの名前も歌の一節「入りくる港」に由来する。

千葉県出身の山本さんは、横浜の街並みや人に導かれるように移住し、現在は南区中村町に住む。「銭湯や商店街が残る街並みは今は失われた日本の風景。横浜育ちでないからこそ発見できる魅力を届けていきたい」と語る。湊くるみがKアリーナのステージで、市民と市歌を歌う日を夢見て挑戦を続けていく。

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