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「育てる」楽しみを味わえる貴重なエルメスジュエリー

 今回ピックアップしたヴァンドームは、数あるエルメスのヴィンテージジュエリーのなかでもひときわ凝ったつくりが特徴です。接写画像を見ていただくとよくわかると思いますが、まるで細い紐を編んだような意匠が施されているんです。

エルメス ヴァンドーム

左のコマがツイストした個体は派生モデル

Image by: FASHIONSNAP

エルメス ヴァンドーム

素材はシルバー800が主流、下の細いタイプは希少

Image by: FASHIONSNAP

 エルメスの祖業は馬具製造なので、このデザインはもしかしたら馬の手綱が由来かもしれませんね。エルメスのシルバージュエリーは、ソリッドな表情のものが中心ですが、ヴァンドーム特有のこのマットな質感に惹きつけられる人は少なくありません。

エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

 ヴァンドームが作られていたのは、1960〜80年代のこと。それ以降は製造されていないので、当然希少性は高くなっていますが、今回はそのなかでも特にレアなゴールドのアイテムを紹介します。エルメスのゴールドジュエリーは、上顧客にのみに許されたオーダーメイドだったので、市場に出回る個体は非常に少数。画像下のPM(Petit Modèle=小さいサイズ)は、僕も今回初めて取り扱うくらいの、超希少品です。

エルメス ヴァンドーム

上はヴェルメイユ加工、下は18K イエローゴールドのオーダーメイド

Image by: FASHIONSNAP

エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

 画像上のゴールドのヴァンドームには、ヴェルメイユ加工という技法が施されています。いわゆる金メッキのひとつで、シルバーを18Kや24Kのゴールドで覆うという、とても手間のかかる加工。正式にヴェルメイユ加工と認められるためには、1.5ミクロン以上のゴールドの厚さが求められるという貴金属業界の規格があり、エルメスのほかに「カルティエ(Cartier)」などでも用いられています。

エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

 ヴェルメイユ加工のメリットのひとつが、軽さです。ボリュームのあるジュエリーを全てゴールドで作るとかなりの重量になり、着用しづらくなってしまいますが、ヴァンドームは女性でも付けやすい軽さに仕上がっています。さらに、シルバーを覆っているゴールドは、摩耗することで剥がれてベースのシルバーが顔を出すことがあるのですが、その経年変化によるコントラストが非常に美しいんです。自分で「育てる」楽しみが味わえる点はヴィンテージデニムと同じですね。

決して妥協しない美意識の結晶、相場は?

 ヴァンドームの魅力はこれだけに留まりません。非常に凝った留め具の仕様が採用されているんです。付けるときは、コマを差し込み、セーフティと呼ばれるロックで留めるようになっているのですが、エルメスのこだわりが強く感じられる、練りに練られた構造です。

エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

エルメス ヴァンドーム

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エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

 留めた状態を見ていただくとわかりますが、ヴァンドームの留め具は単なる接合部という域を超え、デザインのひとつとして昇華されていると言えるでしょう。エルメスが擁する職人の卓越した技術力と、決して妥協しないデザインへのこだわりが伺えます。

エルメス ヴァンドーム

Image by: FASHIONSNAP

 年代やデザインなどによりますが、ヴァンドームの現在の相場は80万円くらいから。ゴールドはそれよりも高くなりますが、エルメスの真髄が味わえる唯一無二のジュエリーなので、十分にその価値はあると思います。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

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