7月29日(現地時間)、フランスのラグジュアリーグループ、ケリング(Kering)は、2025年上半期の純利益が4億7400万ユーロとなり、前年同期比で46%減少したと発表した。これは、売上の約半分を担う主力ブランドであるグッチ(Gucci)の業績悪化が響いた格好だ。
2025年上半期のグループ売上高は75億8700万ユーロで、報告ベースでは16%減、為替等の影響を除いた比較ベースでは15%減という結果となった。第2四半期においては、売上高が前年同期比で18%減の37億ユーロとなり、市場予想の37億5000万ユーロを下回った。グループの経常営業利益は9億6900万ユーロ(前年比39%減)で、営業利益率は12.8%と前年の17.5%から大きく低下した。
グッチの第2四半期売上は、比較ベースで前年同期比25%減。直営店の売上は23%減だったが、北米とアジア太平洋では若干の持ち直しが見られた。中でも、クルーズ2026コレクションで発表された「Giglio」バッグが好調で、今後の成長の糸口として注目されている。一方で卸売収入は50%減と厳しい数字が続く。
さらに、グッチの経常営業利益は4億8600万ユーロで、営業利益率は16.0%。コスト削減努力により一部緩和されたものの、前年同期比では8.7ポイントの大幅な減少となった。
グループ全体では、サンローラン(Yves Saint Laurent)の第2四半期売上は比較ベースで前年同期比10%減、バレンシアガ(Balenciaga)やアレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)を含む「その他のブランド」も16%減と軒並み苦戦。一方で、ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)は1%増と堅調に推移し、ケリング・アイウェア部門も3%の増加を記録した。
同社の会長兼CEOであるフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)は、公式声明で次のように述べている。
「2025年上半期は、ケリングにとって重要な決断が相次いだ期間でした。ガバナンス面では、CEO職をルカ・デ・メオ(Luca de Meo)氏に委ね、私は引き続き会長職を務めることといたしました。クリエイティブ面では、主要な3つのブランドで新たなデザイナー体制を整え、ブランドの魅力と遺産を基盤に新たな価値創造に取り組んでおります。オペレーションおよび財務面においては、厳しい市場環境の中で、流通網の見直しやコスト構造の改善、財務基盤の強化を進めてまいりました。」
なお、ケリングでは、ピノーからバトンを受け、ルカ・デ・メオが2025年9月15日より新たにCEOに就任する予定だ。デ・メオは、これまでルノー(Renault)などで経営改革を推進してきた実績を持つターンアラウンドのスペシャリストであり、グッチ再建とグループ全体の利益改善が期待されている。
さらに同社は、2023年にカタールの投資ファンド「マイフーラ(Mayhoola)」からヴァレンティノ(Valentino)の株式30%を17億ユーロで取得し、2028年までに100%を取得できるオプションも保有しており、今後の資金計画や戦略提携の動向にも注目が集まる。
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