表参道に1日で約20,000人の“モデル”を送り出す!?「美容室」が街にもたらすその影響とは 美容室によって育まれる、表参道・原宿という街 Vol.3 |表参道&原宿のメディア - OMOHARAREAL - Moe Zine

表参道・原宿の街に欠かせない存在である「美容室」。「美容室の街」というイメージが定着した理由、文化的な視点からあらためて美容室が街にどんな影響を及ぼしているかを紐解く考察コラムのvol.3!

 

Vol.1では実際にオモハラエリアにある美容室の数を調べるところから、歴史的な土壌、70年代以降、同時多発的に起きるファッショントレンドの隆盛、ヘアスタイル技術が磨かれていった流れを考察した。

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Vol.2ではカリスマ美容師の登場と、時代のカリスマによる「美容室の街」キャンペーン、そのあとに連なる「CHOKiCHOKi」から輩出された“おしゃれキング”の影響や、それらが街のスタンダードとなり、美容師にとって憧れの舞台であるオモハラの街の美容室は、周辺の環境変化とともに総じて高い水準へと押し上げられ、一流のサイクルを生んだのではないかと論じている。

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ここまで、街が与えた影響によって、美容室が成長してきたという視点だったが、本稿では、街に訪れるユーザーの視点とともに、現在、“美容師が街にもたらすもの”についてフォーカスしたい。

 

 

Vol.3 目次

 

Page 1:表参道における“ランウェイ”と“モデル”と“美容室”の関係

 

Page 2:美容室が表参道・原宿に感度の高い常連を生み出す

 

Page 3:美容室によって育まれる、表参道・原宿の街 & 編集後記

 

 

 

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表参道における“ランウェイ”と“モデル”と“美容室”の関係

 

さっそくだが、ユーザーが表参道・原宿の美容室に惹かれ、選ぶ理由はなにかを考えてみよう。

 

当然として、表参道・原宿の「美容室の街」「ファッションの街」という街のブランド力もあるだろう。そして「カリスマ」や「キング」の意思を受け継いだ、そこに勤める美容師たちの高い感度と一流の技術を身につけていることも選ぶ理由のひとつとして、これまでの話から読み取れる(Vol.2参照)。それらに加えて、ユーザーの行動意識とオモハラの街の特性自体が密接に結びついているのではないかと、編集部では考えている。

 

OMOHARAREALのスナップ企画「HANGOUT OMOHARA」においても、声をかけると美容室帰りの人に出会うことは少なくない。

 

ヘアサロン帰りに、スナップに応えてくれた。ミュージシャンの中野ミホさん。髪を切ったあと周辺を散策するのが好きと話してくれた。(HANGOUT OMOHARA Vol.15)

 

メゾンブランドが立ち並び、真っ直ぐに伸びる坂道。そして、欅並木の木漏れ日も加わることで華やかさと上質な空気感をまとう表参道。感度が高く、ファッションセンスと個性あふれる人たちが行き交う。そんな様子から、表参道は“ランウェイ”と呼ばれるのを耳にしたことがあるだろうか。

 

表参道がランウェイだとすれば、美容室帰りのユーザーはしっかりとセットされた“モデル”と例えることができ、そして美容室はそのモデルの“ヘアメイクルーム”としてふさわしい。

 

いつもとはちょっと違う自分、髪の毛を切りセットされたばかりのいちばん良い状態でランウェイを歩くとなれば、振る舞いも変わり自然と背筋も伸びるというもの。美容室を起点として、そんな特別な時間が過ごせるというのは、この街ならではの体験であり、大きな魅力といえるだろう。

 

 

更にこの街には、トレンド性の高いカフェ、ショップ、アートギャラリー、イベントと散策したくなるコンテンツがひしめき合っている。美容室帰りならば、見映えの良い状態の自分で足を運び、街を回遊することが気負うことなくできる。

 

そして、一時よりもストリートスナップは沈静化したとはいえ、ファッションウィークでもないのに街頭での取材やモデルハントが常態化している街は他にない。

 

神宮前交差点付近でモデルハントする様子(1980年代)。スナップの聖地として知られるこの周辺は、ストリートスナップが減ってしまった今でも、美容師がモデルハントしている姿を見かけることは多い。(オモハラフォトアルバム No.010) 

 

それはつまり、常に“見られている”街ということを物語る。スナップやモデルハントを意識している人は少ないだろうが、定着した街としての”見られている”というイメージが、表参道を歩く“モデル”をよりスタイリッシュに輝かせる。そんな状況が出来上がっているように思える。

 

当時、表参道を歩きながら撮ったという写真と、上のモデルハントしている写真を撮影・提供してくださった芹田 昇さんは、かつて独立して表参道・原宿でヘアサロン「mashroom」を開業。現在は中野で同サロンのオーナー、アーティストとして活躍されている。(オモハラみんなのフォトアルバム No.009)

 

そんな、年中ファッションウィークの様な街に、自分の信頼が置けるプロのヘアメイクさんがいる。というのはユーザー心理的にも惹かれる部分は大きいのではないだろうか。ただでさえ、髪を切るだけで充実感があるのに、オモハラではそのあとの“ステージ”もご丁寧に用意されているのだから。

 

日常からちょっと離れ、自分が主役となり特別な時間を過ごせる場所。そんな風にこのエリアを捉えているユーザーは多い気がしている。

 

 

 

>>Page 2 美容室が感度の高い“街の常連”を生み出す

 

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